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『 その日、俺は天使を見た 』

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『 その日、俺は天使を見た 』

9 - # 09 . 受け継がれた記憶 。

♥

542

2024年07月17日

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stxxx . nmmn . 天使もの注意



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あれは、五十年前だった。



青「 …暇だなぁ、 」



あの日は暇だった


普通に仕事してたのに

赤と黄から「 休め 」と言われた


休んだってすることないのに



青「 確か、あの森で異変の報告があったな 」

「 暇だし行ってみよ 」



本当に何かあったら

解決出来るだけの力はあったから


被害が出る前に

片付けてしまおうと、そう思った



青「 …何も無いじゃん 」


「 最近は政治が崩壊しつつあるから 」

「 それの代償、かな 」



その森に立ち寄ってみたけど

変な感じもしないからデマだと思った、のに



「 こんな森の奥に誰 」

「 …その翼、天使だな 」



僕が天使だと分かると

嫌悪した目でこっちを睨んだ


僕は確かに天使の翼を持ってるけど

中身までの天使じゃない


逆に中身は悪魔だ



紫「 …俺は、天使なんかに屈しない 」

「 いつか絶望に叩き落としてやる 」



その目や言葉には

棘があり、憎しみがあった。



青「 待て待て待て 」

「 僕は何もしてないだろ 」



他の天使どもを憎むのはいいが

僕まで巻き込むのはやめて欲しい


マジで僕何もしてないんだから



紫「 …お前らは、覚えていないのか 」

「 あれは、百年前だった 」



百年前、か。


僕がこの世に誕生した年だ


あの日から僕は

” 神の子 ” になってしまった。


僕は、ただ。



紫「 …天使による、人間の大虐殺 」

「 この世界に残る人間は俺だけだ 」



百年前は天使が人間を大虐殺した、なんて

史書には一言も書かれていなかった


でも、そんなに大きなことなら

史書かなにかに記し、残しておくべきだ


でも、残っていない。



紫「 …神の子が、生まれた代償だと 」

「 生き残りには聞かされた 」



[ 神の子が生まれた代償 ]


僕が生まれたから、

彼の仲間のほとんどが死んでしまった



紫「 …俺は、お前らなんかに… 」

「 負けたくない、ッ゛!! 」



謝って済む所の話じゃない


僕がこの世界に生まれてしまったから

僕が出来損ないだから

僕が曖昧な存在だから、代償が

天使でも悪魔でもなく人間になってしまった


本当に、ごめんなさい






その時に僕は、僕が嫌いになった。



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桃「 …青、… 」



桃くんが目を覚ました


でも、ここは違う世界だ



桃「 …青、? 」


青「 僕らは、ちゃんと死んだよ 」


桃「 …俺は、もう生きてない 」

「 鎖が完全に解けたんだ 」


青「 …そうだね、… 」


桃「 …そんな悲しそうな顔すんなよ、笑 」



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《 桃くんはきっと、五十年前のあの人だ 》



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僕の直感は出会った時からそう言ってる



青「 …桃くん、君はここに来る時に 」

「 紫髪の人を見なかった? 」



魂に刻まれた記憶は

簡単に外せるものじゃない


それが最高位の天使と魔王から

かけられた呪いであっても

絶対に外れることは無いだろう


まぁ、器自体が拒んだら

また別の話にはなるけど



桃「 …見た 」



なら、それは間違いなく紫くん。


天使への復讐心に見舞われ、

天使に溺れた可哀想で哀れな最後を送った人


報われないから転生を繰り返している


魂に刻まれた記憶は、ふとした瞬間で覚める



桃「 俺の前の前から作られてきた魂は 」

「 未だに報われていない 」



そう、ふとした瞬間で記憶は覚める


それが今なんだ。覚めてしまったんだ。


紫くん、橙くん、そして桃くん、

たった三人の記憶だけれど、それが紡がれて

運命が繰り返されて僕は悪魔の天使だ


人を見殺しにしてきた。


僕が愛する人の心を守るために、

僕は殺してきたんだ。大人びた三人を。


見立ては真っ白の僕の羽は、血に染っている


紫くんと、橙くんの行き着く先は

静かで暗い部屋


大人びた三人の中は、まだ大人じゃなくて、

成長なんて終わってないし、愛情も知らない


そんな子供を僕は見殺しにした。


一緒に天国という名の

地獄のような場所に堕ちたんだ



桃「 …なぁ、青 」

「 俺らは後悔してないよ 」


青「 けど僕は、真実をひた隠しにして 」

「 君たち三人を見殺しにし続けた 」


「 どうして後悔してないの 」


桃「 青に会えたことで救われているから 」


「 魂は報われてなくてもさ、 」

「 俺ら自身は報われてんだよ 」



その言葉に嬉しくなって、

舞い上がってしまった。


僕は、浮かれ過ぎたんだ。



『 青、いい加減にその魂から手を引け 』



直接脳内に聞こえてきたということは

この次元の二人いる神の一人。魔王だ。


何十回も『 手を引け 』と言われ続けて

断固拒否し続けた。相性は最悪だ


まだ大天使と話してた方がマシなくらいに



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『 その日、俺は天使を見た 』

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コメント

1

ユーザー

魂が受け継がれてるのが大人組っていうのが好き(*^ω^*)

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