※スターチスとは全く違う世界線。
そしてすごく長い。
俺はΩとして出来損ないだ。
見た目もそうだし、何より子供を作れない。
そのくせ一丁前にヒートはきて、みんなやクロノアさんに迷惑をかけてる。
クロノアさんはいつもゴムを着けて行為をしてくれる。
いくら子供を作れないからと言ってもαとしての本能はあるはずなのに。
ゴム着けなくてもいいんですよ、と行為後に言っても毎回クロノアさんは曖昧に笑ってそういうつもりでしてるわけじゃないと言うのだ。
俺がこんなんだから、子供も作ることができないから。
あの人が処理だとかそういう不誠実な理由で俺と番になったわけじゃないのは分かってる。
だけど、作れないにしても俺とちゃんとするのが嫌なのかなって思ってしまう。
いや、そもそもΩであることを伝えたら驚いていたし俺のことはβと思っていたらしい。
フェロモンもロクに出せないからしょうがない。
自分がこうなってしまった原因を話せないでいるから。
話したくない。
…知られたくない。
……思い出したくもない。
「ゔっ」
未だに鮮明に残る記憶。
クロノアさんだからこそ触れられてもなんともないけど、それでもまだ憶えている。
慌ててトイレに駆け込む。
出てくるのは胃液ばかりで。
突然のヒートとも重なって体調は最悪だった。
「ぁ゛…ぐ、ぅ…っ」
中学に上がったばかりの頃、心も体も未成熟で自分がΩだということをまだなんとなく受け入れられずにいた時。
担任だった先生に襲われた。
「ぉ、え゛…」
…急に来たヒート。
俺のフェロモンに当てられた先生が俺のことを襲ったのだ。
ギリギリ未遂で済んだけど、その時に受けた心身の深い傷で俺はΩとしての役割も義務も果たせなくなった。
幸い先生はβだったし、αのように項を噛まれて番関係にもならなかったが。
「お前のせいだ」と先生に責め立てられ、認めたくなかった自身の性を真っ向に否定された気になった。
俺はなりたくてΩになったわけじゃないのに。
ヒートだって、あの時は突然でどうしようもなかった。
ありがたいことに周りで俺のことを責める人はいなくて、味方になってくれる人ばかりだった。
それでも深く傷付いた心も体も、二度と戻ることはなかった。
どうにか立ち直り、自分の性とも向き合えるようになった時にみんなと出会った。
ただ、そんな隠していることがあって不出来なΩなんかといてもαであるクロノアさんにとって何の得にもならない。
それでも、好きで離れたくない。
こんな俺でも、好きでいてくれるクロノアさんから離れたくなくて。
「……」
薄っぺらなお腹を撫でる。
ホントなら、そういう器官はあるのにちゃんと機能してない。
「…ないほうが、いい」
億が一、子供ができたとしてもクロノアさんは喜ぶだろうか。
あんなふうに曖昧に笑って、そういうつもりじゃないと言う人が。
ゴムを着けてシてくれるのは優しさだけじゃなくて裏があるんじゃないかって勘繰る自分が嫌いだ。
子供もできないし、普通より面倒ごとが少ないΩの俺は性欲処理とすれば都合がいいはずなのに。
いや、見た目が可愛くも綺麗でもないβっぽい俺なんか嫌か。
クロノアさんとの触れ合いやコミュニケーションも軽くしていれば別に平気な俺もヒートの時さえ気をつけていれば生活に支障はない。
今回のが特例なだけで。
「よりによって、月1、2回でのシたあとにヒートくんなよ…っ」
浅ましい汚らわしい。
向き合えたとしても、自分の第二の性が本当に嫌いだ。
「くっそ…!」
規定量の抑制剤を大量の水で飲む。
熱を帯びる体を冷やす為に冷水も浴びる。
どうにかして上がろうとする熱を抑え込む。
「もう、クロノアさんには、触ってもらえない…」
