テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
昼休みのチャイムが鳴った瞬間、教室の空気が一気に緩んだ。
椅子を引く音、笑い声、机を寄せる音が重なる。
向井康二は、カバンから弁当を取り出しながら、ちらっと隣を見る。
目黒蓮は、相変わらず静かにしていた。
スマホを見るわけでもなく、誰かと話すわけでもない。
(……一人で食べるタイプなんかな)
康二は少し迷ったあと、思い切って声をかけた。
「蓮、一緒に食べへん?」
目黒が一瞬、目を丸くする。
「……いいの?」
「もちろんやん。隣の席やし」
そう言うと、目黒は小さく頷いて、弁当を机に置いた。
二人で向かい合う形になると、妙に緊張する。
康二はそれをごまかすように笑った。
「なんかさ、静かやな蓮って」
「よく言われる」
「嫌とかじゃないで。落ち着く」
その言葉に、目黒は少しだけ目を伏せた。
「……向井は、クラスにすぐ馴染むタイプだろ」
「んー、どうやろ。でも、話すのは好きやな」
「……羨ましい」
ぽつりと零れた声。
康二は箸を止めた。
「蓮、人付き合い苦手?」
「嫌いじゃない。でも……得意でもない」
無理に踏み込まない言い方。
それが、目黒らしい気がした。
「そっか。でもさ」
康二は、にっと笑う。
「蓮は、無理せんでいいと思うで」
目黒が顔を上げる。
「向井は……そういうの、すぐ言うよね」
「思ったこと言うだけや」
目黒は、少し考えるように黙ったあと、静かに言った。
「……ありがとう」
その一言が、やけに重く感じられて。
康二の胸が、また少しだけ騒いだ。
⸻
それから、昼休みは自然と二人で過ごすようになった。
大きな会話はしない。
でも、沈黙が苦しくない。
窓から入る風。
弁当の匂い。
時々交わす、短い言葉。
(この時間、好きかもしれん)
そう思ってしまった自分に、康二は戸惑った。
⸻
ある日の放課後。
「向井」
呼び止められて振り返ると、目黒が立っていた。
「今日、委員会一緒だよな」
「あ、そやった」
同じ委員会。
偶然とはいえ、最近“同じ”が増えている気がする。
資料を運びながら、康二はバランスを崩した。
「あっ……」
その瞬間、腕を掴まれる。
「危ない」
目黒の手は、しっかりしていて、温かかった。
「……ありがとう」
離れたあとも、腕の感触が残っている。
目黒は、康二の顔をじっと見てから、言った。
「向井って……無理してない?」
「え?」
「明るいけど、時々、無理して笑ってる」
心臓が跳ねた。
「……そんなこと」
「あるだろ」
否定できなかった。
目黒は、それ以上追及しない。
ただ、静かに続けた。
「無理なときは、無理って言っていい」
康二は、喉が詰まるのを感じた。
(なんでやろ……)
誰かに言われたことはあるはずなのに。
目黒の言葉だけが、深く染み込んでくる。
「……蓮はさ」
「ん?」
「ほんまに、優しいな」
目黒は、少し困ったように視線を逸らした。
「……向井だけだよ、そう言ってくれるのは」
「え?」
その言葉に、康二は何も返せなかった。
胸の奥が、じんわり熱い。
(これって……)
答えはまだ、わからない。
でも確かに、目黒蓮という存在が、
自分の中で“特別”になり始めている。
いい感じじゃないですか!?!?
あとさっきだした🖤総受けのやつでアイコン変えますっていったけど、なんか変えれなくて死ぬ
時間置いてからやり直します 🥲
コメント
2件
王道系いいよねうんうん。わかるだいすきです