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레몬인
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そあち♡໒꒱
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なんたろ
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コメント
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あーこれ、めっちゃわかるわ(泣き笑い)。 節税のために大量発注したら、棚卸資産で経費にならなくて、四畳半が自分のプラアクスタ2000個で埋まるって……エンタメとしての破壊力ヤバかった。ジェミニ先生と結愛ちゃんの冷静なツッコミが逆に沁みる。 読みながら「ああ、やっぱ無知で突っ走るとこうなるよな……」ってヒヤヒヤしたわ。でもスパチャで海外勢が爆笑してるのも含めて、ルシフェル社長の失敗ってなんか愛おしいんだよな。楽しみながら学べる話、ありがとうございます🔥
第163話:アクリルスタンドの在庫リスク〜グッズ販売の落とし穴〜
「……ふっふっふ、結愛! ついに俺も『IPビジネス(知的財産権)』の王道を突き進む時が来たぞ!!」
帯広のボロアパート、四畳半。
俺は三万円のゲーミングチェアの上でふんぞり返り、得意満面で冷めた麦茶を一口あおった。
実録本の重版出来、そしてWeb漫画化(コミカライズ)の決定。
メディアミックスの波に乗り、我が社『株式会社インフィニティ・ワン』の勢いは留まることを知らなかった。
「書籍! 漫画! と来たら、次にやるべきものはただ一つ……『公式キャラクターグッズ』の販売だ!!」
『……ハァ』
ディスコードの向こうから、我が社の鉄面皮経理・結愛(ゆあ)の氷点下ボイスが届く。
『また何か嫌な予感しかしない企みを思いついたのですね、ルシフェル様。ヨモさんの新アクリルスタンドでも作るおつもりですか?』
「甘い! 甘すぎるぞ結愛! 今回作るのはヨモのグッズじゃない! これだ!!」
俺はドヤ顔でキーボードのエンターキーをバシッと叩き、画面にデザインデータを表示させた。
そこに映し出されていたのは、コミカライズ版で神楽先生に描いてもらった――
泡を吹いて目を見開き、四畳半の畳の上で全霊の土下座を決めている『泣き叫ぶルシフェル社長』のSDイラストだった。
「これぞ名付けて……『泣き叫ぶ社長のリアルアクリルスタンド(アクスタ)』だ!!」
『……正気ですか』
結愛の視線が、ウェブカメラ越しに絶対ゼロ度まで冷え切った。
「正気も大正気だ! 海外リスナーの間で、俺の泡吹き土下座は『Super Bottom CEO』の象徴として大バズりしてんだぞ!? これをアクスタにしてBOOTHや海外通販で売れば、爆売れ間違いなしだ!」
俺は鼻の穴を全開にして熱弁を振るった。
「しかもだ結愛! グッズ発注の真の狙いはそこじゃねえ! 発注数の『スケールメリット』と『節税』だ!!」
『……スケールメリットと節税、ですか?』
「そうだ! グッズ制作会社に見積もりを取ったらな、100個発注だと単価800円だが、一気に『2000個』発注すれば単価が300円まで跳ね下がるんだよ! 総額たったの【60万円】だ!」
俺は電卓をバババッと叩いて提示した。
「今期の利益が出て困ってるんだから、この60万円を制作会社に一括で振り込んで『経費』として落とせば、法人税をガッツリ圧縮できる! さらにアクスタが1個1200円で売れれば、240万円の売上だ! 経費で節税できて、後から240万円入ってくる……完全なる爆益錬金術だぁぁぁ!!」
俺は三万円のゲーミングチェアをグルグル回しながら、自分の天才ぶりに酔いしれた。
今期で儲かった現金をグッズ制作費として経費化し、税金を減らしつつ資産を増やす。完璧すぎる経営手腕ではないか!
