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それからは、週一で先生は朝の1限目の時間に学校へ行き、校長室で校長先生から会議の資料などを貰いに行くようになった。
私も小学校高学年の頃に学校へ行けなくなって しまった事があり、その時に毎日昇降口から手紙や宿題を取ったり、提出物を置いたりということをしていたので、白河先生のその姿は少し懐かしかった。
その後、私は中学校入学と同時に行けるようになった。
そのおかげで、白河先生は家で仕事をほぼ毎日するようになった。
私は、スクーリングの時に貰った課題や家の中での趣味である絵描きをしている。
一緒の時間にお互いが仕事や課題をすることで、やる気を貰えるし、分からない部分は聞いたり出来るし、一石二鳥だ。
しかし、私たちは外に出るのが好きなアウトドア派。
家にあんまり居すぎるのも好きではない。
なので、毎週末にはお出かけや旅行をした。
そして、あっという間の12月。
白河先生の誕生日が来た。
今回は、私が前々からケーキ屋に予約していたケーキでお祝い。
「ちょっと…行きたい所があるんだよね」と私は先生へ伝える。
「うん、良いよ。どこ?」
「その辺。」と答える。
「じゃあ…行こっか」と先生は予想通りに言ってくれた。
「あっ…ここ!」と私はケーキ屋を指差した。
白河先生は、ケーキ屋から目線を一気に私の方へ向け、「まさか…誕生日…」と言ってきた。
私はにっこりとし、「うん。当たり!」と明るく答えた。
先生は満面の笑顔を浮かべ、「ありがとうね。凛さん!」と言ってくれた。
私と先生2人でケーキを取りに行き、家に帰る。
夜ご飯には前買っていた手羽先を調理し、唐揚げにした。
食べてみると、手羽先の旨みと油が良い感じにマッチしておりとても美味しかった。
白河先生からも好評だった。
デザートとして今日のケーキを食べることに。
ショートケーキの上にろうそくを8本立てる。
部屋を暗くし「消して良いよ」と私が言うと、「うん」と先生は答え、ふーっと息を吹きかけてろうそくの火を一本ずつそっと消していく。
全て消し終わったら、電気を付け、ケーキをいただく。
ふわふわのスポンジに生クリームといちごの味が程良い甘さを引きだしており、とても美味しかった。
「ありがとう!今年も良い誕生日になったよ!」と白河先生が私の方を見て、笑顔で嬉しそうに伝えた。
私も「うん、そんなに喜んでくれて嬉しかったよ!」と同じように笑顔で伝えた。
今年の白河先生の誕生日もとても良い思い出に残った。
クリスマスには、スーパーで特大サイズのチキンを買って、2人で食べた。
しかし、やはり私たちには大きすぎたようで、そのチキンはクリスマスが終わった後も2日間食べ続ける羽目になってしまった。
大晦日には、初詣に行くために夕方に出かけた。
夜ご飯にはうどん屋に寄って、私は肉うどん、白河先生はざるうどんを頼んだ。
『そばは大体ざるだから、ざるうどんにしたのかな?』と思っていたら、「そばって大体ざるだから、ざるうどんにしたんだよね 」と先生が言ってきた。
「うん、そうだろうなーって思ってたよ」と私は返した。
なんだか以心伝心できた感じでとても嬉しくなった。
「お待たせしました」と私たち2人のうどんが運ばれてきた。
肉うどんは、とても鰹と昆布のお出汁に、甘辛のお肉が良い感じ。
先生はざるうどんを美味しそうにゆっくりと啜って食べている。
私も先生と同じように、ゆっくりと食べた。
その後、うどん屋の近くにあったお寺に行くことにした。
一歩足を踏み入れると、参拝客が数え切れないほど沢山いた。
私と先生は、その予想以上の客の多さに圧倒され、動けずにいた。
「今日は…諦めよっか」と先生は言ってくれたが、既に後ろにも並んでいる人が沢山いたので、結局そのまま居続ける事になってしまった。
先生は手が冷たくなっていたのか、口元で手を温めている。
私がその姿を見ていると、先生もにっこりして、「凛さんの手も温めよっか?」と言ってきてくれた。
「うん!温めて!」と言うと、先生は私の目線に合わせてしゃがみ込み、私の手を両手で包み込んで、優しい息をそっと吹きかけてくれた。
とその瞬間に、除夜の鐘が鳴り響いた。
新しい年になったようだ。
「凛さん。今年もよろしくね。」と優しい声で、白河先生は呟く。
「うん。今年もよろしく」と私も言った。
私たちの番が来て、鐘を2人で一緒に打つ。
音が鳴り響くと自然と手を合わせ、「今年も良い年になりますように」と願ってしまった。
その後、夜が明けてくる頃に家に帰り、疲れからかそのまま眠ってしまった。
目が覚め、時計を見ると午前11時だった。
お昼ご飯として、先生と一緒にスーパーへオードブルを買いに行き、食べた。
「今年も良い年になって欲しいな」
と私は白河先生の笑顔を見ながらまた願った。