月に1回か2回、せいぜい3回と決めてる。
番になった時にクロノアさんが1番に取り付けた約束だ。
「……やっぱ、やなのかな、…俺なんかと番なの…」
鏡に映る冴えない表情。
Ωらしくない体つきに顔立ち。
こんなの襲ってあの先生は人生棒に振って。
中学生になりたてなんて、みんな未成熟なんだから。
俺のフェロモンに当てられただけ。
そこまで考えて気持ち悪くなる。
「……」
冷水のシャワーを鏡に当てた。
水が当てられたことで歪む鏡に映る俺。
「ははっ、」
無意識に項を触る。
もう噛み痕は残ってないけど、色濃く纏われるクロノアさんのフェロモン。
項に爪を立てるように引っ掻く。
「…あーぁ、俺なんかいなくなればいいのに」
不出来で出来損ないの俺の巣作りなんて、それに相応しく中途半端で褒めてもらえるようなものじゃない。
そもそも人の私物を勝手に使うことに躊躇いがあるから、自分のベッドにあるのはクロノアさんが寒いだろうからと貸してくれた、返しそびれたパーカーひとつだけ。
それだけを抱き締めて、自室に鍵をかけてひたすら耐えた。
あの人らしい彼本来の優しい匂いとそれに合ったフェロモンの匂い。
意味のない行動に失笑する。
疼くお腹の中を埋めて欲しいなんて気持ちの悪いことを考えて。
優しさで貸してくれたクロノアさんのパーカーに顔を埋めて、自分を慰めるようなことをして。
急なヒートになったのはクロノアさんには言わなかった。
迷惑かけたくないし、手を取らせたくなかった。
違う。
俺がただあの人に面倒だと思われたくなかったからだ。
ぺいんとだけには伝えた。
突然またヒートがきて、1週間くらい迷惑をかけることを。
クロノアさんにだけは絶対に言わないで欲しいことを。
渋々納得したぺいんとは、なんかあったらすぐ連絡してくるんだぞと言ってくれた。
「っ、くそ…」
部屋に充満する自分のフェロモンに吐きそうになる。
もう1回シャワーでも浴びようとのろのろと起き上がって鍵をかけていた自室から出た瞬間腕を引っ張られた。
「は…⁈」
まさか泥棒⁈そんなわけないだろ!なんて顔を上げる。
「⁈、く、ろの、あ、さん…⁈」
自分のフェロモンに悪酔いして分からなかった。
しまったと掴まれる腕を振り払おうとしたけど、かなり強い力で掴まれていて振り解けない。
どうしてここに、何をしに、何でそもそも、
なんてヒートで回らない頭が余計に混乱する。
「はな、してくださ、い…っ!」
「……」
何で怒ってるのか分からない。
出てきたばっかの自室に引き戻されてベッドに放り投げられる。
「い、って…!、ちょっと、いきなり来て、なにを…っ!」
「うるさい」
動かないように動きを封じられた。
もがこうにもクロノアさんの剣呑とした視線に固まる。
その上、吐き捨てるような冷たい言い方。
「俺に何で黙ってんの。ぺいんとには話せて、番の俺には言えないってどういうこと?」
「そ…それは、」
迷惑だと思われたくなかった。
口籠るとクロノアさんは小さく溜息をついた。
「…そう、言いたくないってわけ」
ちらりと俺の背後に視線を移す。
それを追うように俺も後ろを見た。
そこにはクロノアさんのパーカーがぐしゃぐしゃになってベッドに広がっていた。
「俺のパーカーでなにしてたの」
「っ、つ、ぁ…」
見て分かるはずなのに、途端に自分の浅ましく汚らしい部分が死ぬほど嫌になって涙が溢れてきた。
こんな俺いなくなればいいのに。
目の前の自分の番に相応しくない俺なんて。
ベッドに縫い付ける手の力は全く緩まない。
寧ろ強くなる一方で。
「…クロノアさん」
「……」
「番、解消してください…」
そう言った瞬間、溢れるんじゃないかってくらい翡翠色の目が見開かれる。
