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・これはsxxn様の二次創作です。ご本人様には一切関係ございません。
・キャラ崩壊等、暖かい目で見守っていただければ幸いです。
・学パロです。多分高校生。
・緑黄です。黄様視点です。友情出演として水様は出演してもらってますが、その他メンバー様はお休みとなっております。
・バレンタインは2月いっぱいまで有効です。なのでこれは遅刻ではありません。
・後半になるにつれクオリティが下がります。終わり方に関してはもうよくわかりません。
・コメントしてくださる場合、検索避けを徹底しますようお願いいたします。
以上を受け入れてくださる方は、どうぞ作品をお楽しみください。
「……はぁ」
ガヤガヤと騒がしい教室にて、俺は机に突っ伏しながらため息をついていた。変に卑屈になっているせいかやけに教室の騒音が耳に入ってくる上、それがいつにも増して不快で、思わず腕で耳を塞ぐ。
理由を説明するとなると、事は5分ほど前に遡る。
今日はバレンタインデー。世間がチョコやら恋やら浮かれるこのイベントに乗っかって、俺も密かに想いを寄せている彼――すちって言うんだけど――に、チョコレートを渡そうと意気込んでいた。
今日は彼も俺も部活がないので、近くのカフェのバレンタインフェアに、彼を誘うことができた。だからそこでさりげなく渡そう、と、思っていたんだけど……。
そう、俺は見てしまったのだ。後輩らしき女の子にチョコを渡されている、彼の図を!!
という感じで、俺の精神は削るを通り越してスパスパと刻まれている。
彼女、顔が赤かったし、チョコと一緒に手紙も渡していたし、大方告白だろうか。思い返して気づいたけど、そういえば彼女、部活の後輩が話していた1年生の中でもトップクラスにモテるらしい女子じゃんか。これは……俺に勝ち目はないな。
「あれ、どしたんみこちゃん。腐ったピーマンみたいな顔して」
「なんやねんそれ……」
唐突に降りかかった謎発言に思わず顔をあげると、俺の顔を覗き込む、幼なじみであるこさめちゃんと目が合った。口先はふざけてしかいないけど、瞳の奥にはうっすらと心配の色が宿っている。なんだかんだ優しいんやから。
「ほんまどしたん?頼りになるこのこさめさんに話してみぃや」
「……いやぁ」
そうやってドヤ顔をしながら自分の胸を叩くこさめちゃんを横目に、俺は目を伏せながら思考を巡らせる。
さて、どこまで正直に話すべきか。
まず、こさめちゃんには俺の恋の話はしてない。そして、俺が恋をしているんだと正直に話したら、こさめちゃんの場合、親身になりすぎるあまり変に自分事として気負いすぎる気がする。
あまり心配をかけないように、なおかつ疑われないように真実を混ぜつつ話すとなると――
「すっちーがさ、後輩っぽい女子にチョコもらっとるの見かけちゃってさぁ。俺は貰ってないんに、なんか先越されて悔しいなぁ、みたいな」
表情から悟られないように、頬杖をついて下を向きながら、ぽつぽつと言葉を紡いでいく。
よし、いいんじゃないか?結構ごまかせた気がする。
こさめちゃんの表情を伺うと、「心配して損したー」と言わんばかりの呆れ顔をしていた。OK、悟られずに済んだらしい。こいつはいっつも変に勘がいいから、バレずにすんだならそれだけで万々歳だ。変にこさめちゃんの口角がムズムズしている気がするけど、多分気のせいだろう。
「……みこちゃんさぁ」
はぁ、とため息をつきながら、こさめちゃんはそう口を開く。片手を俺の机に置いて顔をズイっとこちらに寄せてくる彼は、見た目はさておき、ヤンキーみたいな貫禄があった。圧がすごい。
「今日、すっちーと2人っきりになる用事ある?」
少し体を竦めながら彼の言葉を待っていると、その先に続いたのは予想外な問いかけだった。
いや、あるけど。あるけどなんなんよ?と伝えるみたいに、俺は片方の眉をあげてこさめちゃんの方をじっと見つめる。そんな俺の反応に、こさめちゃんはなぜかぶはっと吹き出して、我慢できないと言った様子で口元を抑えてくすくすと笑い出した。その様子に完全に混乱している俺に、こさめちゃんはとんでもないことを言い出した。
「すっちーと2人っきりの時さ、それ目撃しちゃったって、正直に言ってみぃや」
……え???
