テラーノベル
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薄暗い部屋。
窓はカーテンで閉ざされている。
時計の音だけが響く静かな空間。
その中央。
一人の少女がベッドに寝転がっていた。
「暇ぁ♡」
足をばたばたさせる。
退屈そうに天井を見る。
「つまんない♡」
ごろり。
寝返りを打つ。
その時。
ベッドの横に置いてあった写真立てが目に入った。
「……♡」
少女の表情が変わる。
写真の中。
そこには一人の女性が映っていた。
神崎雷。
結び屋の幹部。
若菜は写真を抱きしめた。
「雷ちゃん♡」
うっとりした声。
「会いたいなぁ♡」
頬を擦り寄せる。
「私の雷ちゃん♡」
誰もいない部屋。
返事はない。
それでも若菜は幸せそうだった。
「今何してるのかなぁ♡」
写真を見つめる。
「ご飯食べてるかな♡」
「寝てるかな♡」
「それとも誰かといるのかな♡」
そこまで言って。
若菜は止まった。
笑顔が消える。
「誰か。」
静かな声。
「誰かって誰♡?」
空気が変わる。
さっきまでの甘い雰囲気が消える。
「雷ちゃんの隣にいるの誰♡?」
写真を見つめる。
そして。
ゆきの姿を見つけた。
「……。」
沈黙。
数秒後。
「…この子誰」
笑っている。
笑っているのに。
目だけが笑っていない。
「雷ちゃんの近くにいる…」
「なんで…」
写真を撫でる。
指先がゆきの顔をなぞった。
「邪魔」
小さな声。
でも。
はっきりとした敵意だった。
◇◇◇
別の部屋。
「また始まったか。」
男がため息を吐く。
隣の人物も肩を竦めた。
「若菜だしな。」
「今度は何だ。」
「雷ちゃんらしい。」
「あぁ……。」
全員納得した。
いつものことだった。
若菜は昔からそうだ。
一度執着した相手を。
絶対に忘れない。
どこまでも追いかける。
だから危険だった。
◇◇◇
若菜の部屋。
「会いたいなぁ♡」
写真を抱きしめる。
「雷ちゃん♡」
「会いに行こうかな♡」
楽しそうに笑う。
「きっと喜ぶよね♡」
誰も答えない。
若菜だけがそう思っていた。
「待っててね♡」
ゆっくり立ち上がる。
窓の外を見る。
遠く。
結び屋のある方向。
「私の雷ちゃん♡」
その瞳には。
狂気にも似た執着が宿っていた。
そして。
少女は笑う。
嬉しそうに。
幸せそうに。
まるで恋する乙女のように。
「やっと会える♡」
こうして。
結び屋へ向かう新たな脅威。
罪女若菜が動き始めた。
コメント
2件
うわー……若菜ちゃん、めっちゃ重めの執着サイコって感じで好きです……🥀💕 「誰かって誰♡?」で空気が一瞬で変わるところ、本当に鳥肌立ちました。写真の中のゆきちゃんに嫉妬してるの、狂気なのにどこか切なくて。結び屋のみんなが「またか」って呆れてるのもツボです。次、雷ちゃんと若菜ちゃんがどんな空気になるのか、楽しみであり怖くもあります……!