💚「かんぱーい!」
俺の部屋で、阿部ちゃんとグラスを合わせる。泣いてしまいそうだから、どっちかの家に行きたい、と言われて俺は自分の部屋を提供した。
家に入るなり、うわー、意外に汚いと言い放つ阿部ちゃんの顔はほんのり赤くなっていた。それで一足先に酔っ払っているのがなんとなくわかった。
💚「まったく困っちゃうよね、意気地なしで」
結論から言うと、阿部ちゃんは、好きのすの字も言えずに帰って来たそうだ。
どうしてなのかと聞くと。
友だちを失いたくなかったからだと言う。
💚「考えれば考えるほど、俺が我慢すればいいんだって思っちゃって…」
酒の所為もあるのだろう、普段滅多に泣かない阿部ちゃんが、涙しながら話をしている。
💚「だって、俺、照も翔太も大好きなんだよ……」
俺は黙って阿部ちゃんの頭を撫でた。
なんとか力になりたいと思うのに、6人時代の絆とか、先輩同士の人間関係とか、そういったものにいまいちピンと来てない俺が、口を出すのは憚られると思ったからだ。
阿部ちゃんたちが俺と康二とラウールに口が出せないように、そこにはどうしても超えがたい壁があった。
阿部ちゃんは、それからもしばらく泣いて、ビールを煽るように飲みながら、足元をふらつかせ、帰って行った。
しかし、俺には帰り際に阿部ちゃんが言った一言がどうしても忘れられなかった。
💚「今までめめの気持ちを利用してごめん。もう、ここへは来ない」
コメント
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健気だねぇ不憫可愛いねぇ😢(喜んでる)
わーん😭