「こんな俺、嫌でしょう…あなたに相応しくない、不出来で出来損ないの俺なんて…浅ましくて汚らわしい…クロノアさんに隠し事ばかりしてる俺のことは、…捨ててください」
もう言ってしまおう。
そして嫌われて捨ててもらおう。
「前に言ったことありましたよね、子供は作れないって。……俺、中学生になったばっかの時、担任に襲われたんです。ギリギリ未遂でしたけどね。その時に心身にダメージくらって…そのせいで、作れないんですよ。…俺は一生、好きな人を幸せにできないんです」
鮮明に覚えてる、あの時のこともあの言葉も、担任の全てを。
「…他人に触られるなんて、って思ってたのに、運命には逆らえないんですね。…あなただったから、俺は平気でした。…でも、もうそれも今日で終わりです。…俺のことは捨て置いてクロノアさんは他の人と幸せになってください。ちゃんとした人と」
動揺で少しだけ緩んだ力を見計らって下から抜け出す。
「例え、あなたにとって都合のいい存在だったとしても嬉しかったです。その時だけは、過去の嫌なことも忘れることができてました。俺、幸せでした。クロノアさんありがとうございました」
俺のフェロモンに充てられてるはずのクロノアさんから離れる。
特にこの部屋には濃すぎるフェロモンが充満している。
それなのにここまで冷静を保っていられるクロノアさんは、俺のことは番としてじゃなくてやはり都合のいい存在と思ってるのだろうと内心ひとりごちた。
逆に冷静になったおかげで帯びていた熱も引いていく。
「………自己完結は終わった?」
「え」
降りようとしたベッドに背後から押し倒された。
「なっ…」
「…」
下に履いてるものを全て剥ぎ取られ露わになる。
「ひ、ッ…!」
力は俺のほうが強いと思っていた。
けど、結局優位なのはαなのだと思い知らされる。
片手で簡単に俺の両腕を押さえつけたクロノアさんは空いた片手を薄っぺらなお腹に伸ばしてきた。
「ゃめ…いやだっ!!」
「ココに未遂でも、俺以外を入らせたんだ」
「いや、だからッ、中学のときで!…俺と、あなたが知り合ったのもう少しあとでしょ…⁈」
「…その担任はどうなったの」
「捕まったあとのことは分かりません、…もう離してください…っ」
腰を高く上げられる。
「ッッ⁈」
「言ったよね、俺はトラゾーとこういうことがしたいから番になったわけじゃないって」
ぴたりと充てがわれるモノ。
「へ、⁈、ちょっ…ゃ、……〜〜〜〜ッッ!!?」
ナカに容赦なく突き立てられるゴムの隔たりがない熱。
「ひぁ、やッ、ぉ、か、しぃ…っ、や、ら゛、やぁぁ…っ」
「ゴム無しでシて欲しかったんでしょ?じゃあいいじゃんか」
「ちが、ちがぅゔ…!!」
こんなの知りたくない。
自分じゃなくなるような熱、ダメだ。
「トラゾーのナカ気持ちいいよ?すごいうねってるし、びくびく痙攣してる」
「ふぁあッ♡⁈」
ぐちゅりと音が部屋に響く。
「はは…やッば、」
俺のフェロモンに混じってクロノアさんのフェロモンも部屋に広がる。
「♡♡────ッ!!?」
お酒に酔った時とは違う、頭がフラフラするような酩酊感。
「トラゾーのココが孕めない?じゃあ孕めるようになるまで犯すだけだよ」
シーツに縋る俺の手から手を離したクロノアさんは腰を両手で掴んで、激しく抽挿をしてきた。
「ぁ、がッ…い、ゃ゛…だ、めっ、!ひぅ〜〜ッッ!!」
奥を突かれる度に、下ろしてはいけない開いてはいけない部分がそうしようとしてる。
Ωの孕みたいという本能がαの孕ませようとする本能に流されようとしている。
「俺、ホントにトラゾーのこと、大切にしたかったんだよ。大事に大事にして、大切に扱いたかった。…俺が、どれだけ本能を理性で抑えてゴムしてたかなんて知らないだろ」
