テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼女の怒り、悲しみ、そして絶望。
すべてが痛いほど伝わってくる。
かつての自分を見ているような、そんな錯覚さえ覚える。
けれど、ここで情に流されてはならない。
彼女を戦力にするには、その絶望を燃料に変えさせるしかないのだから。
「家族ごっこよ。自分が好きなように弄べる玩具を、少しの間だけ可愛がるだけ。飽きたら……ほら、こうやって捨てるの。私の母親も父に殺されたの」
わざと嘲笑するように言ってみせる。
内心では胸が締め付けられるようだった。
自らの傷口を広げて見せるような行為。
「え……っ、」
ダイキリが何かを言いかけるが、声にならないまま、やがて静かに涙を流し始めた。
嗚咽を堪えるように口元を押さえ、肩を震わせる。
酒場には、機械的な呼吸音と、彼女のむせび泣く声だけが響いていた。
しばらくして、彼女はぽつりと呟いた。
「じゃあ……どうすれば、いいんですか……?」
私はその言葉を待っていたと言わんばかりに、唇を歪めて笑った。
「簡単なことよ」
「……え?」
ダイキリが顔を上げる。
涙で濡れた瞳に、かすかな火が灯る。
「貴方も、私たちと一緒に父への復讐に協力してちょうだい」
「ふ、復讐に協力……ですか?」
「えぇ、そうよ。貴方の母親をあんな目に遭わせた男への復讐。貴方にもぜひ協力して欲しいの」
「もちろん強制じゃないわ。ただ、貴方のお母様の件が解決するかもしれないし、何より貴方自身のためにもなると思うのだけれど」
私はできる限り優しく微笑んだ。
姉が妹を導くような、そんな慈愛を演じて。
だが、それはあくまで表面的なものに過ぎない。
その内心では、彼女をどう駒として動かし、父の喉元へ送り届けるかという冷酷な計画を練っていた。
「私の……ため……?」
ダイキリの声には不安と疑念が混じっている。
「そうよ。貴方はまだ若いし、未来もある。だけど今のままじゃ一生母さんの影に囚われることになるわ。貴方のお母さんのためにも、そして貴方自身のためにも、この機会を利用してみない?」
その言葉に、ダイキリは一瞬戸惑いの表情を見せた。
迷い、葛藤し、そして自分の中に芽生えた黒い感情を見つめる。
だが、次の瞬間には決意に満ちた顔つきに変わり、強く頷いた。
「…っ……これも、母のため…。不倫相手の娘さんと分かると後ろめたさは感じてしまいますけど……そんな人が父親だったなんて…母を帰らぬ人にしたなんて……」