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💙青椒肉絲🧡
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#あべさく
うめぼし
439
楪羽*yuzuriha*
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車が到着したのは、都内の閑静な住宅街にある、一般の人は立ち入れないような完全予約制の高級セレクトショップだった。
「ここ、俺が衣装とか私服でお世話になってるお店なんだけど、プライベートも守られるから安心だよ」
ラウールを先頭に店内に一歩足を踏み入れると、そこには洗練されたデザインの服がずらりと並んでいた。
「よし、阿部ちゃんも一緒に選ぶよ!」
「え、俺も? ……あ、でもこれなんか、春菜さんに似合いそうだな」
最初は巻き込まれた形だった阿部も、服を前にすると意外にもノリノリになり始めた。
プライベートが守られた店内で、ラウールと阿部による怒涛の服選びが始まった。
春菜は完全に置いてけぼりで、二人があれこれと言いながら次々と服や小物をピックアップしていくのをぼんやりと眺めることしかできない。
靴選びのコーナーに来た際、阿部が春菜の方を振り返った。
「春菜さん、身長って何cm?」
「えっと、163cm、だけど……」
「了解。じゃあ……ヒールは高すぎない方がいいな。佐久間が168cmだから、3cmヒールくらいが一番綺麗でいいかも」
阿部はテキパキと絶妙な3cmヒールの綺麗なパンプスを選び出した。
2人のハイレベルなファッションセンスによって、シックで、ほんのり肌見せのある上品なコーディネートが次々と組み上がっていく。
「よし、それじゃあ、どうせだったらとことんやろう!」
阿部くんの目がキランと光った。
彼が電話をかけると、また車に押し込まれ、連れてこられたのは阿部行きつけのヘアサロン。
あれよあれよという間に個室に入れられ、プロの手によって髪は艶やかな大人っぽいヘアセットに、メイクも普段のナチュラルなものから、深みのある艶肌メイクへと変えられていく。
「はい、じゃあこれに着替えて!」
ラウールと阿部が部屋を出ていき、春菜1人になる。
渡された服を改めて確認した 春菜は、ゴクリと息を呑んだ。
(こ……これはさすがに、私には似合わないんじゃ……)
慣れない服に四苦八苦しながらも、なんとか着替えをすませ、おそるおそるドアを開けた。
部屋の前で談笑しながら待機していた2人が、一斉にそちらを向く。
その途端、2人の表情が固まり、言葉を失って呆気にとられていた。
「……や、やっぱり変かな…?」
ぽかんとした2人を見て、春菜が身を縮める。
そこに立っていたのは、いつもの可愛らしい印象とは全く違う春菜だった。
シックな黒のタイトワンピースは、品のあるふくらはぎ丈でありながら、歩くたびにチラリと覗くサイドスリットと、背中が程よく綺麗に開いたデザイン。
肩にはヌーディカラーのジャケットを羽織っている。
派手すぎず、けれど上品で艶やかな大人の色気が漂う。
髪は艶やかなサイドダウンスタイルに整えられ、ダークトーンを基調としたメイクと3cmのヒールが、彼女のスタイルの良さを完璧に引き立てていた。
「いや、似合いすぎでしょ!!! やばい、超綺麗!!俺天才!!」
ラウールが叫んだ。
「本当に素敵だ、春菜さん」
阿部も感心したような声を出す。
「品があって、大人の色気がすごく出てる。もともとスタイルもいいし、身長もあるから、シンプルなドレスがすごく映えるね。大成功じゃない?」
「よし! このまま佐久間くんち帰ろう!」
ラウールくんが満足そうに腕を組む。
「え!? このまま!? この格好で車乗るの!?」
「当たり前じゃん、佐久間くんを驚かせなきゃ!」
渋る春菜を、2人はニヤニヤと笑いながら優しく車へ押し込み、そのまま佐久間の待つ家へと車を走らせた。
マンションの部屋の前。
心臓がバクバクと高鳴る中、ラウールがインターホンのチャイムを鳴らした。
「はーい、遅かったね、楽しかっ……た……」