「ほ、本人に?」
「本人に」
「なんで??」
「いいから」
それだけ言うと、頭の上に大量のはてなを浮かばせている俺を置いて、こさめちゃんは自分のクラスへと帰っていく。完全に思考がフリーズしてしまった俺は、その姿を呆然と眺めながら、遠のいていく足音に耳を澄ますことしかできなかった。
ところ変わって、ここは駅前のカフェ。
そう、すっちーとバレンタインフェアに行く約束をした、あのカフェである。
「わ〜っ、全部美味しそ……」
ということで、目の前でメニューを見ながら目をキラキラ輝かせているのが、俺の想い人のすっちー。普通の男子高校生がこんなにも可愛く見えるとは、恋愛フィルターってやつの恐ろしさが身に染みる。
「ね、みこちゃんは何食べる?俺チョコケーキ」
「あ、俺?俺は〜……あ、パンケーキにしよかな」
「は〜い、んじゃ店員さん呼んじゃうね」
店員さんを呼び止めて満面の笑みで注文する彼をぼうっと見つめながら、俺はこさめちゃんの言葉を思い出す。
正直に言ってみぃやって言われても、言って何になるん?俺に更なる精神ダメージを背負わせたいん?いやいや、こさめちゃんに限って絶対そんなことはしないし。
「――ちゃん」
でも、だったらほんまになんで?正直に言ったらなんかあるんかな?多分そうなんやろうけど、何があるっていうんよ?
「――こちゃん」
でも、確かに俺もちょっと気になる。告白されたのか、とか。いや、だからどうってこともないし、俺がすっちー横取りするなんてこともできっこないけど。でも、もしほんまに告白されてて、すっちーがそれをOKする気なんやったら――
「みこちゃん?」
「わっ!?」
いつの間にすっちーが俺の顔を覗き込んでいたのか、急に彼と目が合って心臓が跳ね上がる。反射で彼の顔から自分の顔を遠ざけて、バクバクいっている心臓を窘めるために、心臓の位置にある服をぎゅっと掴んだ。彼も彼で、俺が結構な声量を出してしまったからか、目を見開いてきょとんとしていた。驚かせて申し訳ない。
「わわっ、どしたのよ?急にフリーズしちゃって。考え事?」
「あ、あー……まぁ、そんなとこ」
思わず彼の顔から目を逸らし、口をもごもごさせながらもなんとか返事をする。彼の声は「そう?」という投げかけと共にぱったりと聞こえなくなってしまって、おかげでだいぶ気まずい。いや、目を逸らしてる俺が言えたことじゃないけど。
めちゃくちゃ気まずくなってしまったけど、せっかくすっちーを誘えたこの機会にアレを聞かなきゃ、次いつチャンスがくるかもわからない。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、ともいうし。用法間違ってる気がするけど。
そう思い立ち、俺は逸らしていた視線をすっちーの方に戻す。すると、なぜか神妙な面持ちをしている彼と目が合った。それに多少疑問を抱きつつ、俺は勇気を出して口を開く。
「「あの!!」」
声が被った。
一瞬思考がフリーズしてから、俺のは彼の話よりも優先すべき話題ではないかなと思い、俺はまた口を開く。
「「あ、お先に……」」
また被ったんだが??
こうなると引くに引けなくて、俺は謎の対抗心を燃やしつつ、またまた口を開いた。
「すっちー先どうぞ?」
「いやいや、どうぞみこちゃんがお先に」
「いやいやいや、すっちーからどうぞ!?」
「……あ、それではあたくしの方から話させていただきますね?」
こほん、とわざとらしく咳払いをしてから、すっちーは真面目な表情になった。そして、かばんの中から何かをゴソゴソと取り出す。その様子に俺の中の好奇心は黙っていなくて、少しばかり身を乗り出しながら見届けていると、すっちーのかばんからは、高級そうなデザインの紙袋が出てきた。
「……あの、ハッピーバレンタイン。これ、みこちゃんに」
すっちーはどこか遠慮がちにふんわりと笑って、紙袋をこちらに差し出す。微妙に表情が強ばっているので、緊張しているのだろうか。
予想外の展開すぎて、俺は完全に呆気にとられる。正直意味がわかんない。
「……へ、おれに?」
「うん、俺の手作りのキャラメルマフィン……っあ、もしかして手作り苦手?」
「う、ううん。ありがと」
なら無理に受け取らなくても大丈夫、と焦りながら付け加える彼をぼうっと見つめながら、微かな理性で紙袋を受け取る。中をほんの少しだけ覗くと、シックでオシャレな四角い箱がちょこんと入っていた。なぜかとても丁寧に梱包されているから、変な期待がじわじわと広がってくる。
と同時に、俺も彼にチョコレートを渡そうと思っていたんだと思い出して、かばんからラッピング袋を取り出した。すっちーのあとだととても貧相に見えるけど、渡さなかったら俺がひとり虚しく後処理をすることになるので、絶対に渡さないわけにはいかない。
「あ、それなら俺も、これ渡そうと思ってて」
なんてぎこちなく笑って、すっちーにそれを手渡した。彼のリアクションが目に飛び込んでくるのが怖くて、思わず目線を下の方に下げる。
「へ、いいの?」
「すっちーのに比べたらしょぼいけど。チョコも市販のやし……」
「そんなことないよ!わぁっ、ありがとねぇ」
俺の手からラッピング袋を受け取り、そう言うすっちーの声色は、今までで聞いた中でもトップレベルに明るくて、語尾もやけにはねていた。なんだか、午前中授業の時の学生のような、そんな雰囲気。つまり……浮かれてる、ってこと?
