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見上げると白豚が立っている。
普段照れて近づいて来ない白豚が、立っている。俺は一瞬恐怖を忘れて、その姿を見つめていた。
生きろと訴えかけているような、力強い瞳だった。その瞳を見ている内に、ボヤけていた視界がはっきりとしてくる。
男を見せろと脳が叫んでいる。
惚れた女の前で、情けない姿は見せられない。
首をぐるぐると回して、音を二回鳴らす。おれは状況を整理し始める。
食べない事を始めて明日で8日目。体はもう限界で、おそらく後3日以内で俺は死ぬだろう。
そうなれば、俺の高尚な豚になると言う目的は達成出来る。
問題はトニーが俺を食べようとしていることだ。これを、避けなけれは高尚な豚にはなれない。トニーがどうすれば俺を食べたくなくなるか。
頭をフル回転させて、俺は答えを導き出した。そうだ、病気を装おうしかないと。
俺は白豚に感謝した。君がいなければ俺は挫けていたかもしれない。そして、謝らなければならない。どんなに好意を寄せてくれても、俺は君とは一緒になれない事を。