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「いや~、遅くなってしまいましたな。

今日はもう帰られる予定でしたんでしょうに」


出張先で相手会社の社長がそう言い、倫太郎に謝っているのを、壱花は神妙な顔で聞くフリをしていた。


今回の出張は泊まりなので、冨樫の補佐ということで、壱花もついて来ていたのだ。


「いえ、大丈夫ですよ。

帰りの時刻がわからなかったので、新幹線もまだとってませんでしたし」


それを聞いた社長が、そうなんですか、では、と身を乗り出してきた。


「我が社の船で帰られませんか?」


船!?

と全員が思ったが、そういえば、フェリーの会社もこの社長、持ってるんだったと思い出す。


「船の旅もいいものですよ。

寝てる間に着きますしね。


いかがですか?

すぐに手配させますよ」

と言う社長の親切により、壱花たちはその日、フェリーに乗って帰ることになった。




「なんかワクワクしてきましたねっ」


港を行き交う船の灯りも、これから乗り込もうとしている船の灯りも夜の海に映えて美しい。


壱花は船に乗り込みながら、浮かれた調子で倫太郎たちに、そう言った。


「お前はいつもなんでもワクワクしてるだろうが」

と素っ気なく倫太郎は言うが。


この人たぶん、船も好きなんじゃないかなと壱花は思っていた。


駄菓子とか景品のモデルガンとか好きな……


いや、本人は好きじゃないと言い張っているが。


そんな人は船も好き、と壱花は偏見により思っていた。


冨樫さんは実のお父さんに船のラジコン買ってもらったとか言ってたから、もちろん好きだろうし、

とクソ真面目な顔でスーツケースをガラガラやっている冨樫を見る。


「生温かい夜風が吹いて、ドキドキしますねっ」


「生温かい夜風とか、今にもなにか出そうだろ……」

と倫太郎に言われてしまったが。



まるで百貨店のような洒落た吹き抜けエントランスに立ち、壱花は喜ぶ。


「いや~、すごいですね、今どきのこういうフェリー。

まるで世界を巡る豪華客船のようじゃないですかっ」


そう言うと、倫太郎が冷ややかにこちらを見て、

「お前は乗るなよ、豪華客船。

絶対に事件が起こりそうだから」

と言う。


冨樫が船内の充実した施設を見回しながら、

「社長。

風花が乗ってれば、どんな船だって、事件が起こりますよ」

という不吉な予言をしていたが。


もちろん、それは当たっていた――。






あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~

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