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『病名は個性』
「 脱出? 」
「 …どういうつもりですか…、 」
「 しにがみ、トラゾーにも何か考えがあるはずだ。わからないのに責めるのはやめようぜ 」
「 …はい、 」
「 なんで、っ、トラゾーは脱出しよう。って、思ったの? 」
「 だって、これ以上。みんなが傷つく姿を見たくない。 」
本当にそう思っていた
みんなは何も言ってくれないから、
「 それじゃ理由になりませんか? 」
って少し逃げてしまった
「 …俺は十分だと思うよ。過去は変えれないけど、未来は変えれる。変えるために俺らという生
き物がいると思うから 」
何かを考える素ぶりを見せながらぺいんとが言った
「 …俺も、いいよ。みんなに…っ、傷ついて欲しくないと、俺は思うよ 」
クロノアさんがしにがみさんに向けて言う
「 …僕は…、っ、 」
しにがみさんが戸惑う
「 …いいえ、僕も!逃げたい。ここでの生活は良いけど、嫌だ 」
「 …よし、じゃあ考えるか 」
「 …うん、 」
「 ありがとう。みんな 」
そこでさらに絆が深まった
作戦会議はスムーズに進んだ
彼奴の研究室から抑えるための薬を俺とぺいんとで奪う
しにがみさんは、ここの場所の地図を作る
クロノアさんは体調が良くなるまで、動いてもらうのはやめて、しにがみさんのサポートをしてもらった
そして、実行もスムーズに進んだ
そう。スムーズに進みすぎたんだ
おかしかった。勘のいい彼奴が気づかない訳がない
俺らは自分たちの目の前を掴もうとして周りが見えていなかった
だから、俺が捕まった
____________________________
「 No.0502、まさか脱出しようと考えているなんてね 」
( 今の言い方、此奴知ってたな
状況は、俺が机の上に縛られている状態だ
「 もうちょっと泳がせても良かったが、流石にね。ボクの研究室を荒らされそうになったから、止
めさせてもらったよ。 」
( さぁ、どうやって逃げようか
「 聞いているのかい?No.0502。 」
「 …、 」
「 はぁ、そんな態度なら、この前の望みを叶えてやろう 」
「 望み? 」
そう言って彼奴は、薬を取り出した
背筋が凍った
「 …まさか、お前っ!、 」
「 …言ったろ?俺からやれって。叶えてやろうじゃないか 」
( まずいっ、これは予想していなかった。
「 この病気を説明してやろう。これはトロイという、強く消えたいと思ったら発病するんだが、こ
れは違う。俺が消えろ。と言ったら徐々に消えていく。そんな薬だ。痛みもある。お前が安ら に
眠る、という選択肢はないんだ 」
「 治療法は? 」
「 焦らず、ボクに立ち向かう勇気。素晴らしい。それは君のいいところで悪いところだ。治療法は
この薬を飲むしかない 」
俺にその薬を見せる
虹色で、眩しい。宝石のようなものだ
「 …綺麗だろう。これはどんな薬でも治せるんだ。あぁ、美しい 」
「 …それをくれ 」
「 あげるわけないだろう。頭が沸いているのか?何事もうまく進むと思うな。 」
怖い。ただそう思った
「 まぁ、ボクは優しい。だ から、何か聞きたいことがあるなら教えてやろう 」
「 俺としにがみさんの初恋相手は誰だ 」
「 また、治療法か。面倒くさい、まぁ、いいだろう。今言ったって覚えている訳がない。このボク
が作った最高傑作のトロイという病気をかけて、生きたやつはいない。大半のやつは薬の強化で
死ぬ。だが、No.0121は生きた。今度は彼奴にしようか。 」
「 俺にはその薬の強化をしないのか? 」
「 …する訳ないだろう。言っただろう。ボクは優しい。だから、すぐに死なせてやる 」
「 …質問には答えてくれないのか 」
「 あぁ、そうだな。薬をかけながら教えてやる 」
彼奴が準備をする
「 よし。じゃあ、教えてやろう。お前たちの相手はーーーーだ 」
その後の記憶はなくした
なんで自分が生きているのか
わからなかった
___________________
「 まさか、生きるとは 」
「 …はぁ、っ、はぁっ、 」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
心臓が張り裂けそうだ
気持ちが悪い
これが病気の力
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
みんなで、みんなで
「 逃げなければ 」
「 お前という生き物を初めて見た。猫も犬も人間も限界というものがある。それはたかが知れてい
る。だが、君の限界はわからない。あぁ、面白い。君は最高の動物だ 」
何かが切れる音がした
「 俺は、俺はっ!実験動物なんかじゃない!! 」
ここからのことは覚えてない
自分が何をしたのか
何が起こったのか
わからなかった
そんな俺に残ったのは、
記憶をなくした
最愛の仲間たちだった
現在________________
「 なにそれ、俺らは人間じゃない? 」
「 はい、 」
「 急に言われてもわかんないですよっ!ただでさえ僕は記憶がない。わからないよ。 」
「 …でも、最近変なことが多かった。薬を飲んでも、抑えることしかできない、なのにここ最近は
あまりにも何もなかった 」
「 多分。此奴が現れたのは、薬の効果が続いているのかの確認と俺の奪還だ 」
「 …そうだ。流石だなNo.0502、 」
ぺいんとが俺の前に出る
「 …そんなこと、俺がさせない 」
「 、でもっ、此奴をどうやって倒せるかなぁ 」
クロノアさんが考える
「 僕も、できる範囲で戦います 」
しにがみさんが言う
「 …トラゾーさん。ありがとうございます。僕らを助けてくれて、このことを教えてくれて、その
ことを覚えていてくれて。 」
「 …俺が覚えていたのも、生きていることができたのも、みんなのおかげです。 」
「 …じゃあ、プラマイゼロ。ですね 」
「 …はい 」
彼奴が喋りだす
「 で、終わったかい?僕はNo.0502以外興味がないんだ。他のやつはどうでもいい。No.4913。や
れ 」
「 …はい 」
「 君はいいの?、此奴の言いなりで 」
「 何かあるなら俺たちが守るよ。 」
「 …大丈夫ですか? 」
「 五月蝿いっ、! 」
少女の声が響く
「 五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い!!お前らのせいで、私はっ!私は、辛い目にあったんだ! 」
少女が薬俺らに向けてかける
「 やめてっ、、!!!!
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