テラーノベル
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「真っ赤な恋を、キミと」
放課後の教室。
オレンジ色の夕日が差し込む中、
誰もいないはずの教室で——
「……また、居残り?」
後ろから聞こえた声に、レトルトはびくっと肩を揺らした。
振り返ると、そこにはクラスでも有名な人気者、キヨが立っていた。
「っ、キヨくん……」
「“くん”いらないって。キヨでいいのに」
にやっと笑いながら、
キヨはレトルトの机に肘をついて顔を覗き込む。
近い。
近すぎる。
「な、なに……?」
「レトさんさ」
ふいに、キヨの声が低くなる。
「最近、俺のこと避けてるでしょ」
どくん、と心臓が跳ねた。
図星だった。
だって——
好きだから。
こんな近くで笑われるだけで、
優しく名前を呼ばれるだけで、
期待してしまうから。
「……避けてないよ」
「嘘つき」
そう言ってキヨの手が、
レトルトの頬にそっと触れる。
「顔、真っ赤」
「っ……!」
逃げようとした瞬間、
ぐい、と腕を引かれて——
気づけば、壁際に追い詰められていた。
「キ、キヨ……っ」
「ねえ」
真剣な目。
いつものふざけた顔じゃない。
「俺さ、レトさんに避けられるの、ほんと嫌なんだけど」
「……っ」
「だって俺、レトさんのこと好きだから」
時間が止まった。
え?
今、なんて——
「……うそ」
「うそじゃない」
キヨは困ったように笑って、
でもすぐに真っ直ぐ見つめてくる。
「ずっと好きだった。
優しいとこも、かわいいとこも、
すぐ泣きそうになるとこも、全部」
レトルトの目にじわっと涙が浮かぶ。
「な、なんで……っ
そんなこと……今さら……」
「今さらじゃないよ」
キヨの指が、
レトルトの目元に触れて涙を拭った。
「もう我慢できなくなっただけ」
そのまま——
ちゅ。
額に、キス。
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「っ……!」
ちゅ。
今度は、鼻先。
「ちょ、ちょっと……!」
最後に——
唇に、優しく重なるキス。
一瞬だけ。
でも、胸が苦しくなるくらい甘くて。
離れたあと、
キヨが耳元で囁く。
「これで、もう避けないでね」
「……むり」
「え?」
「……もっと好きになっちゃうから……」
言った瞬間、
キヨの顔が一気に赤くなる。
「……それ、反則」
そう言って、
今度はぎゅうっと抱きしめられた。
夕日の教室で、
ふたりだけの秘密。
誰にも言えない、
でも世界でいちばん幸せな——
初恋のはじまり。
コメント
1件

ほんとなんかもう余裕あるようでない🐈⬛好き過ぎます!