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5 - 《Episode.4》無自覚なのはどちらも同じ【ルート2/🍈🪴】

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2024年05月31日

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《ルート2:🍈🪴》

※🪴総受け、🍈🗽含む


気遣いのできるキャメさんと、悩むまちこちゃんの話。




〜❤️side〜



💛「最初はグー、」


「「「じゃんけんポン!!!」」」


ニキくんが声を上げ、みんなが凄い勢いで続く。

この人数だからあいこかな、と手をまたグーに戻そうとした。と、そこではたと気づく。誰も、動かない。

それなら勝負が着いたのか、と改めてみんなの手を見る。

ニキくんは手のひらを思いっきり開いた、パー。せんせーも、パー。りぃちょくんも、同じくパー。


❤️(……あれ、)


何だか嫌な予感がした。

もともと俺は中立の立場で、特別まちこさんと同室になりたかった訳でもない。

最後の砦、とでも言わんばかりに、縋るように18号さんに視線を向ける。

その白い右手は、しっかりと開かれていて。見間違えようのない、パーだった。

そして自分の握った三本の指と伸ばした二つの指、すなわち、チョキ。つまり、これが示すのは。


❤️「あれ、俺、勝っ……」


そう言いかけると同時に、それまで固まっていたニキくん達が喋り出した。


💛「ちょっ、はぁ!? なんでよりによってキャメなんだよ、俺に譲れよ!!」


💜「まあ、男性陣の中では一番安心かな……」


🩷️「お願いだよーキャメさん、俺に譲ってよー」


💙「いやいやキャメンゴ、俺に譲ってくれ。頼むから」


大渋滞である。

18号さんに信用されていると分かったのは嬉しかったものの、左右──いや、三方向からの譲れコールが鳴り止まない。

そして何よりも、後ろから突き刺さる必死な視線。


❤️(まちこさんの心の声、めちゃくちゃはっきり聞こえてくるな…)


視線の主は、当の本人であるまちこさん。「絶対譲っちゃダメだからね」と念押しする声が、ありありと伝わってくる。

ひとまず、まちこさんと同性である18号さんに声をかけた。

❤️「えっと…18号さん、部屋変わろうか?」


「おい!」「俺は!?」という男性陣の叫びは無視して、18号さんに視線を投げかける。

部屋に女性一人は心配だから、と微笑むと、何故か彼女は息が詰まったように目を見開いた。


💜「っいや、大丈夫! ありがとね、」


早口でそれだけ言うと、くるりとスカートを翻して『桜の間』へと小走りで向かう18号さん。

まちこさんはそんな彼女を見つめながら笑っている。


❤️「…?」


💚「…まあじゃあキャメさん、行こっか!」


訳が分かっていないのは俺だけなのだろうか、と疑問を浮かべつつ、「じゃあ…ごめんね、まちこさん」と声をかけて二人で部屋へと向かった。




◆ ◆ ◆




夕食を済ませて、荷物の整理を終わらせてからまちこさんと別れ、温泉に入る。

部屋に戻ると、まだまちこさんは帰ってきていなかった。


❤️(…明日観光行くって言ってた時間、結構遅かったよな)


部屋に備え付けられた冷蔵庫を開けると、事前に18号さんが各部屋頼んでくれていたというキンキンに冷えた缶ビールと缶コーヒーが顔を出す。

そのまま手を伸ばし、缶ビールを一本。プルタブを開けると、ぷしゅっという気持ちのいい音が耳を通り抜ける。

口元まで運び、透き通った黄金色の液体を口に含もうとした瞬間。ガラガラ、と音がして、部屋の扉が開いた。


💚「え、キャメさんビール飲んでる! 私も飲みたい…」


❤️「まちこさん、お帰りー。そこの冷蔵庫にまだいっぱい入ってるから、飲んでいいやつだよ」


目を向けると、まだ少し頬の上気した浴衣姿のまちこさん。

彼女も荷物をまとめると、缶ビールを手に取って同じように心地よい音を響かせる。


💚「ねーちょっとキャメさん、聞いて欲しいんだけどさぁ…」


❤️「ん、どうしたの?」


彼女が俺に相談なんて、珍しいこともあるものだ。まちこさんは、少し躊躇ったように口を開いた。


💚「最近さぁ、ニキニキとかりぃちょがすごい絡んでくるっていうか。せんせーはもともとビジネスカップルーとか言ってよく絡んではいたけどさ、オフでもおんなじノリっていうか、なんていうか……」


❤️「うーん…つまり、まちこさんはニキくん達の距離が近いって悩んでるってこと?」


聞いてみれば、ニキくんやりぃちょくん、せんせーの絡みが度を越してきているのだという。


💚「さっきの『一緒に寝よう』とか、そういうノリも多くなってきて…向こうが全然本気じゃないってのは分かってるつもりなんだけどね、w」


❤️「──そうかな、でもみんな……」


本気だと思うんだけどな、と言いかけて、口を噤む。

こういうことは本人達で解決すべき問題で、俺に口を挟む隙はない。

こんなにも想われている彼女が羨ましいな、なんて思いつつ。

俺の脳裏には、何故かもう一人の女性メンバーの彼女がぎっていた。



【ルート2・完】

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