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球技大会で行う競技が決まり、体育の時間は基本的に球技大会への練習となった。
「でね?遊が運動神経すごくて」
そんな学校での練習のときの話を執事の幸にする司。
「そうなんですね」
「それでさ?もし幸くんがよかったら、だけど、練習に付き合ってほしいんだよね」
と朝ご飯を食べているときに幸に頼む司。
「おぉ…。なるほど…」
あんま寝てないし、司が朝ご飯終わったら寝ようと思ってたんだけどなぁ〜…
あと司のお弁当の具材とかメニューとか考えようと思ったけど…
でも司には活躍してもらいたいし、なにより怪我してほしくないからなぁ〜…
と頭の中で葛藤する幸。
「わ、…わかりました。私(わたくし)でよければ」
と了承した幸。
「それではとりあえずバッシュとユニフォーム、サポーターとボールを買いましょう」
「え?そんな一式揃えないとダメなの?練習だよ?」
「いいですか?お坊っちゃま。スポーツをする上で大事なのは、そのスポーツに敬意を払うことです。
いくら練習とはいえど、しっかりと敬意を払い、そのスポーツの格好をして練習しないと。
そうしないとそのスポーツの神様は手助けをしてくれません。
それどころか足枷の悪魔がプレーをしていると邪魔しにくるという言い伝えがあります」
※そんな言い伝えもないし「足枷の悪魔」なんていません。
「そっ、そうなんだね。敬意。うん。敬意を払うよ」
しかししっかり真に受ける司。
「ありがとうございます。ではすぐに一式揃えますので、練習は明日からにしましょう」
「うん。わかった」
朝ご飯を終えた司は自室へと戻っていく。食器類を片付けた幸は執事の服、燕尾服を脱ぎ
下着のパンツ一丁になり、スマホで電話をかける。
「あ、もしもし?朝斗?」
「幸じゃん!元気ー!?」
「うるさっ。元気だよ。てかちょいちょいLIMEしてんだから、元気なの知ってんだろ」
「まあなぁ〜」
と朝斗が笑う。
「ところで今暇だろ?」
「唐突に失礼なやつだな」
「おつかい頼みたいんだけど」
「オレは幸の子どもか?」
「朝斗はオレの親友だよ」
電話の向こうがドサッ。ガサガサっとなる。
「…朝斗?」
「すまん。嬉しすぎてスマホ落とした」
「は?」
「イケメンの幸くんに親友だなんて言ってもらえて…ぐすんぐすん」
「嘘泣き」
「そりゃそうだろ。今ので泣いたらヤバいわ。で?幸ん家(ち)行けばいいの?
あれ?そーいや引っ越したって言ってなかったっけ?」
「そ。引っ越した。だから位置情報送るからそれ見てきて」
「オッケー」
テレロンと電話を切る幸。
「…んん〜!」
と伸びをする幸。
「ま、小一時間寝れるかな」
と呟き、ソファーで寝ることにした幸。ピーンポーン、ピーンポーン。インターホンのチャイムで目を開ける。
「うるさっ…」
と言いながら立ち上がり、インターホンモニターの前に向かう。
インターホンモニターには茶髪の両耳たぶにリングタイプのピアスをしたチャラい感じの男性が立っていた。
通話ボタンを押し
「どちら様ですか」
と言う幸。
「おいおい、呼び出しておいてそれはないんじゃなぁ〜い?幸ちゃん」
女口調で言う朝斗。
「お引き取りください」
「そんなっ!一夜限りの関係だったって言うの!?」
「うるせぇ!黙ってそこにいろ!」
ブツンと切り、玄関のドアを開ける。
「よっ!うわっ裸」
「朝斗…。近所から変な目で見られるから二度とすんな」
「それは幸がいじわるするからでしょー」
と言いながら玄関へ入ってくる朝斗。
「おじゃまー」
「はいどうぞ」
「へぇ〜。めっちゃいい家じゃん」
「たしかにな」
なんて話しながらリビングへ行く2人。