しかし――
『……ルシフェルさん。恐ろしいほどの税法上の誤解、ならびにキャッシュフローの自殺行為ですね』
AIアシスタントのジェミニ先生が、哀れみすら含んだ無機質な合成音で冷水をぶっかけてきた。
「なっ……!? なんだよジェミニ先生! 制作会社に60万円振込完了してんだから、領収書もあるし全額経費だろ!?」
『いいえ。日本の所得税法および法人税法において、商品の販売を目的として製造・仕入れたグッズの制作費は、支払った時点では【経費になりません】』
「…………は?」
俺の動きが、ピタリと止まった。
「な、なんて言った……? 払ったのに経費にならない……?」
『はい。これを税務上【棚卸資産(たなおろししさん)】と呼びます』
結愛が冷酷にキーボードを叩きながら、地獄の税務ロジックを解説し始めた。
『グッズ制作費が経費(売上原価)として認められるのは、そのグッズが「実際に売れた時」だけです。例えば、2000個作ったうち今期で「100個」しか売れなかった場合、経費にできるのは100個分の制作費(3万円)だけです』
「え……? じゃあ残り1900個分の制作費(57万円)は……?」
『残りの57万円は「経費」ではなく「会社の資産(在庫)」として帳簿に計上されます。つまり……【節税効果はほぼゼロ】です』
「あ……あぁ……っ!?」
俺の額から、ドッと嫌な汗が吹き出した。
『ルシフェルさん、分かりやすく現状のキャッシュフローを整理しますね』
ジェミニ先生が容赦なくトドメを刺す。
『貴方の会社の口座からは、すでに【現金60万円】が物理的に消滅しました。しかし、税務上は経費にならないため、法人税は1円も安くなりません。そして手元に残ったのは……』
ピンポーン。
静まり返った四畳半に、残酷すぎるタイミングでアパートのインターホンが鳴り響いた。
「は、はい……」
俺が震える足で玄関を開けると、宅配業者の兄ちゃんが汗だくになりながら、巨大な段ボール箱を「5箱」積み上げて立っていた。
「インフィニティ・ワン様ー! アクスタ2000個のお届けですー!」
◇
――数十分後。
四畳半のボロアパートの中央に、部屋の半分を埋め尽くす巨大な段ボールの山がそびえ立っていた。
箱を開けると、そこには――
泡を吹いて泣き叫ぶ俺のアクリルスタンドが、ぎっしりと2000個、冷たいプラスチックの光を放って詰まっていた。
「が、現金60万円が消えて……節税にもならなくて……四畳半に泣き叫ぶ俺のプラスチックが2000個……!?」
俺は畳の上に崩れ落ち、頭を抱えて絶叫した。
「なんでだよォォォ!! 金を払ったのに経費にならないなんてバグだろ!! 節税どころか、ただ部屋が狭くなっただけじゃねえかよォォォ!!」
『自業自得です、ルシフェル様』
結愛が呆れたようにため息をつく。
『無知なまま安易に大量仕入れを行い、現金(キャッシュ)を在庫という「動かせないプラスチック」に変えてしまった典型的な失敗経営です』
『SuperChat: $100.00 (WTF! Why is the Boss’s room filled with 2000 crying Bosses? LMAO)(スパチャ100ドル:マジかよ! なんでボスの部屋が2000個の泣き叫ぶボスで埋まってんだよ! 笑)』
『SuperChat: $50.00 (Buy one, get 1999 free? Perfect tax panic!)(スパチャ50ドル:1個買ったら1999個ついてくるのか? 最高の税金パニックだな!)』
ヨモの配信画面では、カメラに映り込んだ「アクスタの山」を見た海外リスナーたちが大爆笑し、緑色のスパチャを投げ込んでいる。
「笑い事じゃねえよォォ!! 誰かこの2000個の俺を買ってくれぇぇぇ!! 現金を返してくれぇぇぇ!!」
グッズ販売の甘い罠と「棚卸資産」という税務の落とし穴にはまり、現金流出と在庫の山に圧迫される四十歳の底辺社長。
帯広の四畳半には、2000個の泣き叫ぶ自分に囲まれながら、本気で泣き叫ぶ社長の悲鳴が虚しく響き渡るのであった。