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玄関の向こうで、金属質の電子音がふたつ、静かな部屋に鳴り響く。
扉を開いた俺の前に現れたのは、巨大な影だった。
青い作業服を着た二人の男が、荒い息とともに搬入してきたのは、明らかにこの家に住む人間――俺と父の二人のものではなかった。
「シングルベッド」という印字が施されたダンボールがひとつ、ふたつ、と次々に運ばれていく。
廊下の狭い壁を擦りながら、新品特有の香りを纏った家具たちが、家の生活の隙間を容赦なく埋めていく。
奧の部屋から出てきた父の背中に、私は喉の奥を締め付けられながら声をかけた。
いつ激昂の波が押し寄せてくるか分からない、あの鋭い背中。
怒声と割れる硝子の音に怯える日常の癖が、私の爪を無意識に掌へ食い込ませる。
💚「……これ、何ですか。」
返ってきたのは、乾いた破裂音でも、テーブルを叩く振動でもなかった。
🟩「ああ、それか」
耳を疑うほど穏やかで、湿り気を帯びた低い声。
父の顔はいつになく穏やかだった。
その歪な優しさが、かえって私の背筋に冷たい水滴を落とす。
🟩「再婚したんだ。来週には来る。」
💚 「え。」
💚 「“母さん”は……」
バシッ、業者の見えないところで頬を叩かれた。
先程の柔和な表情は海のように瞬く間に暗くなった。
🟩 「お前に選択権などない。」
普段の鋭い瞳孔が垣間見え、身体を強ばらせる。
しかし、父はすぐに背を向け搬入業者への指示へと向かった。
決定された未来の前に、私の意思など最初から存在していなかったのだ。
運び込まれた新しいベッドの上に、夕暮れの斜光が赤黒く差し込んでいた。
増えた木枠の匂いが、母が“いるはず”の家の匂いを少しずつ殺していく。
未来の歪な日常が迫る足音に、私はただ深海へ沈んでいくような心地だった。
ゆらね㌨さっ♪🎼🍵🌸🍍
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もちもちうさぎ
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