「賃貸?」
「どうでもよくね?」
「気になるじゃん」
「…買ったらしい」
「買っ、ん?らしい?あ、幸ん家(ち)じゃないんだ?」
「な訳あるか」
「誰ん家(ち)?…はっ!まさか彼女!?」
「ちげぇ。鴨条院(おうじょういん)って覚えてるか?」
「覚えてるってか、幸、そのお坊ちゃんの執事だろ」
「あぁ、覚えてたか」
「覚えてるわ!親友がこの世のものとは思えない職業に就いたんだから衝撃的すぎて忘れないわ」
「まあ…それもそうか。あ、座っていいよ」
「ん。あんがとー」
とソファーに座る朝斗。幸はキッチンへ行く。
「なんでもいいよな」
「ん?」
「飲みもん」
「あぁ。うん。さんきゅー」
幸は冷蔵庫からソラ・オーラを取り出してグラスに注ぐ。
「そのオレが支えさせてもらってるお坊っちゃまのためにお坊っちゃまのお父様が買ったのよ」
「ガチか。さすがはバカね持ちだな」
「はい」
と幸がソファーの前のローテーブルにソラ・オーラの入ったグラスを置く。
「あんがと。…オーラかぁ〜…。他のがよかったわぁ〜」
「…テキーラでも入れてやればよかったか」
「テキーラは勘弁してくれ…。冗談だって。ありがたくいただきます」
とソラ・オーラを飲む朝斗。
「朝斗今大学何生だっけ?」
「大学?よー年?」
「4年か。来年卒業か。卒業したらなにするか決めてん?てか就活とかしてんのか?」
「大学早々に辞めた幸くんには言われたくないですなぁ〜」
「ま…。オレはもう就職してたようなもんだから」
「オレは来年に卒業は無理だなぁ〜」
「マジか」
「ほら、ホスト始めたって言ったじゃん」
「あぁ。うまくいってんの?」
「いってないっすよぉ〜…。幸、店来てオレを指名してシャンパン入れまくってよ」
「やだよ」
「うち(朝斗の所属するホストクラブ)レベル鬼高くてさぁ〜。オレレベルで点でダメなのよ?」
「…」
「なんだよぉ〜その目ぇ〜」
「朝斗は自分を過大評価する癖が昔からあるよな」
「そうか?イケメンだろ、オレ」
「すごいな、その自信」
「オレが過大評価する癖があるって言ったけど、それを言ったら幸は嘘つく癖あるよな」
「癖じゃねぇよ」
「癖だろ」
「趣味だよ」
「もっとタチ悪いわ」
と笑いながらツッコむ朝斗。
「で?おつかいって?」
「あぁ。アメリカでどこ○もドア開発されて、今売り出してるらしいから買ってきてほしい」
「嘘だろっ!?いくら?」
「2兆」
ソファーに倒れる朝斗。
「てか、オレにアメリカ行けっての!?」
起き上がる朝斗。
「そこ?嘘に決まってんだろ」
「嘘かぁ〜」
またソファーに倒れる朝斗。
「朝斗も朝斗だよ。気持ちいいくらい騙されてくれるから嘘つきたくなるんだよ」
「で?ほんとはなんなんだよ。あ、オレに会いたい口実かな?」
「いや、それはない」
「…嘘だな?」
「これは事実です」
「信じないからなぁ〜?」
「ご勝手に。で、頼みたいのがバスケのユニフォームとバッシュ
脹脛から膝までのサポーター、ボールを買ってきてほしいのよ」
「バッシュ?幸バスケ始めんの?」
「オレじゃなくてお坊っちゃまがな」
「なるほどね?色は?」
「んん〜…別に何色でもいいや。とりあえず素材が良くて
有名選手が使ってるような良いやつを頼む。高くてもいいから」
「高くてもいいのね?」
「いい。あとバスケの世界的プレイヤーとかに知り合いいない?」
「いるわけねぇだろ」
と笑う朝斗。
「え、なに?バスケ部でインターハイとか目指してる感じ?」
「いや?球技大会だけど」
ジト目で幸を見る朝斗。
「高校どこ」
「白樺」
「ならオレレベルでいい。てか幸レベルでいい。世界レベルなんていらん」
「じゃ、明日練習付き合え」
「えぇ〜」
