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第一章 流星に願いを
朝
寝相の悪い私はいつの間にか丘の下へ転がっていた
朝…のはずなのにこの場所は暗い
ずっと、ずっと
同じ景色
同じ姿を見せてくる
不変だと伝えているように
私は変わってしまったのに…
この景色は変わらないんだと、教えてくる
…不変のものなんて何一つないのに、
それが…、好きだったのに、
今では嫌になる
〈あーあ…、あんなに好きだった星空への気持ちも、私の感情も…変わっちゃうんだなぁ…〉
__いや、もしかしたら最初から星空なんて好きじゃなかったのかもしれない
でも_君と一緒に見たから、
君が教えてくれたから、
ここまで好きになれたのかな_?
君が私の見る世界を色とりどりに変えて、
華やかに見せてくれていたのかな…?
〈もう…、本当にズルいんだからっ…、w〉
笑いながら、泣きながら、
真逆の感情が飛び交う
その中で一つの答えを見つけた
〈…やっぱり、私もう一度君に会いたいなぁ…〉
〈会って…、私が伝えたくても伝えられなかったこの気持ちを…〉
〈全て吐き出してしまいたい…〉
〈君が好きだよって、世界で一番大好きだよって…〉
〈ねぇ、お星さま〉
〈私の願い、叶えてよっ……_〉
〈なんて…、叶うわけないか…〉
そうだ、叶うわけがない
夢物語だ
こうなったらいいなって、ただの妄想だ
これは私の願いであって、実現可能ではない
私の夢であって、現実的ではない
__って、思ってたのに、
__キラッ__
〈えっ、何か…光った…、?〉
まさか、と思った
まさか、私のお願い叶えてくれるのかなって…
そんなこと、気のせいだってわかってる
そんなことあり得ないって知ってる
偶然とも思った
必然なんてないから、
でも、でもっ…__
今回だけは、奇跡に願う
〈もう一度、君に会いたいっ…!〉
__そう、言葉を発した一人ぼっちの暗く明るい場所で
一筋の光が見えた
気がついた時には私はベッドの上だった
〈え…、?〉
〈まさか…、時が戻った…!?〉
だが、そんな甘い考えはすぐに消えた
今朝、書き置きした母への置き手紙が
今朝、やろうとして、やらなかった勉強道具が
そこにはあった
もう、何もかも手遅れなんだ
全て、すべて
暗い部屋に置き去りの私
〈…やっぱり、私は死んだんだ、〉
〈わかってはいたけど…〉
辛いなぁ…っ…、
言葉には出せなかった思いが心のなかで響く
出してしまえば、ここまで頑張ってきた事が惨めに思えてしまうから
さっきまでベッドだと思っていたそこは
君と文化祭のために準備していた大きなぬいぐるみだった
それを見て私は思わず涙が溢れてしまった
あの時の、楽しい景色を思い出してしまったから
あの時の、大好きで、忘れられない景色を思い出したから
私は部屋を後にし、一階へ降りる
下には母も父もおらず、ただ静かな物風だけが残っていた
〈…まだ遺影とかはないから葬式はやってないのかも…〉
私は急ぎ、私が亡くなった場所へ向かう
〈っ〜…!〉
そこには血まみれでぐったりと倒れる私
到着直後に駆け寄る母と父
私の冷たい手をずっと、ずっと大切そうに握りしめている
__君
会えた…!
だが、同時に絶望が襲いかかる
〈琉生…〉
琉生は、絶望したような、この世の終わりのような表情をしていた
流していた涙は絶望に掻き消され、雫の通った跡が残る
〈っ……〉
私が…こんな顔をさせてしまった…
私はここにいるよって…
痛くもないからって…
今すぐ、今すぐに起きて、大丈夫って…
大丈夫だから…、
〈そんな顔しないでっ……〉
そんな言葉が届くはずもなく
誰にも聞こえない空で消え失せた
その後直ぐに救急車が到着し運ばれた私だったが
見ての通り既に亡くなっていた
そして、その結果を聞いた途端、琉生はフラフラとした足取りで何処かへ行ってしまった
私は当然、琉生についていくことにした
幸い、私のことは誰にも見えていないし、聞こえてもいない
それに、歩かなくてもいい。つまりは空中浮遊しながら移動できるということだ
なんとも漫画らしい…、
そんなコメディのような、漫画のような事が起こるのなら
今すぐに起きて君の隣へ__
手を握って、心配しないでって…
そんな顔やめてって……
言えるはずなのになぁ……
私は琉生の隣へ降り、隣を歩く
裸足の足で、冷たい足で、見えない足で
一歩一歩、琉生と歩幅を合わせて歩く
歩くスピードは徐々に落ち、
誰にも見られない、目の届かない路地にペタリと倒れ込むように座る君
そこで、先程は絶望に掻き乱された涙が戻り溢れる
「僕が……僕が…っ…!」
「僕が…、文化祭の材料なんかっ…買いに行こうって…っ…!」
「急に、言いっ…出したから…っ…!」
声にならない声が、叫びだしたくなるほど悲しい声が
細い路地に響く
つられて私も泣き出す
〈琉生…っ…!〉
目の前にいるのに、すぐ横にいるのに
触れられない
抱きしめられない
声をかけられない
あぁ…、こんなにも現実は辛くて
厳しくて
残酷なんだ
これなら…
〈会えないほうが……よかったのかなぁ…っ…〉
先程までとは打って変わる思いが脳内を駆け巡る
私が鈍くさかったから
君をこんな表情にさせた
私が…君と出会ったから
君は泣いてる
私が君とたくさん話したから
君は今…絶望してるの…?