「んぁ゛あぁぁッ!!」
ギリギリ引き抜かれて奥まで貫かれる。
「ナマだって、中出しだってしてやりたいのを我慢してたの知らないでしょ」
「ご、ぇ、んなさぃい…っ」
「挙げ句の果てに捨て置け?…やっと手に入れた存在を手放すわけないだろっ!!」
「ぁぁ゛〜〜〜ッッ!!!」
乱暴な口調になったクロノアさんが苛立って怒ってる。
「ねぇ?俺の優しさ無碍にして、俺から離れようとしたトラゾーにはお仕置きしないといけないよね?ヒートになってることも隠して俺以外の男にだけ言って、俺の貸してた服で勝手にひとりでシて。…そんな悪いことするトラゾーには俺がどれだけの思い抱えてるかちゃんと分かってもらわないとダメだよね」
身体を繋がったままひっくり返され、両脚を痛いくらい掴まれて肩に付くくらい折り畳まれた。
ぐぐっと更に深く挿入ってくるクロノアさんのモノ。
「ひぁ゛ぅぅ⁈」
「Ωが孕むまでαが抜くことできないの知ってるよね」
「、!!?」
「…じゃあ、どれだけ突いてやればトラゾーは孕むかな?」
ぐぷりと、下りてきた開きかけた部分を抜かれた。
「〜〜──────っっ!!」
「き、つッ…」
「しゃ、べ、りゃ…なぃぇ…ッ」
「トラゾーのナカはすごい悦んでるけど?」
クロノアさんが言葉を発する度に、ナカにいる彼のモノが動いて今までに感じたことのない感覚に首を振る。
「ゃら、やりゃ…っ!」
子どもがえりしたように泣いて、揺さぶられる度にびくびくと身体が跳ねる。
「前も後ろもドロッドロだ。…可愛いね♡」
ずっとイキっぱなしでドロドロになってる先端をクロノアさんは嬉しそうに撫でてきた。
「ひゃンンッ!」
「コッチもやらしー音してるけど聴こえる?」
ぐちゅぐちゅと、激しい水音。
その音が自分とクロノアさんによるものと思うと羞恥で顔が熱くなる。
「ほら、見える?俺のがトラゾーのナカに入ってるの」
腰が高く上げられ、否が応でも視界に挿入ってるのが見えてしまう。
「っ、すげぇ締め付け。トラゾーってやっぱドMだね」
きゅぅと無意識に締め付けたようで、くすりとクロノアさんが笑った。
「み…せ、ない、れ゛くら、さ…ぃッ」
「は?見せるよ。どれだけ自分が失言したか身体に教えなきゃいけないんだから」
「ゆる、してぇ…!」
「許さない。…許すわけないよね?」
奥に入られたまま強く突かれる。
「ひぐっ⁈」
「ナカもこんな締め付けてるクセに」
「ゃあぁ゛〜〜〜っ!!」
「不出来で出来損ない?俺がいつそんなこと言った?…ずっとずっと欲しかった番を手に入れて、自分だけに向けられる可愛い無防備な顔を見る度に犯し倒そうとしてた俺がトラゾーにそんなこと考えてると思う?」
「ぁッ、や、ふぅ゛っ、ひぃ…ッ」
押し潰されるくらいぎゅっと身体が密着して、ナカに熱いモノが広がる。
「んぁあ゛ぁっ!!」
「トラゾーは分かってないよ、自分のこと。きみがどれだけ周りに好かれてて狙われてるかなんて分かってないだろ」
「⁈、ら、っへ…ぉれ、こ、な…だかゃ…ッ」
「……はぁ」
クロノアさんは溜息をついて、目を細めた。
「まぁ、知る必要はないよ。トラゾーが可愛いのは俺だけが知ってればいいんだから」
深く密着したまま、奥をグリグリと抉られた。
「ゃゔぅ♡♡⁈」
「トラゾーのナカ熱いし、ホント気持ちいいよ♡」
「だめ、だ、めッ…!」
感じたことがないくらいの快感に怖くなる。
弱々しくクロノアさんの肩を押し返そうとしたのに気付いた彼は首を傾げた。
「抵抗のつもり?煽ってんのかと思ったよ」
手を絡めるように取られる。
「可愛い俺のトラゾー♡」