ガチャリとドアが開き、出迎えてくれた佐久間の声が、春菜を見た瞬間にピタリと途切れた。
佐久間は目を見開いたまま、完全にフリーズしている。
何も言葉を発しない佐久間に、春菜はすっかり不安になり、モジモジと足を動かした。
「えっと…ただいま…。あの……やっぱり、変、かな……?」
すると、佐久間は一気に顔を真っ赤に染め上げ、口元を手で覆いながら、蚊の鳴くような声でボソッと呟いた。
「……やば……っ、超可愛い……」
その様子を見ていた阿部とラウールは、ニヤニヤと意地悪く笑った。
「ほら佐久間くん? 俺と阿部ちゃんを一緒に行かせて良かったでしょ?」
佐久間は赤い顔を腕で隠し、悔しそうに葛藤しながらも本音を漏らした。
「……悔しいけど……めちゃくちゃいい……っ!」
その素直な反応に、春菜の顔もつられて赤くなる。
「じゃあ、俺たちは任務完了したから帰るね」
阿部が爽やかに言い、二人は玄関を後にしようとする。
その帰り際、阿部が佐久間の肩に手を置き、すれ違いざまにコソッと耳打ちをした。
モールで春菜がナンパにあったこと。
男に手首を掴まれてフラッシュバックを起こしかけていたこと。
そのときに阿部の「妹」に見られ、ショックを受けていたからこの作戦を計画したのだということ――
それを、佐久間に伝えた。
佐久間は最初目を見開くも、阿部とラウールが身を挺して守ってくれたと知り、まっすぐ阿部に向き合う。
「……ありがとう。あいつを守ってくれて、本当に」
心の底からの感謝を伝える佐久間に、阿部はいつもの頼もしい笑顔を見せた。
「当たり前じゃん? 大事な仲間の、大切な人なんだから。じゃあね」
パタン、と玄関のドアが閉まり、静寂が戻る。
2人がリビングへ戻ると、佐久間が春菜の前に立ち、少し緊張した面持ちで彼女の手を握った。
「ねぇ、春菜。よく見せて?」
言われるがまま、少し恥ずかしくなりながらも佐久間の前に立つ。
佐久間は彼女の頭からつま先までをじっくりと見つめた後、限界を迎えたように頭を抱えた。
「~~~っ、あー!! かわいい!! 本当に、めちゃくちゃ可愛い!!! 大人の色気出まくりじゃん!!」
ガバッ、と勢いよく抱きしめる。
「あいつら、無駄にセンスいいのが本当に腹立つ……!」
佐久間は春菜の背中に腕を回し、少しきつく抱きしめながら、耳元で少し拗ねたような、けれど強い独占欲を孕んだ声で囁いた。
「でもさ……これ着るの、俺がいるときだけにして。俺が、春菜を隣でちゃんと守れるときだけ」
あの日、彼女を傷つけた世界から、今度こそ完全に隠してしまいたいとでも言うように、佐久間の腕にぎゅっと力がこもる。
「そんでさ、今度俺とも買い物行こう。俺も、春菜の服選びたい。……他の男が選んだ服を着てる春菜を見るの、メンバーだって分かってても、なんかちょっと複雑だし……」
春菜の胸の奥が、彼の可愛らしい嫉妬と深い愛でいっぱいに満たされていく。
彼の背中に手を回し、クスッと笑った。
「他の男って……大好きなメンバーのみんなだよ?」
「それでも! 俺の彼女なんだから、俺が一番可愛い服選んで着せたいの!」
佐久間は春菜の胸に顔を埋めるようにして、子どものようにワガママを言う。
その愛おしい姿に、春菜は何度も頷いた。
「うん、分かった。次は大介に、一番似合う服を選んでもらうね」
「約束だからね!」
顔を見合わせ、二人はどちらからともなく幸せな笑い声をあげた。
お洒落な大人のドレスに身を包んでいても、佐久間の腕の中にいるときの春菜は、やっぱり世界で一番甘やかされている幸せな恋人だった。
コメント
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るるさん、第20話読みました!ラウールと阿部のプロデュースが完璧すぎて、変身シーンからニヤニヤが止まらなかったです。佐久間が「超可愛い」って赤くなりながら言った瞬間、もう最高でしたね。それでいて「俺がいるときだけにして」っていう独占欲の見せ方が、彼の不器用な愛情を感じさせてすごく好きです。あと、阿部の「妹」発言の回収が伏線として綺麗に効いてました。二人の関係がさらに深まった良い回でした!