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第十章 「黒羽の記憶」
─翌朝。
魔法学園アルカディアの中央広場。
昨日の襲撃事件から一夜明けても、学園内にはどこか緊張した空気が漂っていた。
その原因は、昨日残された一枚の黒い羽。
pe「…これ、やっぱり普通の羽じゃないですね」
peは机の上に置かれた黒羽を見つめる。
その隣ではkrが腕を組み、じっと羽を観察していた。
kr「魔力が残ってる。しかも…かなり特殊だ」
pe「特殊?」
kr「闇属性には違いない。でも、普通の闇魔法とは違う」
krが羽に手を近づけた、その瞬間。
─バチッ!
「ッ!?」
黒羽から黒い火花が弾けた。
pe「krさん、大丈夫ですか!?」
kr「平気だ、pe」
krは手を引っ込める。
しかし、その表情は明らかに険しくなっていた。
kr「…この魔力、どこかで……」
pe「知ってるんですか?」
「いや…まだ思い出せない」
そのとき。
??「peさんー! krさんー!」
聞き慣れた声が飛んできた。
振り返ると、snとtrがこちらへ走ってくる。
sn「おはようございます!…って、なんかすごい顔してません?」
kr「sn君、おはよう。昨日の黒羽について調べてるんだ」
sn「黒羽…」
snが羽を覗き込む。
sn「これ、昨日の侵入者が落としていったやつですよね?」
pe「そう。krさんが触ったら反応したんだ」
sn「へぇ…」
snが首を傾げる。
その後ろからtrもやって来た。
tr「何か分かったんですか?」
kr「まだ何も」
krが答える。
kr「ただ、俺はこの魔力を知ってる気がする」
4人「…」
4人の間に沈黙が落ちた。
すると─
??「おーい!」
遠くから声がした。
??「pe!」
peが振り返る。
そこにはrd、md、kyo、cn、ruの5人がいた。
pe「先輩!みんなも!」
peが駆け寄る。
pe「昨日のことについて話し合うんですよね?」
rd「ああ」
rdが頷く。
その後ろからkyoが口を開く。
kyo「それにしても、朝っぱらから呼び出されるとはなぁ」
sn「kyoさん、昨日の件ですから仕方ないですよ」
snが苦笑する。
kyo「snさんは真面目やなぁ」
sn「そういうkyoさんこそ、ちゃんと来てるじゃないですか」
kyo「俺は呼ばれたから来ただけや!」
sn「はいはい」
kyo「なんやその返事!」
わいわいと話す二人を見ながら、peが笑う。
pe「なんか…一気に人数増えましたね」
rd「9人か」
rdが周囲を見渡す。
rd「…悪くない」
kr「rd、なんか嬉しそう」
krが言う。
rd「別に」
pe「いや絶対嬉しいやつじゃん」
peが笑った。
rd「…うるさい」
そのとき。
cn「rd」
rd「ん?」
cn「これ、見て」
cnが取り出したのは、一枚の古びた紙だった。
そこには、昨日の黒羽と同じ紋章が描かれている。
rd「それ、どこで?」
cn「旧資料室」
cnは淡々と答えた。
cn「昨日の騒ぎの後、少し調べてみた」
tr「何か書いてあるんですか?」
trが覗き込む。
cnは紙を広げた。
そこには─
『黒き翼を持つ者、封印の欠片を求める』
という文字。
そして、その下には奇妙な図が描かれていた。
五つの結晶。
その中央に、巨大な黒い穴。
pe「…これ」
peが息を呑む。
pe「封印の欠片ですよね」
rd「ああ」
rdが頷く。
rd「俺たちが見つけた青い欠片も描かれてる」
sn「じゃあ…」
snが眉をひそめる。
sn「昨日の侵入者たちは、本当に欠片を集めているってことですか?」
kr「その可能性が高い」
krが答えた。
すると、mdが紙をじっと見つめた。
md「…コレ…」
全員が振り向く。
rd「どうした、md」
rdが尋ねる。
mdは珍しく、カタカナではなく普通の声で言った。
md「この紋章…昔、どこかで見た」
pe「え?」
peが驚く。
pe「mdくんも知ってるの?」
md「いや…俺自身が見たわけじゃない」
mdは眉を寄せる。
md「昔、家にあった古い魔導書に載っていたんだ」
pe「魔導書?」
md「うん。ただ、その本にはこう書いてあった」
