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【能力者名】 妖怪沢どろり
【能力名】 メルト
《タイプ:擬態型》
【能力】 手の平で触れた人間をどろどろ
に溶かす能力
【以下、彼の脳内にいた細菌達の記録】
《放課後、米津学園のトイレにて》
三人のいじめっこたちがトイレで1人の
男子生徒のズボンを脱がしてスマホで
撮影していた。
いじめはよくない、かなしいことだ。
ぼくはゆるやかに、彼らに気付かれないように 近づき、彼らの背中を鬼ごっこの要領で
タッチした。
「《メルト》。」
僕がそう呟くと彼らの体がどろどろと
溶けていき、完全に姿を消した。
体も、匂いも、スマホも着ていた制服さえ
どこかへ完全に消えてしまった。
そして、苛められていた生徒は
なぜぼくはこんなところでズボンを
脱いでいるんだ?と不思議そうな顔で
トイレから出ていった。
《メルト》で溶かした人間は皆存在ごと
どこかへ消えてしまう。
どういう理屈なのか、彼らがどこへ消えたのか 僕自身にも分からない。
重要なのはそこじゃない。
お父さん、お母さん。
僕はまた一つ世界からかなしいことを
消したよ。
手を洗う、真水とせっけんで手についた
罪悪感を洗い流す。
ハンカチで丁寧に手を拭く。
僕の名前は妖怪沢どろり
《手をのばせば届くだけの世界を変える》
ために、ボランティア部に所属する
ごくごく普通の高校生一年生男子だ。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)