私が…いなければ
君が辛くなくてよかったの…?
私も、君の絶望が伝染っちゃったみたい
君が風邪を引いたとき
看病に行って、伝染っちゃった時のように
映画を見てもらい泣きするかのように
君の絶望した表情と泣き崩れる姿を見て_
ほら、私もさ、
〈…っ……〉
絶望して、泣き崩れて、
もう、どうしょうもない程に
悲しみに満ち溢れてる
第二章 葬式
私は一生の中でお葬式に行ったことはない
まさか、最初で最後のお葬式に出向くのが、私の
お葬式だとは思わなかったよ
〈………〉
〈…こう見ると、葬式って悲しいけど…〉
〈呆気ないんだな……〉
少し、物悲しい気持ちと、
鈴の静かな音が、何故か不思議なくらいマッチしていて
意識がふわふわとするようだった
これは眠たいということなのかな?
わからないや、
……私の葬式は身内と親しい友人だけで執り行われた
とても、静かで、私には似合わない幕引きだった
__琉生は私の葬式には来なかった
おそらく気に病んでいるんだろう
琉生のことだ、自分のせいでって気負っているのだろう
……君のせいじゃないのに、
涼は、来ていた
……泣いていた、
正直、嬉しい気持ちもあるが、こんな気持ちにして申し訳ないという気持ちが入り混じっている
本当に、今すぐに起きて、三人でまた__
って、どうしようもない夢をいつまでも見ているよ
また会えただけで、嬉しいっていうのに…
私はまだ求めちゃってる
まるで、強請っているよう
起こしてって、私の人生返してって…
何回も何十回も、心の底では思ってるよ
でも、口には出さない
出さないほうがいいんだ
きっと、口にしてしまったら、気持ちが溢れてしまうから
私は自分の葬式場を後にして琉生を探す
…走って、走って、たくさん走っても、
足の温かさは戻らない
歩いて、歩いて、何歩も歩いても、
私の半透明の足は実際の人のような足には戻らない
探して、探して、どれだけ探しても、
君の姿は見えない
会いたい時に会えない
話したい時に話せない
運命はなんて残酷なのだろう
こんな些細な願いすらも聞き入れてもらえない
叶ったと思ったら、こんな残酷な世界へ戻って来てしまった
それでも、こんな結果だったとしても
どうしても_
信じてしまう私がいる
君にはきっと会える
きっと話せる
大丈夫だって、
本能に言い聞かされてる
〈…きっとなんて、曖昧な言葉〉
〈…私はこんな言葉に縋ることしかできないの…?〉
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暗くて、寒くて、冷たいこの場所にいる私
何故か遠くで、声が聞こえた気がした
温かくて、懐かしくて
思わず抱きしめたくなるような、心地のよい声が
ああ、あの時も君は迎えに来てくれたね
あの日は確か、晴れていた
暗闇の夜
写真部の活動で星空を撮りに行った
私さ、一つのことを追い求めると、周りが見えなくなっちゃうの
それで迷惑かけたよね
…私はたしか迷子になったね
暗くて、夏なのに寒くて、寂しくて
誰にも会えなくて、見つけてもらえなくて
見てもらえなくて
…今の状況と似てるね、
誰にも見つけてもらえなくて、ひとりぼっち
でもね?
あの時、君がまっさきに私の名前を呼んで
暗闇から見つけ出してくれたから
君が、星空のように私の目には見えたよ
私の中では一番輝いて見えた
キラキラと、眩い光で
君はそういうキラキラとしたものは苦手かもしれないけど、
私にとって、君は私の灯りだったんだよ
君は私の星で、
どこにいても私を見つけてくれる
私の目を見て、話してくれる
大丈夫かって、痛いところはないかって
優しく、
寂しかったよね、怖かったよねって
同情して、
早く見つけられなくてごめんって
皮肉交じりの君らしい言葉も、その時だけは嬉しく思えたよ
いつもの敬語なんか消えて、普通の友達のように話して
私はそんな君に抱きついたね、
我慢できなかったや、私のことをこんなにも思ってくれている人がいるんだって
知れたから
君はびっくりしてた、でも心無しか微笑んでいたように見えた
二人でみんなの元へ帰る時も、手を繋いで
私の手は冷たかったけど、君の手は暖かくて、繋いだところからポカポカと暖まっていく
あの時、私恥ずかしかったんだよ?
繋ぎっぱなしでさ
……でも、君も耳が赤くなってたよね
知らないふりをしたけど
知ってた
私しか知らない秘密
だから、今度は私が見つけるよ
暗闇から、君を見つけて、
透明でもいいから、触れられなくても、声をかけられなくてもいいから
君にしてもらったように
私も__
__学校
いた。琉生がいた
…見つけられたよ、やっと
遅くなってごめん、寂しかったよね
ごめん、ごめん、ごめん。
何度も謝るよ
私は屋上で泣きじゃくって、呆然と空を眺める君の背中に手を添えて撫でる
透明の手は、君の身体に触れられないけど、
なんとなく君の温もりが感じられた
あの時のように、暖かい背中
子供を泣き止ませるように、
もう、大丈夫だよって、聞こえない声で囁きながら
第三章ひきこもり
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お、お、お、お、 るいさぁぁぁぁああ!!
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