幸は人差し指と親指で丸を作る、OKのハンドサインを横にする、お金を意味するハンドサインを作り
「これは出るぞ」
と朝斗に言う。
「お供させていただきます」
「桃太郎のお供より簡単に仲間になったな」
「ワン!」
「じゃ、とりあえず」
幸は立ち上がって自室へ行く。そして財布を持ってリビングへ戻ってくる。
「これで一式買ってきて。足りなかったら帰ってきて。また渡すから」
と言いながら朝斗に1万円札を10枚朝斗に差し出す。
「え…1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(小声)。10万!?」
「うるせぇな」
「いや、逆に足りないことある!?」
「知らんよ。良いユニフォームなら数万いくんじゃねーの?」
「マジか…」
「ま、よろしく頼んだ。昼もそれ(お金)で食べてきていいよ」
「ラジャーっす」
「とりあえずめっちゃ良いやつ。足りなくなったら戻ってきて」
「はい!」
「はい。いってらっしゃい」
朝斗が玄関まで行く。幸も鍵を閉めるために玄関まで見送る。靴を履いた朝斗は振り返り
「ずっと気になってたんだけど、聞いていい?」
と幸に真剣な表情で言う。
「なっ…なんだよ」
いつもおちゃらけている朝斗がいつにもなく真剣な表情になったので少しばかり緊張が走る幸。
「オレ来たときに一夜限りの関係とか冗談言ったけどさ…
幸、パンイチってことはマジで昨日ワンナイしてた?」
と真剣な顔で言う朝斗。幸は朝斗の尻(ケツ)を前蹴りし
「はい、いってらっしゃーい」
と玄関から蹴り出した。お昼まで時間がなかったので
幸はお昼の用意+平日の司のお弁当のメニューを考え、そのための仕込みを行う。
しばらくすると自室から司が出てきた。
「うわぁ〜。いい匂いぃ〜」
司が席につく。
「本日はつけ麺にしてみました」
「つけ麺かぁ〜。ひさしぶりだなぁ〜」
まずは麺を出す。
「綺麗な麺」
そしてつけ汁と別に盛った具材を出す。
「いい匂い」
「本日の麺はつけ麺に合うような小麦粉を北海道から取り寄せまして
有名なつけ麺店の職人さんに麺を打ってもらった最高級の麺です」
嘘です。ラーメンの王と謳われるカップ麺の麺を別に作り
乾いてくっつかないようにごま油でコーティングしたものです。
「つけ汁も麺に合うように出汁からすべてを拘り
煮干しも、元となる魚を最高級品にし、魚粉の元となる魚も最高級品。
かえしと呼ばれるベースとなるものも醤油など諸々、すべて最高級品と拘りました」
嘘です。ラーメンの王と謳われるカップ麺のスープを少し濃いめに溶いて
スーパーで買える魚粉も溶いて味見をし、少しばかり整えたものです。
「そして具材ですが、具材もつけ汁に合い、なおかつ主張しすぎて麺の印象を薄くさせないような
でも影が薄いことのないものにするために、素材はもちろん、味付けにも拘りました」
嘘です。チャーシューもスーパーで買えるものを柔らかくなる工夫を施したもので
ネギもスーパーで売っていたすでに刻んであるもの、海苔も至極一般的なもの
味玉(味がついた卵)も家で漬けたものではなく、スーパーで売っていたすでに味がついたものです。
「あ、メンマは私が個人的に好きではないので入れておりません」
これだけは本当です。
「メンマ好きじゃないんだね。いつもありがとう。いただきます」
麺をつけ汁に浸して食べる司。
「んん!美味しい!」
軽く頭を下げる幸。
ま、あのカップ麺がめちゃうまだからな
と思う幸。
「ご馳走様でした。今日も全部美味しかったよ」
「ありがとうございます。お昼寝のお時間です」
「うん。一眠りしてくるね」
「ごゆっくりどうぞ」
司が自室へ戻る。幸は食器類をシンクに置いて、執事の服、燕尾服を脱ぎ、下着のパンツ一丁になる。
「さて、オレも昼食べるか」
