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廊下を進み突き当たりの扉を開けて玄関前の広間に出たデックの背後に、アンを抱いたリオが現れた。 実は部屋を出た後、足音を鳴らして廊下を進み、すぐに静かに戻ってきて隠れた。
そして二人の話を聞いていた。
話を聞いて思う。
アシュレイは、かなりの切れ者だ。そして自己肯定感が高く、自信がある。
第五王子という立場が惜しまれる。
皇太子ならば、この国にとっては最高の王になったかもしれない。
だけどそうなると、リオの国にとっては、厄介な王になる。
確かにリオは、魔法のことをギデオンに話せない。ほんの少し会話をしただけなのに、アシュレイはリオのことをよくわかっている。
でも、アシュレイやデックの計画通りにはさせない。必ず阻止する。その為にも早くギデオンの所へ帰りたい。アシュレイが帰してやれと言ってくれているのだから、素直に早く帰ろう。
リオは、気配を消してデックの後ろを進み、デックが別の部屋の中へ入った隙に外へ出た。
そして玄関前の階段に座って待っていると、いくつかの部屋を捜していたらしいデックが、ようやく出てきた。
「なんだよ、ここにいたのかよ。捜したぞ」
「帰りたいけど馬もいないし道もわかんねぇし」
「怒ってどこかに行ったのかと心配した。暗いのに。あのさ、アシュレイが送ってやれってさ。だから今からリオを、大通りまで送ってやるよ。大通りまで出たら、さっきの雪山までの行き方がわかるから」
「ほんと?ありがとう」
「俺は、昔のようにリオと一緒にいたかったけどな」
俺もそうだと言おうとして、リオは口を閉じる。
デックといたい気持ちもあるが、ギデオンの傍にいたい気持ちの方が強い。
だから無言で立ち上がる。
リオにつられたのか、デックも|屈《かが》めていた上半身を伸ばす。
「待ってろ。寒いからマントを持ってくる。ここから雪山までは半刻もかからねぇが、腹が減った時の路銀もいるだろ」
「ありがとう。この借りは必ず返す」
「期待しないで待ってるよ」
デックが笑いながら屋敷の中に戻る。そしてすぐに二人分のマントと小さな革袋を手に戻ってきた。そして屋敷裏に行き馬を一頭、厩舎から出す。
「馬は貸せないからな。その路銀で途中から馬車にでも乗れよ」
「わかった」
リオはアンを抱いてデックの前に乗り、手のひらに白い光を出して道を照らす。
デックの肩にはロンもいる。
ゆっくりと進み出した馬の上で、ロンを見つめるアンの視線を追って、リオもロンを振り仰いだ。