テラーノベル
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チョリソ攻防戦を終え、負け犬になった俺はテーブルへとどかっと座る。
すると、ジャガーも何故か目の前に腰掛けた。
「ちょっと、このテーブル、リガルドの領地なんですけどー」
「はぁ? そんなもんどこにも書いてねぇわ。大体見ろ、それを」
ジャガーが指さした先に、鉄製の歯車が置かれている。
「席取り用にそいつを置いておいた。これはギデオンの国章、つまりここはギデオンの領地だ」
「ふん、こんな歯車、ただのコースターかと思ったわ」
「てめぇ国章の上にグラス乗せんじゃねぇよ!」
国章を席取りに使うのもどうかと思うぞ。
このまま席を明け渡したら負けな気がするので、お互い対面になったまま食事をとる。すると奴はステーキ二枚平らげた後に、こちらに勝ち誇った笑みを浮かべる。
「デブのくせに食うの遅ぇんだな」
「カッチーン、全てのデブが飯食うの早いと思わないでくださるー? 少食のデブだっていますし。後デブって言われるの不快なんでやめてくださるー?」
「自分で散々デブって言ってんじゃねぇか」
「自分で言うのは良いんですー。人に言われるとカッチーンってくるんです」
「繊細なデブだな」
はぁ? この野郎、ギデオン焼け野原にしたろか。
それから俺とジャガーは急遽始まったフードファイトで勝負することになり、ひたすらバイキングの料理を口に詰め込んでいく。
引くことを知らず、お互い腹がはち切れんばかりに膨らんでいく。
テーブルには回転寿司かと思うほど皿が高く重ねられ、バカほど平らげた俺とジャガーはお互い睨み合う。
「そこそこやるじゃねぇか」
「そっちこそ、その華奢な体によく入るもんだ」
二人共青い顔をして「うっ」と呻き、口からの逆流を押さえるために手で塞ぐ。
こいつ意地だけで行動してるな。なんて頭の悪い王子なんだ。俺は後頭部にブーメランを突き刺しながら、呆れた目でジャガーを見やる。
数分して、なんとか喋れるようになるとジャガーが口を開いた。
「おい、リガルドの狙いは何だ?」
「狙い?」
「そうだ、ギデオンを除いた4カ国のうち正義バカのガレス、自分の意思のないアクアレムは除外して、トリスタンとリガルドの思惑が見えねぇ」
あーなるほど、よその国の視点から見るとリガルドもよくわかんない国の一つになるのか。確かに今回の会議では、ほとんどガレスに噛みつかれてそれの回答に終始してた。
「俺の狙いというか、メッサー王からの指示は出席国で連携をとることだけど」
「嘘つくんじゃねぇよ。前回お前らが何言ったのか覚えてないのか?」
「前回は確かイヤミルが出たんだろ? 俺その時の話聞いてないんだ」
「全ての国は我が傘下に入れ。さすればリガルドの最強部隊が魔獣ごとき蹂躙してくれる。世界の支配者はリガルド帝国だ、ザコ国はひれ伏せ」
「イヤミル言いそ~」
「高圧的な鷹派の第二王子から、メタボ第三王子にかわったら一気に消極的になった。これはこれで真意が見えなくて薄気味悪い」
「考えすぎだぞ」
「聞かせろよ、リガルドはどこと組むつもりだ? それとも狐狼を貫く気か?」
「まだ考え中、ただガレスだけはない」
「あぁ、魔獣そっちのけでお前に噛みついてた奴だな。リガルドはあんな野良犬相手にしないと思ってたぜ」
「犬じゃないんだよねぇ……」
ほうっておくと、いずれリガルド帝国を滅ぼしに来る。
「理由はあるのか?」
「……あいつは顔が気に入らない。主人公ですみたいな顔をしている」
ジャガーは少しツボったのか、クククと笑みを浮かべる。
「めっちゃウケてるな」
「いや、リガルドみたいな大国が、まさか顔が気に入らないとかいうルッキズムの話をしてくるとは思わなくてな。確かに俺が世界の中心ですって顔してるな」
「革命起こしたから波に乗ってる。今なら魔王でも倒せると思ってるぞ」
「まぁあいつは王子と違って、実質王みたいなもんだからな。自分の判断で軍を自由に動かせる。オレたち王子や王女が扱えるのは、精々この砦にいる人員くらいのもんだ」
そう、共和制のガレスには王というものが存在しないため、実質革命を起こしたグローリーが最高指導者となる。ここが俺達と立場が違い、彼の決定=国の決定となる。