と司に作ったカップ麺アレンジつけ麺を食べてみる幸。
「あ、うまっ」
美味かった。
「あ、麺をごま油で和えるのいいな」
と思い食べ進めた。
「ご馳走様でした。っと。オレも昼寝するかな」
と昼寝をした幸。夕方、ピーンポーン、ピーンポーン。というインターホンのチャイムで目覚める。
目を徐々に開け、ボヤけた視界が鮮明になっていく。ピーンポーン、ピーンポーン。
「うるさっ…」
ガチャッ。司が自室から出てくる音が聞こえ
瞬時に執事の服、燕尾服をかけたハンガーを手に取り、トイレに行く幸。
「幸くーん?チャイム鳴ってるけどー」
司がゆっくりとリビングに歩を進め、リビングを見渡す。
「幸くん?」
トイレから出てくる幸。
「すみません。お騒がせしました。今出ます」
と執事の服、燕尾服を着てトイレから出てきた幸がインターホンモニターの通話ボタンを押す。
「遅ぇよ。シ○ってたんか」
「黙れ」
と言って終了ボタンを押す。
「幸くん、シ○るってなに?」
と言う司の肩に両手を置く幸。
「その言葉は口にしてはいけません。その言葉をお金持ちが口に出すとアレルギー反応が表れて
いずれ口が腐り落ちるといいます」
と鬼気迫る表情で言う幸。
「そっ、そうなの?こ、怖い言葉だね…」
「そうなんです。怖いんです。ちなみにシ○るとはシリコンみたいになるという意味です。
シリコンみたいになるを省略してシ○るです。使う場面はありません」
ピーンポーンとまた鳴る。通話ボタンを押し
「うるせぇ、すぐ出る」
と言って切る幸。
「い、いいの?」
とインターホンモニターを指指す司。
「いいんです。顔見知りの配達員なので」
と言って玄関に向かう幸。鍵を開け、ドアを開ける。
「遅いってー。マジでシコっ」
朝斗がその先を言う前に口を塞ぐ幸。
「お坊っちゃまの前で下ネタ言ったら二度と家(うち)には入れないからな」
「ゔぁー、あぼぉぼぉばぼうばぼべ(あぁ〜、あの子がそうなのね)」
手を朝斗の口から外す幸。
「お坊っちゃま、ご紹介させてください」
「うん?」
幸の執事口調に
「ぷっ」
思わず笑う朝斗。ノールックで朝斗の脛を蹴る幸。
「いった」
「こちら、私の高校時代の友達n」
「親友の流湖田(なこだ)朝斗(あさと)でぇ〜す!お坊っちゃまよろしくぅ!」
と司に向かって敬礼する朝斗。
「馴れ馴れしいわ」
と軽く頭を叩(はた)く幸。
「あ、ご丁寧にありがとうございます」
と言う司に
いや、あの挨拶は丁寧じゃないですよ
と思う幸。
「私(わたくし) 鴨条院(おうじょういん)司と申します。以後よろしくお願いいたします」
と頭を下げる幸。
「お坊っちゃま、こんなのにそんな丁寧に頭下げなくていいですよ」
「こんなの!?」
「でも幸くんのご親友さんでしょ?」
「いや親友では」
「はーい!親友でーす!」
「うるさいな」
「あ、幸、これ、頼まれてたやつ」
と朝斗が持っていた袋を幸に差し出す。
「おぉ。さんきゅ」
と受け取ってソファーに出してみる。
「バッシュ、ユニフォーム、くるぶしから膝上まであるサポーター、んでボールと。ま、センスはいいな」
「あざーす。あ、レシートとお釣りね」
と朝斗がレシートとお釣りを出す。
「あ、レシートはもらう。お釣りはあげるよ」
と幸はカッコつけたつもりだったが、レシートを見て気づいた。お釣りが2,227円だということに。
「お、おぉ。ま、ありがたく受け取っとくわ。あ、お昼は回転寿司で2000円くらい食べたわ」
と言う朝斗に
要するに残りは250円くらいか…
と思う幸。
「流湖田さん?」
「はい!朝斗でいっすよ!」
「朝斗さん夜ご飯どうするご予定ですか?」
「決めてないっすけどー…今日もすぐ店行かないとなんでー」
「お店?」
