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一気に心が浮足立つ、どの子も本当に可愛い・・・今すぐ連れて帰りたい
でもまだ駄目だと気を引き締める、あたしの子はここにはいない、キチンと計画通りでないといけないピンクとブルーの産着で性別を分けている
「トイレを借りていいですか?臨月だとトイレが近くて」
エへへと笑いながらあたしは言う
「トイレは各階の一番端にありますし、病棟にもついています、そこのシャワー室の横です」
小さな新生児室担当の看護婦が私に微笑んで言う
「ここの病院はどちらで知りましたか?WEBサイトで?」
あたしも微笑んで答えた
「友達がここで出産するんです」
・・・
家に帰るとポストの中に一通の手紙が入っていた、母からだった
あたしはアパートに入ってその手紙の封を開けて読んだ
―真希へ―
ずいぶんあなたに連絡を取っていないのでこの住所で合っているのかもどうかもわからないけど、手紙を書きます。
電話もかけたけどまた番号を変えたのね・・・義父さんが心不全で先月亡くなりました・・・
あなたに連絡を取っていたのだけれどなにせ番号が分からなくてこんなに遅くなってしまいました。そして私は聖言会を脱会しました。私も色々ありました・・・今は実家の和歌山で一人暮らしをしています。ほら、おばあちゃんの家よ、小さい頃よく行ったでしょう?
おばあちゃんの残してくれた家を少し修復しました。そしてお母さんは近所の工場で事務員として働いています。
全部を話すと長くなるけど、義父さんに遠慮してあなたと距離を置いていた事・・・本当に申し訳なく思っています。あなたはどうしているかいつも思っていたのよ・・・真希・・・あなたに会いたい、寂しくてたまらないの。
まだ幼いあなたを孤独に放って置いた事・・・ものすごく反省しているわ
でももうあなたが私に残されたただ一人の家族なのよ。
私達の間にも色々あった事はわかっているけど、もしあなたが私を許してくれるのなら、もう一度親子関係を一からやり直したいと思っているの・・・
住所と電話番号を書いておきます・・・いつでも連絡下さい・・・そして出来たらお返事をくれたら嬉しいわ
―母より―
「あの男が死んだの? 」
ラップトップパソコンが置いてあるダイニングテーブルに腰掛け、パソコンを開きGoogleの検索窓に義理の父の名前を検索する、するとSEOのトップにあの男のフェイスブックが浮かび上がる
―後藤貞臣・・・享年64歳・・・宗教法人「聖言会」の極会理長妻の公子と共に誓言会の敬虔な信者であった、2024年11月15日彼は永遠の魂となってイエスの元へ旅立ちこの福音を―
10年以上の時が経っているのだから、あの二人の事を過去の出来事と忘れても良いものだった、私の青春時代に影響を与えた大人の男二人・・・
一人は義父で幼い私に優しさのかけらもなく、子供は虐待すれば大人しく言う事を聞く存在としてあたしを家畜の様に扱った、もう一人は優しさに飢えていた何も知らないあたしに性的恐怖を植えつけた学習塾の講師