江戸城の奥深く、最後の幕府会議が行われていた。将軍は冷たい目で諸大名たちを見回し、声を低く響かせる。
「ここが我々の最後の防衛線だ。雅也と加藤、その異能の持ち主どもをここで止めねば、幕府は終わる。」
腹心の部隊長が一歩前に進み出る。
「兵力では我々が圧倒的です。加藤たちが異能で何をしようとも、数で押しつぶせば――」
その言葉を遮るように将軍が剣を鞘から抜き放つ。
「異能の恐ろしさを甘く見るな。奴らはすでに異常だ。これより、全軍に号令を出す。江戸城周辺の全兵を動員し、徹底的に排除する!」
江戸城へと続く道を、雅也たちの軍勢が進む。兵士たちはわずか数百人、ほとんどが各地で加わった義勇兵だ。その中心を、雅也と加藤が歩いていた。
加藤が笑みを浮かべ、天雷剣を肩に担ぐ。
「雅也、お前の奇妙な作戦、うまくいくんやろな?」
雅也は手に握る龍牙の剣を見つめながら答える。
「奇妙でええやろ。正攻法だけが戦いやない。」
彼は足を止め、軍勢に向き直る。
「聞いてくれ!俺たちの敵は数で勝る幕府軍や。それでも、俺たちには勝算がある。お前らの勇気と、この剣、そして――」
加藤が皮肉たっぷりに続けた。
「俺やな。」
兵士たちは笑いながら歓声を上げた。士気は高まっている。
幕府軍との戦いは、江戸城外縁で始まった。幕府軍の鉄砲隊が射撃を開始するが、加藤が天雷剣を振り上げ、雷の壁を作り出す。
「おいおい、こんなんで俺を止められると思ったんか?」
雅也が異能を発動させ、空間を切り裂いて幕府軍の前線に瞬時に突入する。彼の剣が閃き、敵兵たちを次々と倒していく。
「これが俺の道や!邪魔すんな!」
橘の銃を引き継いだ部下の一人が、援護射撃を加える。京都弁が響く。
「雅也さん、任せなはれや!こっちは全部片付けたるで!」
しかし、戦局は一変。精鋭部隊「黒影隊」が出現。彼らは装甲を身にまとい、異能を無効化する特別な道具を装備していた。
黒影隊の隊長が叫ぶ。
「雅也!お前たちの異能など、この装甲の前では無力だ!」
雅也が剣を構え、静かに呟く。
「無力かどうか、試してみるか。」
彼は空間を切り裂き、黒影隊の隊長の背後に現れる。しかし、隊長の装甲がそれを跳ね返した。
加藤が駆け寄り、六魂の一つ「風狼刀」を抜く。
「俺が相手したるわ。こいつの防御力、どこまで持つか試したろ!」
風狼刀が唸りを上げ、猛風と共に敵を切り裂く。
激しい戦闘の中、雅也が幕府本陣の方を見つめる。彼の目は冷たく輝いていた。
「加藤、俺が行く。ここを頼む。」
加藤が振り返り、短く笑う。
「好きにせえや。ただし、死んだら承知せえへんぞ。」
雅也は一瞬のうちに消え、本陣に向かって空間を切り裂いて突き進む。その先には、幕府将軍が待ち構えていた――。
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