初めての告白から3年経ち、俺たちのメジャーデビューが決まった頃。俺は何度目かの精一杯の想いをぶつけた。
「ずっと仁人のことが好きだった。俺と付き合ってほしい。これで最後にするから。」
「ねえお願い。」
必死さが伝わったのか。
仁人の口から呆れたように息が吐かれ、今までの返事とは違う言葉が発せられた。
これが2年前。
「じんとー、ただいま。」
「おかえり。除雪作業終了したわ。」
「おい、今回はそんな汚れてねえだろ。」
「ははっ。まあね。」
「今日泊まってくよな?」
「うーん、今日は帰るよ。」
「はあ?この前も飯食っただけで帰ったし泊まってけよ。」
「だって勇斗明日早いでしょ?少しの物音でも起きちゃう俺がいたら気遣わせるだけだろ。」
気くらい遣わせろよ。俺ら付き合ってんだろ?
好きな子の寝顔見ながら準備させろよ。
あわよくば、寝ぼけ眼の仁人からのお手振りいってらっしゃい期待してんだよ。
俺の中でも伝説な吉田飯in俺の家のインスタライブの画録を何回も見直してる俺の健気さといったら。
もう見過ぎて何秒がこの台詞とかもう覚えてんだぞ。そろそろあの冬の仁人が画面の中から出てこいよ。
「って、本人は隣にいるか。ヤバいな俺。」
「佐野さん何一人でぶつぶつ言ってんの?怖いんだけど。」
本気で引いてる顔をしてるのも可愛い。手放したくないな。
「やっぱり今日泊まってけ。」
「だーかーらー」
「今日は仁人が泊まりに来ると思ったから頑張れたんだよ。ねえ、仁人仁人じーんーとー!」
「わーかったよ!近所迷惑!!泊まるよ泊まる!」
本当は同棲したかったけど、仁人は断った。
それじゃあ今までと変わらないから泊まりの頻度を上げることを条件に渋々承諾した。
正直、自信がまだ持てない。なんせ少し強引に恋人関係にもっていった自覚があるからだ。
仁人は俺のことどう思ってるんだろう。
メンバー以上だと、特別な存在だと思ってくれてるのは伝わる。
仁人と離れたくないな。オメガじゃなくていい。仁人がそばにいてくれるのなら子供もいらないのに。
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