「梨花《りんか》ったら!早く起きなさい!」
私は、お母さんの呼ぶ声で夢から目が覚めてしまった…。
「梨花が寝坊なんて珍しいわね?さては、勉強してたんでしょ」
私はその言葉にはっとした。
お母さんからの言葉は、どこか自分への期待の気持ちがあるんではないかといつも思う。
「昨日はすぐに寝たよ」
焦りながらも、笑顔で答える。
「そうなの、」
そう言ったお母さんの顔は少し残念そう。
娘が早く寝たら残念がるなんてどんな親だとは思うけど、そういう母親だからしょうがない。
「それじゃ、行ってきます」
私はお母さんに見送られながら、家を出た。
うちは裕福な家庭では無いが、貧乏かと聞かれるとそうでもない。
パートの母親と普通の会社で働くサラリーマンの父親。そして、高校生の私と中学生の弟の4人暮らしである。
毎日別に苦労もなく暮らしているのだ。
「梨花~!おはよう!」
学校についてすぐに友達に話しかけられた。
「梨花!一生のお願い!宿題見せて〜」
朝会って1番最初の言葉がそれかよってなるけど、そういう子だからと自分に言い聞かせる。
「いいよ」
「ほんと!さすが梨花!頼りにしてる!」
自分で言うのもなんだが、私は結構しっかりものだと思う。
学校では、委員長や部活の部長もしているし何より友達にも頼りにされている。
私は真面目で頼られる存在だ。
そう思っていた。あの時までは、、、
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