皐月side
アレから家から出れなくなった。
外に出るのが怖くて…、それなのに俺自身が何も出来ないのが嫌になる……。
玄関まで行ってドアノブを掴む、前にまた部屋に戻る生活…。
あーあ、嫌だなぁ、惨め過ぎる…。
このまま静かに消えちゃえば楽なのになぁ。
ピンポン
宅配頼んでねぇけど……
ピンポン、ピンポン
皐月『あー!もうどちらさ…遥?』
桜「…あー、その、色々あって、だな。」
皐月『熱は?大丈夫なのか?風邪は?症状は?』
桜「俺は大丈夫だって!お前のが…重症だろ。」
皐月『あー?コレ?大丈夫全然大丈夫だし痛くないから!』
桜「……、痛覚…、無くなったって?」
皐月『…な、んでそれを?』
桜「梅宮と柊の話、聞いたんだ。皐月…、ココから居なくなるのか…?」
遥…、撫でようとして手を下ろした。
皐月『…、俺が居なくなっても、遥にはクラスメートが居る、だから大丈夫!安心して前を向いていってくれよ!』
桜「…、そんなん、無理だろ、俺は!皐月だから!一緒に居て欲しいのに!お前がいないなら…、俺は……。」
あー、もどかし…。
皐月『こっち向け!』
桜「!!」
皐月『俺が居なくなったら町を守らねぇのか?違うだろ、町を守るためにお前らが居るんだ、たかが1人居なくなるのに説明要らねぇよ。』
桜「それでも!俺は……お前と生きたい、ずっと、これからも!」
嬉しいこと言ってくれるねぇ。
皐月『…、わかった!頑張って生きるから、桜も前向いて級長してくれよ! 頼む!』
あー、あとアレだ!
皐月『風邪治って良かった!お前はアイツらの前に立っててよ、俺じゃなくて、自分のクラスの奴らにちゃんと全線立って立派にしてくれよ。』
桜「…ッ、クラスメートも大切だけど、それよりお前のが大切なんだよッ!」
皐月『あははっ!そかそか、まぁそれでいいや、なぁ、遥?そこに居る?』
桜「…ッ、皐月、お前もしかして……。」
皐月『うん、もうちょい視力いけるかなぁって思ったけど、ごめん!何も見えん!!』
桜「なら!尚更俺が居ないとダメだろ!!俺が全部やるから!だからッ俺の前から消えないでくれ……。」
皐月side
全部真っ暗だ…。遥の声、やっぱり安心するなぁ。
桜「他に何かやる事あるか?俺が全部やるから。」
皐月『…、大丈夫。俺はもうだから。』
これ以上迷惑は掛けられない。
皐月『…、なぁ遥、頼みがあるんだけど!』
桜「何だ?」
皐月『……、視力まで無くなったの、みんなには内緒にしてくれ。』
桜「何でだよ、俺以外にも助けがあった方がいいだろ?」
皐月『コレ以上心配かけたくないし、迷惑も掛けられない、風鈴は町を守らないといけない、ソコに俺を入れないで欲しい……、頼む。』
遥は黙ったまま……。
皐月『……遥、頼む。』
桜「……チッ、分かった……、でも、絶対無理するなよ…。」
皐月『おう、ありがとう…、大丈夫、目見えねぇから外だって出れねぇし!』
桜「……、メシ適当に買って来てやる、見回り後だからちょっと遅くなる…けど。」
皐月『マジか!ありがとう!!でも申し訳ねぇから俺の財布渡しとくよ!』
桜「は、はぁ!?別に!ってか大切なもんだろ!」
皐月『遥の金で買わせるわけにはいかんよ、俺が迷惑かけてんだ、だから、な?頼むよ。』
遥はうぐぐ、と言いながらも
桜「あーもう!分かった!分かったから!!」
俺の財布を受け取ってくれた。
皐月『ありがとう、本当に感謝してる。』
桜「……俺にだけじゃなく、アイツらにも言ってやれよ、まだ終わったわけじゃねぇだろ、皐月の人生はまだこれからだ、勝手に終わらせんな。」
無駄な希望を抱いた所で…もう分かってるんだよ…。
皐月『…そーだな、やれるとこまでやってみるよ。』
こんなのただの言い訳にしか過ぎない、もう良いんだよ…。俺は十分生きた。
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