👁️「君が秦中飯綱だな」
🧣「…起きれないので、このまま失礼します」
👁️「構わないが…ずいぶん大所帯だな」
飯綱の周りにはたかはし、道満、蘭丸と梵丸がいた。容体やらの説明でたかはしがいるのは分かる。道満は今の飯綱の雇用者なのでいてもおかしくはない。蘭丸たちは、いざとなった時の武力補填だ。道満は徹底抗戦も視野に入れている
🎭「全員関係者です。それに、貴方ほど大所帯ではないですよ」
入道の周りには暗をはじめとする護衛が10人、外にもかなりいる。完全に飯綱を拘束し管理下に置くことを目的としている
👁️「…容体は?」
💉「粉砕骨折が数カ所あります。見てもらったら分かると思いますが、この通りまだ起き上がれません。通常なら早くても全治三カ月ですが、…秦中くんの回復速度から考えると二ヶ月ほどでほぼ治るかと」
👁️「分かった。暗、2ヶ月と仮定して人員を回せ」
😷「わかりました」
暗は入道の指示を受け部下達の手配を始めた
🎭「なんでそうなるんですか?」
👁️「なぜ、とは」
🎭「別に私たちだけで事足りますし、貴方達が出てくる必要がどこに?」
👁️「言っておきますが、彼はもう教職員としては雇えませんよ」
🎭「…」
つまり、飯綱は国の管理下に置かれるということを暗に示していた。確かに、力を制御、もしくは止めることができるのは現在道満のみだ。晴明もできなくはないが、寿命の関係上やはり道満がやっていた方が今後役立つだろう。そんな状態で野放しにできるほど、飯綱のソレは危険なのだ
👁️「分かっておられるようで。…私達の管理の下暮らした方が安全です」
🎭「お前らはな…飯綱はどうなる」
👁️「…」
監禁したところで、保証されるのは飯綱以外の妖怪の話。そこに飯綱の安全はない。おそらく、頭の固いジジイどもなら、飯綱が死ぬまで放置するだろう。そう考えれ、入道が持ってきた提案もかなり妥協されたものだろう
🎭「どうせ実験動物として扱うんだろ?子供もろとも…ふざけんなよ」
🐦⬛「あっちゃん」
飯綱が孫なら、加前達はひ孫だ。なんだかんだ秦中一家とは個人的な関係もある。かなり可愛がっている自覚はある。その孫・ひ孫共々モノとして見られていることに腹が立って仕方がなかった
🎭「黙ってろ…。そもそも、教職員としては雇えないだ?教職員なんざ建前に過ぎねえんだよ」
入道は『教職員』といった。そもそも飯綱に関しては『対不良職員』として雇っている。厳密に言えば教職員ではない
🎭「言っちまえば護衛だよ。…なんせ敵が多くてな」
👁️「…」
なにより、道満には敵が多い。その始末を手伝っているのが飯綱だ。喧嘩慣れもしているし、自分の妖術とも相性がいい。歪ではあるが信頼関係もある。共闘の相棒ということに関してはこの上ない存在だ(晴明は集中できない 蘭丸はイラっとする)
🎭「飯綱。お前はどうしたい?」
🧣「え」
🎭「テメェの話だろ」
聞いてはいたが、自分に話がくるような流れじゃなかった気がしたのだ。急いで回らない頭を回して言葉を紡いだ
🧣「…正直、怖い。また抑えられなくなったら…俺は、…」
👁️「だそうですが?」
本音だ。感情のコントロールは苦手だ。動物妖怪としての勘…本能で感情によって振り回されるのはダメだと理解していたのだろう。反射的に手がでるにとどまっている。それでも、今回みたいなことがあれば当然怖い。家族も、親友も、生徒も。傷つけないとは言えない力だ
🎭「気が早ぇな…。お前も父親だろ?」
👁️「…?」
入道は今ひとつ道満が言っていることに合点いかないらしい。代わりに睨めば、道満は躊躇なく睨み返してきた
🧣「監禁される理由も理解しています。どれほど、危ないかも。だけど、俺は、この力にもちゃんと向き合いたいです。向き合うなら…俺は学園に残りたい…です」
👁️「生徒へ危害を加える可能性もあるのにか」
🧣「っそれは、分かってます…」
👁️「分かっていながら下す判断がそれだと?」
🧣「…」
何も言えない。結局危険に晒すことに違いはない。それに、このことだって校内で知っているのは凛太郎とねずみ先生だけなのだ。他の先生達には話さないようにというのが道満の指示だった
🎭「俺と飯綱で責任を取る」
👁️「そんなことで償えるとでも?」
🎭「…てかなぁ、なんでテメエが偉そうな口きけんだよ」
ついに道満の頭の血管がキレたのだろう。不平不満を隠さず露骨に表現する道満
👁️「はい?」
🎭「飯綱のことを調べる過程で気づいたんだよ…資料があまりにねぇことに」
👁️「…」
🎭「出てきても…まともなもんじゃない。で?そのまとものますらないような資料からどうやって力をコントロールしろって?」
👁️「だからこちらで保護すると、」
🎭「テメエらの至らなさで飯綱達の未来はお先真っ暗の監禁生活ってか?はっっっっ。冗談じゃねえ」
👁️「…」
🎭「さっき俺が言ったことの意味もまだ理解できねえか」
👁️「…どういう意味だ」
🎭「こいつは、子供達が万一自分と同じ力を持って。お前らみたいなのに監禁されないように…力に左右されずに生きていけるようにって、自分1人で背負うっつってんだぞ?」