恋人繋ぎようにして握られた手をまた引っ張られ、寝っ転がるクロノアさんの上に乗っかる体位にさせられる。
「ん゛ぁあ!!?〜〜〜ッ♡、♡!!」
自重でもっと深く飲み込んでしまい、衝撃でナカイキしてしまった。
「やっと全部入ったね。よかった♡」
下から突き上げられて、腕を引っ張られて。
上下の力で腰がへたってクロノアさんの上に倒れ込む。
抜けそうになるのに、入り口で引っかかってるのは孕むまで抜けないαの本能がソコに働いているから。
「こら。抜こうとしちゃダメだろ。ほら、起きて自分で奥まで挿れなおして」
「むり、で、す…ッ」
「無理じゃない。しろ」
低い命令口調にびくりと肩が跳ねる。
「言っただろ?お仕置きだって」
震える身体をどうにか起こして、クロノアさんの手をきゅっと握り締める。
「ぅ、んッ…ふぁぁ…っ!」
太いところがなかなか進まなくて、困惑しながらどうにか腰を動かす。
クロノアさんの顔は見れないからぎゅっと目を閉じてるから、ナカを擦る感触に集中する羽目になった。
「ひ…んンン!、や、あぅっ…!」
「耐えてる顔すげぇえっちだね?」
「⁈」
パッと反射で目を開けてしまった。
「快感で溶けたトラゾーの緑の目、すごく扇情的だよ」
目を細めて笑うクロノアさんにまた動揺してシーツで足を滑らせた。
「ヅッ〜〜〜────♡♡♡!!!?」
「っぁ⁈」
滑ったせいで、ドチュンッと音を立てて奥まで入ってしまった。
潮まで吹いて腰がびくびくと小刻みに震える。
その強すぎる快楽に見開いた目からぼろぼろと涙が落ちていく。
息をすることも忘れてはくはくと口を開閉するだけで。
「ハ、…ァ、♡?、ッ、ツ…♡⁇」
「……は、ははっ♡…やっぱトラゾーは強い刺激のほうが好みなんだ♡」
「ひが、ぅうっ♡…い、まの、はぁ…♡♡」
「ナカイキしながら潮吹いた淫乱で嘘つきトラゾーはもっとお仕置きが必要みたいだね?」
片手を離したクロノアさんがぐしゃぐしゃになってベッドの隅に追いやられていたパーカーを手繰り寄せた。
掴むものが減って不安定な格好になった俺は当たる場所が変わってまた甘イキした。
「ひゃんンンッッ♡!!」
「俺のこの服一枚で巣作りしようとしてたの?言ってくれたら何枚でも貸したげたのに。健気というか謙虚つーか。いじらしいね。そういうとこを捩じ伏せて啼かせたいんだよなぁ…」
はい、とそのパーカーを渡される。
「これ使ってどうやって前慰めてたかこのままで見せてよ。コッチはもう俺が慰めてるから」
ふわっと香るクロノアさんの匂い。
俺のが混じってるけどそれなんかよりも濃いフェロモンの匂い。
手を離したクロノアさんが俺の腰を持って下から一定のリズムで突き上げてくる。
さっきみたいな乱暴なんじゃなくて奥をトントンと優しく突かれるように。
「ほら見して?」
「こ、こし、とめへッ♡くりゃは、ぃ…♡、こ、これじゃ、♡♡、で、できない…ッ♡」
「トラゾーがシてる間、俺手持ち無沙汰になるしこれはお仕置きなんだから、きみのやめてとか嫌だは聞いてやんない♡」
「ぃじ、わる…ッ♡」
「意地悪じゃねーし。元々、俺から離れようとしたトラゾーが悪いでしょ」
「あゃ、まっ…ら、のに…♡!」
「謝るくらいなら最初からしないようにしようね♡?…はい、どうシてたか見せて」
じっと俺を見上げる翡翠はすごく愉しそうだ。
ぎゅうっとクロノアさんのパーカーを抱き締めて、もう片手は自身に触れる。
ふるふると震えるモノを緩く下から上に触ったり先端を指先でグリグリと抉る。
「はぅうッッ♡」
大好きな匂いに目を細くしてパーカーに顔を埋める。
「すき、♡、くろのあさん、いいにおいッ♡」
下から突かれてるのなんて忘れて、自身を触る手の速度が早まっていく。
「んっ♡、イッ、ちゃ…♡!」
