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ヤッホ
インフルなってた(泣)
喉やばい
行ってらっしゃい
夜。
ちぐさの部屋は、静かだった。
カーテンは少しだけ開いていて、街灯の光が床に細く伸びている。
「……」
ベッドに横になり、天井を見る。
(今日は、いろいろあったな)
あっとの声。
信じる、と言ったときの、あの穏やかな目。
(不思議だ)
怖くなかった。
疑われるより、ずっと。
「……眠ろ」
目を閉じる。
◇
——風の音。
強い。
鋭い。
肌を切るみたいに冷たい。
(……あ)
ちぐさは、気づく。
(これ……)
目を開けると、そこは見慣れた世界だった。
灰色の空。
崩れた塔。
乾いた地面。
(害世界……)
自分は立っている。
子どもの頃の身体じゃない。
今と同じ。
(夢、だよね)
そう思った瞬間。
「チグサ!」
聞き覚えのある声。
振り向くと、誰かが走ってくる。
顔は、なぜかはっきり見えない。
「来ちゃだめだ!」
「でも——」
声が重なる。
次の瞬間。
爆ぜるような音。
地面が割れ、風が巻き上がる。
「……っ!」
身体が、勝手に動いた。
腕を伸ばす。
(止まれ)
そう、強く思った。
——ごう、と。
風が集まる。
自分を中心に、渦を巻く。
(あ)
(この感覚……)
胸の奥が、熱い。
苦しくて、でも懐かしい。
「チグサ……!」
誰かが呼ぶ。
「目を覚ませ!」
◇
「——っ!」
ちぐさは、勢いよく起き上がった。
「……はぁ、はぁ……」
心臓がうるさい。
手を見る。
震えている。
「夢……」
でも。
風の感覚が、残っていた。
◇
翌朝。
「ちぐさ、顔色が悪い」
登校途中、らおが言う。
「……そう?」
「寝不足か」
「うん、まあ」
嘘ではない。
全部を言っていないだけ。
校門。
「おはよー!」
あっきぃが手を振る。
「おはよう」
「なんか眠そうじゃん!」
「バレた」
ぷりっつも来る。
「夜更かしはあかんで~」
まぜたはじっとちぐさを見る。
「……夢」
「え?」
「嫌な夢、見た顔」
ちぐさは少し驚く。
「……なんで分かるの」
「なんとなく」
まぜたはそれだけ言って、視線を逸らした。
◇
昼休み。
屋上。
「風、気持ちいいね」
けちゃがフェンスにもたれて言う。
「えへ、よいしょ」
あっとが苦笑する。
「その口癖、定着してきたね」
「えへ」
ちぐさは空を見る。
雲が、ゆっくり流れている。
(夢の中と、全然違う)
なのに。
胸の奥が、少しだけざわつく。
「ちぐ」
あっとが声をかける。
「大丈夫?」
「……うん」
少し考えてから、続ける。
「でも、夢を見た」
「どんな?」
「昔の……場所」
あっとは、それ以上聞かない。
「そっか」
ただ、それだけ。
その距離感が、ありがたかった。
◇
放課後。
昇降口で、靴を履き替える。
「今日、部活どうする?」
あっきぃが言う。
「見学、続ける?」
ちぐさは一瞬迷って、
それから、うなずいた。
「……うん」
(逃げない)
(この世界で、生きるって決めたから)
その背中を、
夕方の風が、そっと押した。
まだ、夢の続きは見えない。
でも。
眠りの底で呼ぶ声は、
確かに、少しずつ近づいていた。
——続く。
(〃・ω・ノ)ノ オカエリー♪♪
またね