mdが紙の紋章を指差す。
「『黒羽は封印を守る者ではなく、封印を喰らう者』」
pe「…!」
空気が凍った。
ru「封印を…喰らう?」
ruが呟く。
ru「それってつまり…」
kyoの顔から笑みが消える。
kyo「欠片を集めて、封印を壊すつもりってことか」
rd「おそらく」
rdが答える。
その瞬間。
─ゴォォォン…
学園中に鐘の音が響いた。
しかし─
いつもの授業開始の鐘とは違う。
警報音だった。
rd「…またかよ」
rdが剣に手をかける。
pe「今度はどこです!?」
peが慌てる。
すると学園の上空に─
巨大な黒い魔法陣が浮かび上がった。
kr「…ッ!」
krが目を見開く。
その魔法陣から、黒い羽が無数に舞い落ちてくる。
そして─
魔法陣の中心に、一人の黒衣の人物が現れた。
「…やっと揃ったか」
低い声。
その人物は、9人を見下ろしていた。
「封印の欠片を持つ者たちよ」
rdが剣を抜く。
rd「お前…昨日の奴か」
黒衣の人物は笑った。
黒衣の人物「昨日は挨拶だけだったからな」
pe「今日は違うってことですか?」
peが杖を構える。
黒衣の人物「ああ」
黒衣の人物が片手を上げる。
「今日は─」
黒い魔力が周囲に渦巻く。
黒衣の人物「一人、連れて帰る」
kr「…誰を?」
krが問いかける。
黒衣の人物は─
ゆっくりとkrを指差した。
黒衣の人物「お前だ」
kr「…俺?」
krの表情が変わる。
その瞬間。
黒羽が一枚、krの目の前に落ちた。
─パキッ。
黒羽が砕ける。
そしてkrの脳裏に、一瞬だけ映像が走った。
幼い頃の記憶。
見知らぬ黒い塔。
その前に立つ─
自分とよく似た少年。
そして、その少年が言う。
『また会おうね、kr』
「…ッ!」
krが頭を押さえる。
pe「krさん!?」
peが駆け寄る。
pe「大丈夫ですか!?」
kr「…俺は…」
krが震える声で呟く。
kr「…あいつを…知ってる…?」
黒衣の人物は、満足そうに笑った。
黒衣の人物「思い出したか」
kr「お前…何を知ってる!」
krが叫ぶ。
黒衣の人物は答えない。
ただ、一言だけ。
「─次に会う時までに、全部思い出しておけ」
黒い魔法陣が激しく輝く。
rd「待て!」
rdが駆け出す。
しかし─
黒い霧が一気に広がり、視界を覆った。
「先輩!」
peの声が響く。
そして霧が晴れた時。
黒衣の人物は、もうそこにはいなかった。
ただ一枚。
黒い羽だけが地面に落ちていた。
krはそれを拾う。
rd「…あいつは、俺の過去を知ってる」
rdが隣に立つ。
「だったら─」
rdは剣を鞘に戻した。
rd「俺たちで確かめに行こう」
peも頷く。
pe「俺も行きます」
snが続く。
sn「僕もです」
trも拳を握る。
tr「俺も行きます」
kyoが笑う。
kyo「ここまで来たら、最後まで付き合ったるわ」
mdが頷く。
md「俺も行く」
ruも静かに言った。
ru「当然だ」
そしてcn。
cn「…俺たち、もう逃げられないみたいだね」
rdが他8人を見渡す。
それぞれ違う魔法。
それぞれ違う武器。
それぞれ違う過去。
それでも─
今は同じ場所に立っている。
rd「行こう」
rdが言った。
rd「封印の欠片を全部見つける」
そして─
rd「深淵の王が何なのかも、黒羽の正体も…全部暴く」
こうして。
9人の長い旅が─
始まった。
─第十一章「失われた記憶」へ続く。
おまけ 〜朝の食堂〜
rd「なあpe」
pe「はい、先輩?」
rd「お前、朝飯食った?」
pe「まだです!」
rd「…じゃあ食ってから行くぞ」
pe「えっ、今から!?」
rd「腹減ってたら戦えないだろ」
pe「先輩めっちゃ保護者みたいになってません!?」
rd「うるさい」
その後ろ。
sn「peさん、僕も一緒に─」
rd「sn、お前も食ってないのか?」
sn「はい!」
tr「俺もまだっす!」
rd「trも!?」
pe「朝飯は大事ですから!」
kr「…」
krがため息をつく。
kr「rd、これ全員分食堂行く流れだぞ」
rd「…そうなるな」
pe「よし、じゃあ行きましょう!」
peが笑う。
pe「9人で朝飯です!」
rd「…まあ、悪くないか」
rdが小さく笑った。