白濁は出ないからまた潮を吹いた。
クロノアさんのお腹は俺の出したソレでべちゃべちゃだ。
「…本物がここにいるのに俺の服で潮吹くなんて、躾直しだね」
待たされたパーカーを奪われてそれを床に投げ捨てたクロノアさんが、俺の腰が壊れるんじゃないかってくらい下から激しく突き上げてきた。
「んひゃあ゛ぁッ♡♡!!!ぁ゛、なたが、しろっへ♡、いったのに゛ぃ…っ♡!」
「それはそれ。これはこれ」
クロノアさんはびくつく俺の腰を撫でて笑う。
「大丈夫だよ♡俺、トラゾーとの間に子供できてもその子のこと可愛がるし。勿論きみのこともめちゃくちゃに可愛がってあげるから、その辺何も心配しなくていいからね♡」
ドクリとナカで大きく脈打ち広がっていく熱を塗り込むようにして奥で擦り付けられる。
「んッ♡♡!」
じわじわと今までになかった奥のほうが熱を帯びていく。
「ぁ、っ♡⁇、、やだ、やだやだッ♡こぇ、あか、ちゃ、ん、できちゃ、う…っ♡♡!」
俺のΩの孕みたいという本能が、クロノアさんの強すぎるαの絶対に孕ませるという本能に機能しなかったはずのソコが刺激されてる。
「ナカ、すごい痙攣して熱くなってる♡孕みたいってキュンって締まってるよ♡?」
「いわ、なぃれ゛ッ♡♡へ、んっ♡おれ、っ、おかしく、なるッッ♡」
「俺がそうしようとしてんだよ♡素直になりな♡トラゾー♡」
「ゃ、やッ♡ち、がぁ♡ナカ、へんン♡♡やら、くろのあさん、ゃぁぁ゛っ♡」
「戸惑ってて可愛い♡大丈夫だって言ってるだろ?子どもができてもできなくても俺がトラゾーのこと孕むまで…いや孕んでもずっと愛してあげるから♡」
起き上がったクロノアさんが俺をぎゅっと抱き締めた。
パーカーなんかよりも、もっと濃くて強くて大好きな匂いに包まれる。
「俺トラゾーのフェロモンホントに大好きだよ♡きみ本来の落ち着くいい匂いに混じって、俺のことすごく誘ってる匂いになるし、……俺の番…誰にも渡さない」
項を撫でられて、肩口を甘噛みされる。
「〜〜〜♡♡♡!!」
「あ、そうだ。お仕置きもしなきゃだけど頑張って巣作りしたトラゾーを褒めなきゃね♡?上手にできてたよ?さっきは怒ってごめんね♡」
「ぁンンっ、ゃぅ♡♡ッ!」
嬉しくなって思わずナカを締めた。
「こんなに俺のこと大好きなんだからもう変なこと言っちゃダメだよ?分かった?」
「ゎ、かりまひたぁ…♡!!」
「ん。じゃあ、喧嘩は終わり♡今度はちゃあんと仲直りしよーね♡」
優しく、的確に気持ちいい場所を突いてくるクロノアさんの肩にしがみつく。
「仲直りしたら一緒にお風呂入って一緒に寝よっか♡」
含みのある言い方と表情。
「く、ぉのあ、さんとっ♡、なかなお、り♡うれしぃです♡♡」
ナカで大きさと硬さを増すクロノアさん。
「おふろ、も、ねるッ♡のも、たのしみ…ですっ♡」
「ふはっ♡…ナニ考えてんだよ♡」
「くろのあさんが♡おもってること♡♡」
「(マジで、可愛すぎんだろ…)……えっちなトラゾーのココにたくさんにしてあげるね♡」
「いっぱい、にして、ほしぃですッ♡おれも、くろのあさんきもちく♡するの、がんばりますから…っ♡!」
普段の穏やかで虫も殺せないような顔が、凶悪なものに変わる。
かっこいい人がすると圧が出るなと呑気に思っていた。
「一回も抜かないつもりだから覚悟しろよ♡」
「んひゃっ♡」
挿入ったまま後ろを広げられる。
溢れそうになるクロノアさんの出したのを締めて溢れないようにした。
「やだッ♡も、ったいなぃ♡」
「トラゾーずっと中出しして欲しかったもんね♡」
「うれしいです…♡」
クロノアさんしか許してない疼く熱のある場所。
ソコに彼のモノが入ってることにきゅんと嬉しくなる。
