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息が凍りそうなほど寒い夜に
空一面の星を眺める2つの影
聞こえてくるのは親しげな会話
「おいーー−。いいのか抜け出して」
「いいのいいの〜。ーー−ちゃんは頑張りすぎるんだから〜息抜き大事でしょぉ? 」
「はぁ…怒られたらお前の責任だからな」
「もちろん!どうせ私たちの前に出れる人なんていないんだから〜」
「まあ、それなりの結果は出してるからな」
「そうそう!………ねぇーー−ちゃん」
「ん?」
「この開発が成功したら、この地獄みたいな世界から抜けられるのかなぁ?」
「……さぁ、どうだろうな…ただ、私は殺戮兵器なんか作って日本が救われるなんて思わない。争いは争いを生むだけだ」
「そっか。でも、私は信じるよ…この開発が日本を救うって!」
「本気か?」
「本気だよ〜皆がこの開発の成功を待ち望んでる!だから絶対成功させてみせるもん!ーー−ちゃんは嫌かもだけど…」
「お前らしいなwいいよ、昔からの仲だろ?最後まで付き合ってやる」
「いいの?−−−ちゃんはこの開発にあんまりいい気はしてないんじゃ…」
「いいんだよ、お前の意志を尊重する」
「ありがとう!ーーーちゃんはホント優しいなぁ〜」
「どうだかね」
「ふふwじゃあ〜約束!絶対開発成功させようね!」
「うい~」
互いの小指を絡めて、二人の少女は約束した
『必ず成功させる』
心の中に誓ったこの約束は忘れることはない
そう、二人は感じていた
「これから私たち、日本を救ったヒーローになるね〜!」
「ヒーローね…そんないいもんじゃないと思うが 」
「そうかなぁ?でも、教材に私達の名前載ったり〜テレビにも出ちゃったり!カッコよくない!?」
「その呑気な頭が羨ましいよ」
「なっ!?ーーーちゃんひどぉい!」
空には星が寄り添い、輝いている
まるで少女達のように
黒く塗られた夜空に、一つ星が流れた
その流れ星に二人は願う
『この血塗られた世界に、光が差しますように』と
これは、データに残された「愛との約束」の話である
??「は…せ、」
誰かが呼んでいる
??「はか…」
なんだ
??「はかせ」
もう少し、ここにいたい
??「博士!」
??「っ!」
勢いよくベッドから跳ね起きる
周りには見慣れた、私の質素な部屋
その中に、一人の少女が居る
私が作った、家庭用AI「アイ」
彼女は、生気の感じられない冷たい顔を私に向けていた
生気のない顔は見慣れたし、AIなのだから当たり前だが…
アイ「やっと、起きましたか博士」
私「あぁ…いつも目覚ましをかけているんだがな。悪い」
アイ「慣れましたよ。今日はいい夢見れました?」
私「いい夢…かは分からん。ただ、また同じ夢を見ていた」
アイ「いつも同じ夢見てません?」
私「そうだな笑」
アイ「まあ、とりあえず顔洗って髪整えてきてください。寝癖と顔がひどいですよ」
私「はいよ」
あの日の夢を、最近よく見る
今でもよく覚えている
だからこそ、よく見るんだろうな
……私は約束を守れているのだろうか?
あいつの望みを、叶えることができたか?
答えなんか、返ってこないのはわかってるはずなのに
どこかで答えを待っている自分がいる
なぁ、答えてくれよ
また、声を聞かせてくれよ
「愛…答えてくれよ」