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第24話:裏切りと共鳴
都市の外縁区、廃墟となった工業地帯。
煙を吐かない灰色の煙突と、崩れかけた鉄鋼の橋が並ぶその場所に、クオンはひとり立っていた。
国家にも民間にも追われ、完全な孤立者となった今、灰色の瞳は冷静でありながらもわずかに疲れをにじませていた。
そこへ足音。
姿を現したのは一人のフォージャー、ユリクだった。
痩せ型の青年で、長い赤茶の髪を肩まで伸ばし、紫色の瞳はどこか翳っている。
濃い墨染めのコートを羽織り、手には小さなカプセル型の装置を握っていた。
額の第三の眼は淡い光を放ちながら、揺れるように瞬いていた。
「……ここにいると思った。」
低い声に、クオンは外套を翻して振り返る。
「フォージャーが俺に何の用だ。」
ユリクは一瞬ためらい、しかし瞳をまっすぐに向けてきた。
「俺はフォージャーとして“命を造る”仕事をしてきた。
配合した小動物や観賞用の命で、市民を喜ばせるのは簡単だった。
だが……その裏で造られた命が消され、歪められていくのを見てきた。」
クオンは灰色の瞳を細める。
「だから俺に協力すると?」
ユリクは拳を握り、額の第三の眼を強く光らせた。
「国家も、民間の多くも秩序や利益しか見ていない。
……だがあんたは“命そのもの”を見てる。
俺はその正義に賭けたい。もし裏切り者と呼ばれてもいい。」
廃墟の上空を監視ドローンが飛び去り、遠くで国家の警告音が響く。
都市の秩序は揺らぎ続け、市民は「どちらが正しいのか」を測りかねていた。
その中で、ユリクは紫の瞳を真っ直ぐに輝かせていた。
「……一人では潰される。俺も一緒に行く。」
クオンは灰色の瞳を閉じ、静かに息を吐く。
「命を造る者と、命を守る者。
正義が違うはずのお前と俺が、同じ道を歩くことになるとはな。」
そして彼はわずかに頷いた。
「いいだろう、ユリク。共に来い。」
廃墟に吹く風が二人の外套を揺らし、第三の眼が重なるように光を放った。
孤独だったクオンの旅に、新たな仲間が加わる瞬間だった。