道満は、晴明に勝ちたいという執念から、妖怪達に学をつけさせた。1人で、それを背負った。1人で背負うことがどれほど過酷で、どれほどの苦痛を伴うのかを理解していたからこそ、必死で止めた。最初は、入道と同じ考えだった。しかし、飯綱はただ真っ直ぐに背負うと言った。だからこそ、強く言いきったからこそ道満は飯綱との契約に踏み切った。それをかも無駄なことのようにされることが許せなかった
🎭「家族を、親友を守りたい、傷つけたくない。そういって何かもわからない力と向き合うって言ってる男に向かってかける言葉はそれか」
👁️「…。保証はどこにある」
🎭「飯綱の心とでも言っとく」
入道ふくめ、かなり微妙な顔をした。簡単に折れる男でないことをたかはしは理解して1人笑っていた。そんなたかはしをみて引いている暗だった
🎭「コイツほど俺に殴られてもイタズラ仕掛けてきたやつはいねえよ」
それは心というよりなにか別のもののような気もするが、飯綱は頑固だ。決めたらやり切る。真面目、とはいえるか微妙だが根は誠実だ
🎭「それでも、飯綱を連れてくか?」
道満はただ、真っ直ぐに入道を見据えた
☀️🍶🦐参組「…」
🧣「…」
飯綱は、参組に詰められていた。入道がきてから1週間ほどで、飯綱は退院した。道満と蘭丸、梵丸の化け物を見るような顔は今でも忘れられない。恐らくここ数日は思い出しては笑ってしまいそうだ。ただ、詰められている事実は変わらない。全員顔が怖い。まあ危険な目にあったんだ。そうなる
🧣「…えーっと、」
☀️「バカ」
🍶「害獣」
🦐「独りよがり」
🐾「アホ」
🐈「クズ」
🧤「リア充爆ぜろ」
🎋「…晴明」
☀️「佐野くん?!」
口を開くなり罵詈雑言の数々。どうやら参組では晴明は最悪の罵詈雑言らしい。何やったんだお前
🧣「すみませんでした…」
🍶「ほんまや、バカ中」
🧣「…ごめん」
👀「てかさ…お前病院出てくんの早くね?」
🧣「たかはし先生もそう言ってた」
☠️「あ…!」
🧣「ん?」
☠️「えっと…今日明さんにあったら全力で逃げてください。最悪手伝いますから…」
🧣「わかった。最悪タクシーで逃げる」
タクシーが学園長のことを指しているのはもはや常識になりつつあった
🧣「…俺は、お前らを巻き込んだ。本当にすまなかった」
☀️「飯綱くん」
🐈「…ちゃんと、アレがなんなのか説明して欲しいぞ」
🧣「…アレは」
☀️「そうなんだ…」
👀「聞いたことねえぞ…」
🧣「クソみたいな文献しか残ってなかったしな」
🎋「…なんで、向き合えんだよ」
🧣「俺以外、向き合えるやついないだろ」
🎋「…!」
🧣「望んで持った力じゃねーけど。でも、俺が向き合わなかったら誰が向き合う?誰もいないだろ」
🎋「…」
🧣「俺もお前も、自分を託せる相手がいてよかったんじゃないか?」
🎋「っ…//」
☀️「え?!誰?!!!!!」
🎋「っ黙ってろ!!!!!」
☀️「なんでっっっ」
佐野は迷うことなく晴明にジャーマンスープレックスを決め、担任の頭を割った
🧣「で、なんだけど…」
🎭「このことはここだけで留めておいてくれませんか? 」
☀️「学園長!!!!!」
🎭「彼の力に関しては隠します。ここで公表すれば、全く無関係のかまいたちの皆さんも迫害されかねませんので」
☀️「そっか」
🐾「なんで話してくれたの?」
🧣「アレ見た後に俺が授業始めたらお前ら嫌だろ」
🐾「なーんだ。俺らが特別だからじゃないんだ」
🧣「…まあな」
🐈🐾「!!!!!」
玉緒と豆吉は沈黙の中に隠された秦中のメッセージに気づき、2匹ニヤニヤしていた。気づいた2匹がかなりひねくれた性格をしていたがために、全員の前で沈黙の間をバラされた。しばらくニヤニヤされたので1人10回分ん殴ってやろうかとおもったが、この状況に安堵している自分に気づき甘んじて受け入れた。揶揄ってきた凛太郎と殴り合うまであと30秒
後日談①
🎭「てなわけなんで…そろそろあいつから手を引け」
🦐「はい。上には僕から言っておきますね」
🎭「…お前もすっかり絆されちまって」
🦐「なんのことです?」
🎭「妖怪も悪かねーだろ」
そう言い残し、学園長はどこかへ消えた
後日談②
💉「やあ秦中くん」
🧣「たかっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」
歌川からの警告を思い出し、逃げようとする飯綱。しかし、首根っこをしっかり掴まれてしまってはどうしようもない
💉「はいこれ」
🧣「な、何これ…」
💉「僕からの退院祝い♡」
そこには『無料診察券』とかかれた紙が10枚あった。飯綱には、地獄への切符にしか見えなかった。自分のこの先の運命を感じたのか、飯綱の意識はここで途切れた
後日談③
🌹「飯綱くん!」
🎀🍼👾「ぱぱー!!!!!」
🧣「ただいま」
そういうと、破顔する飯綱。真っ赤に顔を染め上げた母をみて、子供達はこの後のことを感じ取ったのか自分たちの部屋へ向かい早めに寝る支度をするべくパパの歓迎もそこそこに寝に行った
🧣「冷たいな…」
🌹「毎日心配しとったから。今週末にでもたくさん話したって」
🧣「うん。…荊棘ちゃん、心配かけてごめんね」
🌹「無事でいてくれて嬉しいわ…」
そういって、2人は唇を重ねた。子供達はその様子を母の携帯を盗んで盗撮し、ホーム画面にしたのち寝たのだった