まぁ、すっちーチョコ好きだしね。好きな物もらえるのは嬉しいじゃん、誰でも。なんて、胸の奥でぶくぶく膨らむ感情を抑え込みながら、内心でそんなことを呟く。
「……ねぇ、すっちー」
目線どころか顔全体まで膝元の方を向き、自身の震える手足を見つめながら、俺はそう切り出した。空気が幾分か柔らかくなった、今しかないと思った。
「ん?」
一文字だけで十分にわかるくらいに機嫌の良さげなすっちーの声が、俺の俯いた頭上から降ってくる。
罪悪感で胸がチクリと痛むけれど、ここまできたら引き返せない。
「俺さ、見ちゃったんよ」
「見ちゃった……って、何を?」
「すっちーが、女子にチョコもらっとるとこ」
空気が凍った。
驚いたら間抜けな声が出るすっちーでさえ、ひゅっと喉を鳴らして、一言も言葉を発しない。
さすがにいたたまれなすぎて、俺は俯いていた顔を上げ、身振り手振りをいつもの倍以上に多くしながら、早口で言葉をまくしたてた。
「あ、いや、だからどうってのはないんやけど……いや、お前は俺と同じ仲間やと思っとったからさ?抜け駆けされて悔しいなぁ、って」
ね?と、ぎこちない笑みを作ってみる。それでも、すっちーは口を微かに開けて固まったまま。どうしよう、俺の数少ない引き出しを全て開けても、これ以上の対処法が何も思いつかない。
ああもう、こうなったら当たって砕けるしかないだろ!!そう思って、俺が今彼に一番聞きたいことを口に出すことに決めた。
「告白……されたん?」
その言葉にすっちーはぴくりと反応したのち、少し躊躇うように眉を下げてから、口をぎゅっと結んでこくりと頷く。
あー、これは俺、無理だ。あの女子に勝てる自信なんて、ない。
鼻の奥がツンとする。やけに喉が痛んでくる。だけど、涙を流せばいらない心配をかけてしまう。それだけが嫌で、だけど我慢もできそうになくて、俺はまたもや下を向く。
「でも、断ったよ」
すっちーの言葉に、俺はすぐに顔を上げた。ばっちり目が合った彼の顔は、何かを決意したようにキリッとしていた。そんな彼とは違い、俺の頭にはスペースいっぱいにはてなが浮かんでいる。
なんで?あの子のことよく知らんけど、あんな人気な子彼女にできたらなかなかの自慢よ?特段性格が悪い、とかいう話も聞いたことないし。もしかして、友だちがその子のこと好きとか?ああ、確かにありえるかも。
なんて一人で納得しつつ、最悪の可能性が脳裏によぎる。それに対する本人からの否定が欲しくて、俺は追加で話を引き出す。
「なんで断ったん?」
すると、すっちーは少し言い淀みつつ、控えめな声量でこう言った。
「す、好きな人……いるから」
はーい終わりー。俺の恋終了ー。
耳が少し赤くなっているすっちーを見て、俺の頭の中で試合終了のゴングが鳴り響く。最悪の可能性を引いてしまった。すっちーに恋してもらえとる人とか、前世でどんな徳積んどんねん。重力でも見つけたんか?
