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▽いきる
▼もういっかい
▽しぬ
「っ……!?」
目の前にヤツがいた。
音を出してはいけない。そんな事わかっているけど、声を漏らしてしまいそうになる。
ここで…終わるのかな…。
あれ…?
その時、ポケットの重みに気がついた。
石…?
そうだ、小石を投げれば…!
ゆっくりポケットに手を伸ばし、一つ石を取る。
落とさないように、ゆっくり後ろを向く…。
カランッ
投げた石は遠くに落ち、音を鳴らした。
すると、ヤツは無い目で私をじっと見つめて、ゆっくりと通り過ぎて行った。
今だ。
小走りでドアの前まで行き、ドアノブに手をかけた。
良かった、鍵はかかっていない。
ギィッ
静かな空間に響いた、扉の開く音。
背筋が凍る、とはまさにこの事だろう。
もう、ダメだ。
私は目を閉じ、”その時”を待った。
けれど、どれだけ待とうが私が殺されることは無かった。
不思議に思い、ゆっくり目を開く。
すると目の前には、倒れたアイツと、
燕尾服のようなものを見に纏った、人間…いや、顔が球体の人形が立っていた。
『いやぁ、お迎えが送れて申しわけございません。お待ちしておりましたよ。』
敵?味方?待っていたって何…?
「だ、だれ…?」
『おっと、申し遅れました。私蝋人形のロウと申します。あなたの案内人です。』
そういうと、人形は丁寧にお辞儀をした。
蝋人形…案内人…?
「どういうこと?」
「ここはどこ?あなた達はなんなの?どうして人形が動いているの?」
「私は…誰なの?」
分からないことが多すぎる。夢でも見ているのか。どうして私がこんな目に…。
『まぁまぁ、落ち着いて。 後でゆっくり話しましょう。
彼女が目覚めてしまっては大変ですから…。』
『さぁ、こちらへ。安全な所を知っていますので。』
私の疑問を遮るように人形…ロウ、さん?が”倒れているアイツ”を指さし言った。
少し血の気が引く感覚がして、ロウさんの言う 安全な所 に行くことにした。
本当に信用しても良いのだろうか…。