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横浜の海から命からがら生還した俺と山城を待っていたのは、志摩が手配した一台の救急車だった。
だが、その行き先は病院ではない。
新宿の地下深く、かつて三和会が中枢として利用していた旧シェルター跡地へと続く秘密の入り口だった。
「……松田は?」
車内で応急処置を受けながら、俺は志摩に尋ねた。
志摩は無線機を操作しながら、短く答える。
「命に別条はないが、戦線復帰は無理だ。…あいつの分まで、お前がケリをつけろ」
東京の地下深く。
そこには、神崎が「亡国計画」のために構築した超高速通信サーバー『ヤタガラス』が存在する。
これが稼働し続ければ、日本の全インフラ
個人情報、国有資産が、プログラムされたアルゴリズムによって自動的に海外へと売却され続ける。
止める方法は、サーバーの中枢にある「物理キー」を破壊すること。
だが、その地下回廊は現在、三和会の過激派を束ねる狂犬・阿久津と
彼に雇われた海外の傭兵たちが完全に要塞化していた。
「阿久津……あの、大河内の親父に破門された男か」
山城が、包帯を巻いた腕をさすりながら呟く。
「ああ。力こそがすべてという旧時代の亡霊だ。神崎のシステムを利用して、この国を暴力が支配する『暗黒街』に戻そうとしている」
地下への入り口は、廃墟となった地下鉄の連絡通路にあった。
重い鉄扉を開けると、冷たい電子機器の廃熱と、硝煙の匂いが混じり合った独特の空気が漂ってくる。
「黒嵜、ここから先は電波が届かない。バックアップは期待するな」
志摩が、一挺の特殊な電子パルス爆弾を俺に手渡した。
「サーバーのコアにこれを叩き込めば、すべてが終わ
る。…だが、阿久津はそれを待っているはずだ」
「……待たせておけよ。俺も、あいつとは一度話をつけておきたかったんだ」
俺は親父のドスを腰に固定し、暗い通路へと踏み込んだ。
背後で、山城がショットガンの装填音を響かせる。
地下の暗闇から、無機質な軍用ブーツの足音が近づいてくる。
この国の「心臓」を止めるための、最後のカウントダウンが始まった。