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ボカロ曲パロディの短編集です。苦手な方はブラウザバックお願いします!
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高校一年生の時、僕はあまり話すのが得意じゃなくてクラスで孤立していた。そんな時、下を向く僕に気さくに話しかけてくれた子がいた。その子は誰とでも仲が良くて、誰と話す時でも元気に笑っていた。僕とは正反対の性格をしていた。明るい彼女に憧れて、もっと見ていたくなったから僕は顔を上げるようになった。
そして高校3年生の今、僕たちは親友とも呼べる関係になってきた。
「今日放課後遊びいかない?」
「おまっ、もう受験生だぞ」
「私は今を生きていたいからね!」
僕たちは、青春をしていた。
どんなに馬鹿で元気な子供も、大人になるんだ。大人はどこか寂しくて窮屈な感じがする。それはきっと、彼女も同じだったんだろう。久しぶりに会う機会があってファミレスで話をした時のこと。彼女は明るかったし、元気そうに振る舞っていた。
でも僕には彼女が無理をしていることがすぐにわかった。
「最近はどうだ?」
「まぁ、いい感じだよ。みんなとも仲良くやれてるし。」
「まぁってなんだよ、言葉を濁さず最近どうなのか言え。」
「えー…なんか顔に出てたかな?」
彼女は苦笑いしながら話し出した
「仲良くは…やれてるよ。でもさ、大人ってみんな壁があるね。何かを諦めてるみたいにちょっと疲れた顔をしてるんだ。」
「そうだな。」
「今私に何があるのかなって、考えるの。私は私がなりたい自分になれてるかなって。」
「…そうか。」
彼女は大人になっても、子供でいようとし続けているみたいだ。
「お前は頑張ってるよ、立派だ。」
俺は彼女の目を見て言った。
「明日も仕事かー!」
「うわー!思い出させないでよー!」
帰り際、街は夜に飲み込まれていた。
「ねえねえ。」
「なんだ?」
「最近眠れないんだ。」
「…」
その時の彼女の瞳は灰がかっていて、このままじゃいけないと思った。彼女の中から子供がいなくなる。そんなの耐えられない。
「じゃあ!!今日は寝るのやめるか!!」
地平線。僕たちは車を走らせている。
目的地なんかない。
ただ走っていた。
世界が変わったような気がした。
今俺たちは青春にいる。
「ちょっと!!どこまで行く気!?」
「そりゃ、どこまでもよ。」
「ばっかじゃないの!?帰りどうすんのさ!!」
「俺たちは今を生きるんじゃないのか?」
「はぁ!?」
「俺たちは今だけ子供になるんだ。こんな世界抜け出してやろうぜ?」
「でも!私はそういうんじゃ」
「そういうってなんだ?」
「…」
「一回真面目やめてみろよ!義務的な関係も全部!嫌なことなんて一つもない。」
「っ…!そんな簡単にっ…!」
「簡単じゃないさ。俺だって足が震えてる。お前がいるからできてることだ。俺たちは1人じゃない。」
…返事がない。彼女の方を見ると少し涙ぐんでいる。流石に怒ったかな…。
「付き合うよ。」
「そうか。」
「ちょっと吹っ切れた。」
「ならよかった、会社はいいのか?」
「ちょっとくらいなら遅れても平気っ!」
昔となんら変わらない笑顔がそこにはあった。
「お前さ、今度からはもっと自分を信じろよ。お前は一つも間違ってない、突き進んでいけ。」
彼女は照れくさそうに笑った。
「ねえ、今私すっごく楽しい。」
「ああ、俺もだ。」