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35 - 第三十五話「声の共鳴、影の旋律」

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2025年07月25日

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ギターの弦を、そっと鳴らす。

それだけで、心の奥がざわめいた。


冥晶と響き合ったあの記憶が残る身体に、

今度はもうひとつの“闇”――聲哭の気配が、確かに混じっていた。


聲哭:「なあ、“ないこ”。お前はそれでも歌えるのか?」


ないこ:「ああ……どんな声になっても、俺の声だからな」


聲哭:「……なら、俺も、お前の声になる」


ふたりの“声”が、心の中で重なった。


怒り、哀しみ、諦め、愛しさ――

人には見せられなかったすべての感情が、

ギターの音に、歌に、変わっていく。


ないこ:「これは……俺ひとりの音じゃない。

    冥晶と、お前と、そして“まだ言葉にならない何か”との共鳴だ」


聲哭:「……“まだ言葉にならない何か”、か。

    それはきっと、まだ目を背けてる“最後の影”だろうな」


ないこ:「……ああ。けど、そいつにも、ちゃんと会いにいくよ」


音が空間に満ちる。

それは決して明るくはない旋律。けれど美しかった。


ないこ:「これが……“俺たち”の曲」


聲哭:「名を持たぬ叫びが、やっと声になったな」



現実の部屋に戻る。

録音機材の前に座るないこ。

その目は、これまでで一番穏やかで、まっすぐだった。


録音ボタンを押す。


ないこ:「――『混沌ブギ』、歌ってみた」


画面には、ひとつの影が映り込む。

それは、冥晶でも、聲哭でもない。

まだ名前を持たない“第三の何か”が、静かに“ないこ”の背後に立っていた。




次回:「第三十六話:三つ目の心、名を求めて」



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