「なんの為に共和制にしたんだ。グローリーが好き勝手軍を動かしてたら、ただの独裁だろ」
「正直なところ聞きたいが、リガルドが魔獣防衛壁に軍を動かす可能性はどの程度あるんだ?」
「俺は壊れかけてる防衛壁を直せって言われてるだけで、軍事行動を起こすつもりは今のところない。俺は戦争はしないって決めてるんだ」
「……なるほどな」
納得したのか腑抜けと思われたのかはわからないが、ジャガーは頷いてから立ち上がる。
「リガルドの料理もそこそこ悪かなかった。また明日」
「また明日」
なんか最後仲良くなっちまったなと思いつつ、俺はヨハンナ達と共に自室へと戻る。
石造りの廊下を歩いていると、壁に背を預けて立っている金髪の少女の姿があった。
「君は」
「魔法騎士国トリスタン代表、ソニア・ブランネージュだ」
学生服のような騎士服。凛々しく気品ある顔立ち。
立ち姿はモデルのように美しい。
ここにいるってことは、俺に話があるってことだろう。
俺はヨハンナ達を先に部屋へと返し、二人で向き合う。
「突然失礼。少しだけリガルドとも話しておきたくて」
「チョリソ返して」
「……このダークライン、貴公はどう思う?」
めっちゃ無視された。
「ここはその昔、人々が住まう文明あふれる美しい場所だった。それが今は荒野と化し、魔獣が我が物顔で闊歩する。……人類の屈辱だとは思わぬか?」
「チョリソ返して」
「その場にあった文化を破壊し、虚無と化す。それは人類の進化を否定する恐ろしいことだ。人々が築き上げた美しき文化と大地を守る、それこそが騎士の使命ではないか?」
「チョリソ返して」
「私は魔獣だけでなく、リガルド帝国も同じことをしているのではないかと危惧している。他国を侵略し、文化を破壊する蛮行。決して容認できることではない」
「チョリ――」
「ああもう、うるさい奴だな! 今度箱で返してやる!」
「ありがとう」
「それで貴公はこのダークラインをどう思うのだ!?」
ソニア王女は、肩を怒らせながら俺に詰め寄る。
「魔獣を封じ込められてるならそれでいいと思うけど」
「魔獣の積極的駆逐は必要ないと?」
「魔獣は魔界からやってくる。数に限りはあると思うけど、現状ほぼ無尽蔵な状態だ。このダークラインにいる魔獣を全部倒したとしても効果は薄いんじゃないかな?」
「無意味と?」
「そうは言わないけど、数のわからない大部隊と戦わせるようなものだ。自軍の被害が大きくなりすぎる。魔獣を駆逐するというより、魔獣がやってくる転送門を破壊するのが良いとは思う」
そう提案すると、王女は「わかっているならなぜ」と言いたげな怖い表情をする。
「ならなぜ会議でそれを立案しない? 大国であるリガルド帝国が先陣を切って戦うと言うべきではないか!?」
「今回の会議は、魔獣の数を減らすことじゃなくて壊れかけた防壁を直すことだと思ってるからです」
「リガルドがその姿勢では、ダークラインの奪還は不可能だろうな」
「ソニア王女は、人々の為に魔獣と戦うってのがダークラインにいる目的ですか?」
「……かつて私の住んでいた場所は、魔獣の被害によって滅んだ。この苦しみを民に味合わせるわけにはいかない。皆魔獣が壁の裏にいるから、その危機に気づいていないのだ」
「…………」
「私からはそれだけだ」
俺は彼女の背中を見送った後、ようやく見せてくれた手札を理解する。
「なるほどな、復讐か」
一番冷静な顔をして、腹の中には故郷を魔獣に奪われた怒りが渦巻いている。
恐らくだが、故郷だけでなくもっと大事なものも失っている気がする。
例えば……家族とか。
コメント
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第26話読み終わったよ〜!!🌸 いやもう冒頭のチョリソ攻防戦からジャガーとのフードファイト、最後はソニア王女の重い過去…! ギャグとシリアスの振り幅がエグすぎて息継ぎできないまま走り抜けた感ある🤯💦 特に「チョリソ返して」のループめっちゃウケたw 真面目な空気ぶった切る感じ、この主人公のキャラ好きすぎる! でも最後のソニア王女の「復讐か」で一気に空気変わったの、ゾッとしたというか…背筋伸びた。 次回も絶対読みます🎀✨
🍎🥧アップルパイ
53
#ブルーロック
🍎🥧アップルパイ
59
#もしかしたらグロいかも
海月
38