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何処の何方かは知らないけど、少し私の話を聞いて行かないかい?
まぁ、爺の話だから飽きるかもしれないけどね。
おや、聞いてくれるのかい?
ありがとう。
それじゃあ始めようかな。
ん?
題名?
そうだなぁ…題名は……
かな?
ビデオは毎朝郵便ポストに ポツン と置いてある。
そう、郵便ポストにね。
内容?
内容は毎回違うよ。
確かこの前は誰かがお菓子を食べていたな……。
今日は確か…。
あぁ、私がひとりで駅に立っていたな。
何で自分って分かるか、だって?
そりゃあ主観だからね。
自分以外の誰でもないだろう(笑)
そうそう、駅は神秘的だったよ。
下は海だったね。
後ろを見ると
と書かれた駅の看板、ベンチ、があったな。
びっくりしたよ。
下は海、そして駅。
私はこれから天国に行くのかな、と思ったよ。
でもこの通りピンピンしているよ。
まぁ、所詮はビデオだったってことさ。
でも………
その所詮ビデオに助けられたこともあったな。
あれはまだ私が10歳の時だったかな。
その日、朝起きてすぐに私はポストの中を覗いたんだ。
その日も ポツン と置いてあったね。
私はウキウキしながらビデオを取って自室に戻ったよ。
今日はどんな映像かな、と思いながらね。
でも、
ウキウキしていたのは、再生するまでだった。
私はビデオをテレビにセットして再生ボタンを押した。
すると急に
女性の叫び声が聞こえたんだ。
そして、不気味な音も聞こえた。
何かを刺すような…
ぐちゃ、ぐちゃっ……
という音が。
私はとても怖くなったね。
それまで、楽しい動画だったのに急に怖くなったんだからね。
ウキウキなんてしていられなかったよ。
私は、はやく画面が明るくなってほしいと心から思っていたよ。
すると、急に パッ と画面が明るくなった。
映し出された光景は…。
駅のホームだったね。
電車が来る音を知らせる音楽に耳を傾けていたら、私は…
線路に落とされた。
段々と線路が近くなって行く光景を呆然と眺めていたら後ろから微かに声が聞こえたんだ。
とね。
私が何をしたんだ…。
どうして…
そんな事を思っているとまた急に画面が暗くなった。
そして、
最初と似た……
女性の叫び声が聞こえたね。
私は、声にならない叫び声を上げたよ。
これが、本当になったら……。
怖くてたまらなかったね。
私は、親に駄々をこねて学校を休んだよ。
だって、まだ死にたくなかったからね。
その日の夕方、小学生がホームから落とされた死亡したというニュースを見たよ。
現実になってしまった。
私は学校に行かなくて良かったと思ったね。
警察の話によると、落とした犯人は男性だったらしい。
男性は自分の息子がホームで飛び降り自殺をしたことを事件だ、と思いこんで犯人を探しているらしい。
まぁ、つまりは…
自殺というのを認められなかった、ということだ。
勿論、犯人なんて居ない。
そして更に、男性は事件、もしくは虐められて誰かに突き落とされた。息子は、同じ学年の子供に突き落とされたんだ、なんて言っていたらしい。
虐められてもいないのに。
犯人が誰か分からず、ただ直感的に犯人だと思った近くの子供をホームに突き落とした、と言っているとキャスターは言っていたのを今でも思い出すよ。
本当に、あのときは所詮ビデオに助けられたね。
それから私はずっと、ビデオを見続けている。
今日は見たかな…。
あぁ、そういえば見たな。
確か、駅に立っていて…私が誰かに話しかけるビデオだったな。
おや…そういえば今日のこの駅の名前…確かビデオに出ていたような……?
ビデオの駅の名前は天趣駅……。
ここの駅の駅の名前は………。
少しばかり違ったが、意味は同じだね。
あぁ、そうそう。
君の家に ポツン とビデオが置いてあったら朝のうちに見たほうがいいよ。
じゃないと
『まもなく、天趣行きの列車が発車致します。
*この列車は行きしか御座いませんのでご注意下さい。なお、列車は天趣駅でしか降りられません。天趣駅に用事のある方のみ___*』
「お客さん、生きてるでしょ?
あ、やっぱりだ。ほら、早く