「あ、自分今ホストやってて、真新宿、祭都鈴(まつり)町の店なんで
まあ、もうそろ出ないとなんですよねぇ〜」
「あ、ホストさんなんですね」
「そうなんす。独壇場のナンバー1に双子が2人ともナンバー2っていう意味不明な箱なんすよ」
「箱?」
「あぁ、店のことっす。自分は全然で」
「財布貸せ」
と幸が手をクイクイっとする。
「なに!?稼げてない私からこれ以上むしり取ろうっていうの!?」
となぜか女口調で言う朝斗。
「違ぇよ」
と言って朝斗の財布を持ったまま自室へ行く幸。
「幸ってずっとあんな感じ?」
と司に聞く朝斗。
「んん〜…、まあ。もう少しかしこまってる感じ、ですかね?」
「かしこまってる?ってなんだっけ?」
「こう…硬い感じというか」
「マジか。ずっと?」
「たまに砕けるときもありますね」
「へぇ〜。幸意外とスゲェんだなぁ〜」
と言っていると幸が戻ってくる。
「はい」
「はい、どうも」
中身を見ようとする朝斗。
「見んな」
「なんでよ!!なにしたか気になるじゃん!!」
「なんも取ってないから安心しろ」
「ま、そこは疑っちゃいないけどさ…」
「そろそろ行かなきゃなんだろ?」
と朝斗の肩を掴んで振り向かせて、背中を押して玄関まで行く。
「おおおお」
靴を履く朝斗。
「朝斗さん」
司が朝斗を呼ぶ。
「ま、さんもいらないけど、なんすか?」
と笑顔で振り返る朝斗。
「今度時間あるときは一緒に夜ご飯食べましょうね」
と司が笑顔で言う。
「もちろん!!」
「じゃあな。今日はありがと。また頼むとき連絡するわ」
「頼むとき以外もLIMEしてるじゃなぁ〜い」
「…」
「それとも私たち、体だけの関係なのっ!?」
と言う朝斗に笑顔のまま近寄っていって、玄関の扉を開けて、朝斗の尻(ケツ)を前蹴りして蹴り出した幸。
「はいサヨナラー」
と扉を閉める幸。
「もうっ、お坊っちゃまの前だと冗談通じないんだからっ」
「朝斗さんおもしろい人だったね」
「そうですか?やかましいだけですよ」
「朝斗さんが最後言ってた「体だけの関係」ってどーゆー意味?」
と純粋無垢な顔で聞く司。
「先程言った言葉のように、お金持ちが口にするとアレルギー反応が出る言葉の一種です」
と幸が言うとパッっと口を押さえる司。
「そうです。口にしてはいけません。ちなみに意味はスポーツをする場でしか合わない関係という意味です」
「わかった」というようにコクコク頷く司。
「それにしても、これで10万か…」
と朝斗が買ってきた一式を見て言う幸。
「たっか」
と呟き
「これで明日から練習をしましょう」
と司に言う幸。
「うん!楽しみだね!」
「そ…そうですね」
バスケなんて当分やってないけど大丈夫だろうか…
と思う幸。
「ま、夜ご飯にしましょうか。少し早いですが」
「そうだね」
駅についた朝斗。ホームで電車を待っているときに
そういえば幸、オレの財布になに仕掛けたんだ?
と思い、恐る恐る財布を開く。
飛び出す仕掛けは無し、っと
するとお札を入れる部分から白い紙がはみ出していた。
なんだぁ〜?オレの黒歴史写真でも入ってんのか?
と思いながらその紙を抜いた。すると
今日は助かった ありがと
今日のお礼 いいもんでも食べてくれ
とペンで書いてある紙だった。
「お?」
と呟き、お札入れの部分を見る。すると1万円札が明らかに増えていた。
「マジか!?」
元々お札入れの部分には2万7千円が入っていたが、それが7万7千円になっていた。つまりは
「5万も!?」
お札として幸は朝斗の財布に入れたのだ。
「ホストのオレより金持ちになりやがって」
と笑いながら呟く朝斗。
よーし!ラーメン、トッピング増し増しにチャーシューご飯もつけるか!
と些細な贅沢をしにラーメン屋へ向かった。