あー、泣きそう。女々しすぎる、なんて引かれたっていい。とりあえずこの感情をどこかに吐き出させてくれ。
「……ねぇ、みこちゃん」
「んー……?」
ぎゅうと絞まる喉から死にかけた声を出し、すっちーの方に視線を向けると、そこには姿勢を正してこちらをじっと見つめる、なんだか厳格な雰囲気を纏っているすっちーがいた。
そんな彼を見て、思わず俺も姿勢を正す。
「あのっ、あのね」
顔全体を赤く染めながら、口をぱくぱくさせて、すっちーは一生懸命言葉を紡ぐ。
なんだか、この光景には既視感があった。そう、この前話題だからと鑑賞してみた映画の、あの告白シーンみたいな――その時のヒロインに、すっちーが酷似していた。
あれ、これじゃあまるで、これから俺が告白を受けるみたいじゃんか。やだなぁ、すっちーには好きな人がいるって、今さっき聞いたばっかなのに。
表面上ではそんな風に考えつつ、俺の本当に心の奥の奥では、期待の感情が溢れんばかりに膨れ上がっていた。だって、あんなに丁寧な梱包がされたマフィンを渡してくれて、俺のチョコもとってもルンルンで受け取ってくれて。さっき好きな人がいるんだって聞いた時だって、俺のことなんじゃないかって、本当はちょっぴり嬉しかった。
そんな感情は奥底に封印して、俺は彼の言葉を待つ。彼の言葉はどんなものか予測できないけれど、なんとなく、これで全てが決まってしまう気がした。
忙しなく泳いでいたすっちーの視線が、俺の視線とバッチリ合った。それから、固く結んでいた口を開いて、勢いよくこう言った。
「俺、みこちゃんのことが好きです!あのっ、良かったら恋人になってください!!」
ガヤガヤとした他のお客さんの声が、すぅっと耳に入らなくなった。
彼の言葉だけがなんの抵抗もなく聞こえて、俺の脳内で何度も反響する。
これは夢だろうか。頬をつねる。痛い。ってことは、現実?
心の奥底に封印していた期待が、「どうだ!俺たち間違ってなかっただろ!」と言うように、姿を喜びに変えて俺の胸の内を支配する。
さっきまで死ぬ気で我慢していた涙が、みるみるうちにどんどん頬を伝って、俺のズボンにぽつぽつ跡を作っていく。抑えようとしてもなぜか止まらなくて、結局、すっちーに慌てて差し出されたハンカチを借りてしまった。
少しだけ経って、ハンカチとプライドでなんとか涙をせきとめた後、ハンカチをできるだけ丁寧にたたみ直してから彼に手渡す。
「すっちー、ハンカチありがとね」
「いえいえ、これくらいいいのよ」
俺からハンカチを受け取ったすっちーは、笑ってはいたけど、その表情はぎこちなかった。無理もない、勇気をだして告白した相手に、なぜか泣かれてたんだから。それがポジティブな感情からきているのか、ネガティブな感情からきているのか、ただ泣かれてるだけじゃわからないしな。
「……すっちー、さっきの返事していい?」
だから、さっさと彼を安心させてあげよう。そんで、ふたりでスイーツを満喫しようじゃないか。
俺の問いかけに、すっちーは顔を強ばらせる。そして、覚悟を決めたのか、こくりと頷いた。
「こんな俺で良かったら、すっちーの恋人にならせてください」
多分、赤くなってしまっただろう目元を細めて、俺はにっこりと笑ってみせた。
俺がそう答えたあとのすっちーの表情は、今まで見たことがないくらいの満面の笑みをしていた。
緑「実はさ、こさめちゃんに、「今日みこちゃんに告白しな」って言われたんだよね」
黄「ほぇ、すっちー、こさめちゃんに恋愛相談でもしとったん?」
緑「そうそう。けど、いっつも俺の話聞いた後に軽くアドバイスくれるだけだったから、いきなりそんなん言われてびっくりしたわ」
黄「……あ、もしかしたらアレのせいかもしれん」
緑「アレ?」
黄「すっちーがチョコもらっとるの見たあとね?俺もこさめちゃんに話しかけられてさ、すっちーがチョコもらってるの見ちゃったんよーって言ったら、「見ちゃったの正直に言ってみたら?」って言われて」
緑「なるほど?」
黄「……ってことは、さっきまでの俺ら、全てはこさめちゃんの手のひらの上で踊らされてたってこと……?」
緑「……まぁ、結果的に上手くいったし、こさめちゃんには今度スルメイカでもあげようかね」
黄「俺も、今度ポ〇カ買ったげるかぁ」
お久しぶりです。
長らく更新しておらずすみませんでした。帰ってきたらフォロワーさん増えててびっくり。こんなアカウントをフォローしてくださりありがとうございます。
余談ですが、緑様が黄様にプレゼントしたキャラメルマフィン、あれ実は
キャラメル→癒される、安心する
マフィン→あなたは特別な人
という意味があるんですよね。
このこだわりを話したかったんです。ここも読んでくださってる方、本当にありがとうございます。
これからも不定期更新だと思われますが、気長に待ってくださっていたら幸いです。
改めて、ここまで読んでくださりありがとうございました!!