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❤️side



その日の夜遅く、俺は阿部の家を訪ねた。

おそらくここには、翔太もいるはずだ。敢えて予め連絡しなかったから、二人がいるかは賭けだった。



💚はい



インターフォンから、警戒したような阿部の声がした。

カメラで姿は見えてるはずなので、俺は敵意がないことをアピールするために両手を上げた。



💚今開けるね



ロックが外れる音がして、俺は阿部の家に向かった。

部屋には、阿部が一人。

しかし、俺にはわかっていた。



❤️翔太、来てるんでしょ?どこ?


💚………


❤️お前たちが秘密にしたいなら、別に俺はこのことを誰にも言うつもりはない



阿部はじっと俺を見つめた。

そして、観念したように言った。



💚翔太、出ておいで。舘さんはもう知ってるみたい



ガチャ。



奥の寝室から、バツが悪そうに、翔太が出て来た。



💙よぉ


💚やっぱりゆり組は騙せないね


❤️そんなんじゃないよ



俺は、自分の携帯に、とある日に盗撮した二人がキスしてる写真を見せた。



💙げ


💚あ


❤️動画もあるけど、見る?


💚あ、見たい


💙ばかっ!消せっっ!!!



翔太が暴れて、携帯を奪おうとするのを避けながら、俺は二人の動画を阿部宛てに素早く送信した。

これで職場で見たくないものを見せられる機会が少なくなるだろう…。

これぞ正義。



❤️今日はお前たちに折り入っての頼みがあってここへ来た。



俺は咳払いをして、二人に正対した。



💙なんだよ



翔太は何も気づいていないようだが、勘のいい阿部は今日俺が訪ねて来た意図をわかっているようだった。



💚佐久間のこと?


❤️そうだ


💙佐久間?


❤️今更聞くまでもないが、お前たちは順調なんだろ?


💙……



阿部はもじもじして答えない翔太を見て、ここは自分が責任を持って話そうと決めたようだ。

無理もない。翔太は照れ屋だから。



💚もちろん。ちゃんと撮れてたでしょ?仲良しだよ


❤️それならいいんだ…。幼なじみとして嬉しくもあるし


💙涼太…


❤️それにしてもよくこのじゃじゃ馬を乗りこなせるな阿部


💚俺じゃなきゃ無理


❤️だろうな。俺じゃ無理だった


💚無理だった…?


❤️翔太は覚えてないと思うけど、俺の初恋は翔太だからな


💙はぁっ?????


💚へえ



阿部は大して驚いてない。

翔太に惚れるのは当然と言わんばかりだ。それにひきかえ翔太はパニックに陥っている。



❤️翔太。ゆり組の時、好きだから結婚してって俺が言ったの覚えてない?


💙は?え?はぁ????


❤️翔太は、俺は仮面ライダーと結婚するからと言って俺のプロポーズを断ったんだ


💙………


💚ぷっ!ぎゃははははははは!!!



阿部が腹を抱えて笑い出した。

俺にとっては苦い思い出なのに…。



💙…ガキの頃の話だろ///


❤️俺にとってはほろ苦い思い出だ


💚ひー!お腹痛い!!うはははははは!!!



阿部はまだ笑い転げている。



💙もう!!!いいから本題に入れよ!



翔太は赤い顔をして俺を促す。



❤️ああ、そうだった。阿部、この通りだ!佐久間をちゃんと振ってくれないか?


💚…ぷ。…やっぱりそういうことか



少し笑いの余韻が残っていたが、阿部はなんとか切り替えてくれた。



❤️頼む


💙なに?佐久間がどうかした?



翔太の勘の鈍さには本当に呆れるしかない。

佐久間が倒れてあれだけ大騒ぎになったのに、ただの体調不良だと本気で思っているようだ。



❤️佐久間が阿部のこと好きなのは翔太だって知ってるだろ


💙うん、俺もそれは知ってる


❤️あの日、俺ちょっと佐久間とあってさ


💚やっぱりね


💙待て待て俺を置いていくなよ


💚翔太は黙って。本当に頭悪いんだから


💙バカにすんなよ!俺だってなあ!…むぐっ!



阿部が暴れる翔太の口を塞いだ。



❤️俺はあの日佐久間に完全に嫌われてしまったんだ

主役は佐久間くん

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