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んーーー塩レ描きたい!!ってなってまた新しいヤツ描いてるって感じです….
まだ完結してないのばっかなのにですよね、
ゆっくり見守って頂けると嬉しいです
⊂( ᴖ ̫ᴖ)⊃
世界観めちゃくちゃです。
窓の外は、いつも同じ色をしている。
白い壁、白い天井、消毒液の匂い。
ここが世界の全部だって思えば、楽だった。
——未来なんて、考えなくていい。
仁人はそうやって、自分を守ってきた。
医者の話も、看護師の優しい声も、全部どこか遠くで聞こえる。
「高校生」という言葉ですら、実感がない。
一度も、通ったことがないから。
制服も、教室も、放課後も。
全部、夢の中の話みたいだった。
だから、これでいいと思っていた。
——あの日までは。
太智 「ぇっとー、あ、ここや!」
ドアが、ノックもなく開いた。
反射的に顔を上げると、そこには場違いなほど明るい男が立っていた。
仁人 「ぇ、誰…?」
太智 「俺太智!」
「よろしくなー!」
腕を差し出し握手を要求する。
俺は点滴の刺された腕を差し出して場違いなほど明るいその“太智”という男とよく分かってない頭でされるがまま握手をした。
太智 「今日からここに通うことになってん!」
「なんも悪いとこないけどな!」
「……は?」
ははーって笑ってる。
“通う”?
ここ、病院だけど。
仁人が言葉を失っていると、太智は勝っ手にベッドの横に座った。
太智「え、てかめっちゃ元気なさそうやん!大丈夫か?」
仁人「……大丈夫じゃないからここにいるんだけど」
太智「あーそうやな!」
全然分かってなさそうな顔で笑う。
なんだこいつ。
太智「ね、名前は?」
仁人「……仁人」
太智「じんと?いい名前やん!」
仁人「普通だろ」
太智「えー?俺好きやけどな〜。呼びやすいし」
距離が、近い。
初対面のはずなのに、やたらと踏み込んでくる。
けど——
嫌じゃ、なかった。
太智「俺な、めっちゃ考えてんねん未来」
仁人「……」
聞いてもないのに、太智は楽しそうに話し出した。
太智「30歳までにめっちゃデカい犬飼うねん」
仁人「……は?」
太智「あと絶対ヒゲ似合う男になる。これマストな」
仁人「……どうでもよ」
太智「いや大事やろ。ヒゲ似合うかどうかで人生変わるやん」
意味が分からない。
太智「あとさ、毎週金曜は絶対たこ焼きパーティーするって決めてんねん」
仁人「……誰と」
太智「まだ決めてへん」
仁人「……」
ほんとに、どうでもいい未来ばっかり。
けど太智は気にした様子もなく、くるっと振り向いた。
太智「仁人は?」
仁人「……は?」
太智「未来、どんな感じ?」
その言葉に、胸の奥がきゅっと締まった。
考えないようにしてきたものを、いとも簡単に引っ張り出される。
仁人「……考えてない」
太智「え、なんで?」
仁人「考えても意味ないから」
少し強く言いすぎたかもしれない。
けど、太智は黙らなかった。
太智「意味あるよ」
仁人「ない」
太智「あるって」
仁人「ないって言ってんだろ」
気づけば、声が荒くなっていた。
空気が、ぴんと張り詰める。
でも——
太智「じゃあさ」
太智は、まっすぐ仁人を見て言った。
太智「俺の未来に、仁人入れとくわ」
仁人「……は?」
太智「そしたら意味できるじゃん」
「俺ってやっぱ天才やなー」
あまりにも軽くて、あまりにも真っ直ぐな言葉だった。
仁人「……バカじゃないの」
太智「なんやと!」
けらけら笑う。
その笑い方が、やけに眩しくて。
仁人は、思わず目を逸らした。
——未来なんて、いらないと思ってた。
なのに。
“誰かの未来に、自分がいる”って言われただけで。
少しだけ、怖くなった。
そして同時に——
少しだけ、知りたくなってしまった。
その未来を。