「明日からずっとベッド生活だけど俺が”お世話”してあげるからね♡」
「はい…ッ♡」
そのあとはお風呂場でもいっぱいシて、ぐちゃぐちゃになってるベッドでまたたくさんシて。
挿入ったまま寝ちゃったから、起きたあとに途中で寝たからってたくさんお仕置きされた。
クロノアさんは有言実行で、ホントに抜かずにずっといた。
グズグズでドロッドロの俺とぐしゃぐしゃのシーツを綺麗にして、整ったベッドでクロノアさんに抱き締められながら一眠りできたのは夕方のことだった。
一眠りしたあとは言わずともまたたくさん愛された。
クロノアさんのおかげもあって過去の嫌な記憶は完全に塗り替えられ、離れたところの声を聴くだけでお腹が疼くようになってしまったけど。
あと6日、あるもんね?と爽やかに笑われた時はαってホントにやべーって思った。
それを悟られて、すんごい恥ずかしいこと言わされてさせられたのは言うまでもない。
声だけで、とか、胸だけでイケるようになろっか?とか平気で言ってくるもんだから。
クロノアさんってこういうのと無縁な人と思ってたし、無欲っぽい人ほどやばいんだなと考えていたら余所見するなと更に恥ずかしい格好と恥ずかしい言葉を言わされたが。
「俺、あと5日もつかな…」
「心配ごと?」
「ひゃう!」
耳元で言われて飛び跳ねる。
「また別のこと考えてるの?」
クロノアさんに背後から抱き締められるようにソファーに座って本を読んでいた俺の呟いた声が聞こえていたようだった。
「ク、ロノアさん…」
お腹に手を回すクロノアさんがそこを撫でてきた。
「項も耳も真っ赤だね。可愛い」
「可愛いくないですってば…」
「可愛いよ」
ちゅっと首筋を吸われる。
「んッ!」
「ほら、キリのいいとこまで読ませてあげたんだから今度は俺に構ってよ」
栞を挟まれて本を閉じられた。
そのままローテーブルに本を置いたクロノアさんが服の中に手を入れてきた。
「まっ…まだッ」
「手止まってただろ?じゃあいいじゃん」
お腹を撫でていた手が胸まで伸びて、きゅっとソコを摘んだ。
「ひゃぁん♡」
「ほらトラゾーもその気だろ?」
カリカリと爪先で引っ掻かれて腰が引けていく。
「ね♡?俺のに押し付けて可愛いことしてんだから♡」
「もぅっ!クロノアさんのばかっ♡」
ぐりっと押し潰されてびくりと腰が跳ねた。
「んぅぅ〜〜♡!!」
「ふふっ、トラゾーが可愛いのがいけないんだから。今日はどんだけトラゾーが可愛いのかたっぷり身体に教えてあげる♡」
そのままローテーブルに押し付けられた。
背後と上から押さえつけられて、この人に支配されているんだとぞくりと背中が震える。
「トラゾー大好き♡愛してるよ♡」
「俺もクロノアさん大好きです♡愛してます♡」
大好きな人とするキスが1番気持ちいい。
応えるようにすれば、深くなっていく。
身も心も、クロノアさんのモノになれて嬉しい。
Ωとしてじゃなくて、俺として。
そう言うとクロノアさんも嬉しそうに俺もだよと言ってくれた。
体力には自信があったけど、その5日後俺の腰は無事死んだ。
介抱という名の介抱じゃなかったクロノアさんのソレで更に俺はベッドとこんにちはすることになったし。
でも、頼むからトイレだけはひとりでさせてほしかった。
あんな羞恥プレイのような拷問のようなこと二度とされたくない。
楽しそうな顔のクロノアさんはドSを通り越して鬼畜なんじゃないかと思ってしまったくらいに。
因みにそう思ったことはすぐにバレて、いつの間にかハメ撮りされたものを行為中に解説付きで見せられた。
俺の番は、俺が思っていた以上に色んな意味ですごい人でした。
コメント
2件
ドSノアさん好きすぎる…( ◠‿◠ )