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🎈「生きたい、よ」
今、動かない先輩はそういった。一か八かだった。もし本当に死にたいと思っていたら。不安でたまらなかったが聞いてみればそうでもなかった。
大丈夫、あとはオレにまかせてくれ。
🤖「ごめん、司……大丈…って!?」
外で休んでいた寧々が戻ってきた。オレと先輩を見るなり、震えている。それも当然だ。黄色いカーディガンは血だらけ。先輩はこちらにもたれかかっている。こんなの、はたから見たらオレが殺したみたいだもんな。
🌟「寧々、これは……ッッ」
🤖「わ、分かってるッッ。ち、血だらけで動揺したのッッ。どうする、救急車呼んで間に合う?」
よかった。冷静さを取り戻したみたいだ。
🌟「いや、救急車を呼んだところで扱ってくれないだろう。息の根も止まりかけだ。」
🤖「は?、でもどうすんの、止まりかけってまさか、このまま見捨てる気??」
🌟「それは絶対にないッッ!!」
🤖「え……」
🌟「俺に良い考えある。」
先輩の体をそっと床に置き、立ち上がる。そして、ロッカーにある小型カメラを取り出した。
🤖「あ、あんたッッ、」
🌟「協力者である、寧々を騙したのは申し訳ないと思っている。だが、周りの証言を聞く限り、空き教室一択だと思って予め準備していたんだ。」
🤖「ッッ、どうして話してくれなかったの」
🌟「このことを言えばこれに頼りっきりになる。この動画だけでは証言として薄い。たくさんの証拠を集めるためには隠すことが最善だと思ったんだ。だって相手は財閥の息子だ。何が起こるか分からないからな。」
🤖「…司にしては凄い考え、ね」
🌟「そうか?、」
🤖「それを言うんだったら私も隠してたことあるから、」
🌟「む、なんだ??」
🤖「寺田を潰す方法を、かな?」
小型カメラの映像を確認する。
🌟「バッチリ、撮れてるぞ」
🤖「はぁ、司には1本取られた」
🌟「なんでガッカリするだ? 」
🤖「なんでだろーね、それより早くしないと」
🌟「それもそうだな、」
🤖「流れは?」
カメラを手渡し、先輩をおんぶする。軽ッッ。こんなに痩せ細ればそうなるか…。いやいや、人間では無いレベルだぞ!?
🤖「ねぇ、はやく」
🌟「あぁ、オレは今から近くの病院に走る」
🤖「そうなると思ってたけど大丈夫なの?」
🌟「大丈夫だ。近くだから走れば秒だ。スターの足さばきをとくとご覧あれ、だな!」
🤖「はいはい。で、私は?」
🌟「寧々はそのカメラを持って誰かここに教師を呼んでくれ。できるだけ内密に頼む。大事になれば、せっかくのしっぽを見逃してしまう。」
🤖「なるほど、了解。」
🌟「いいな、”内密”にだぞ。」
目を合わせ頷く。待っていろ、寺田瑠衣奈。必ずお前を追い詰めてやる。
🌟「では、ショータイムだッッ!!」
🌟「は”ぁ”ッッ”、は”ぁ”ッッ”、」
やっと着いた、。病院に着くまで大変だった…。先輩が軽いのが何よりの救いだ。周りからはすごい目で見られ、仮装か?まで聞かれた。地面にも少しだけ血が落ちている。誤解をうんでもおかしくない。
病院に入ると悲鳴が聞こえた。それと同時に周りの看護師に囲まれる。
「ど、どうしたんですかッッ!?!?」
🌟「友達がッッ、友達がッッ、 」
「落ち着いて…、ほかの人達はベット用意して。それと空いてる手術室の確認もッッ」
🌟「先輩はッッ、先輩はッッ助かるんですかッッ」
「大丈夫、あとはまかせてね」
必死なオレのパフォーマンスに誰もが信じてしまう。これ、思えば役になりきらなければ完全にオレが人殺しみたいじゃないか!?
「きみはここに座って待っててね、」
椅子を勧められ、席に着く。あとは寧々の連絡を待つだけだった。
🤖<今、説明終わったから。そっちに向かうね
🌟<あぁ、気をつけてきてくれ。
席に着いてから2時間後、遅いながら寧々から連絡がきた。やはり、時間がかかったか。手術室のランプを見て祈ることしか出来ない。
🌟(頼む、成功してくれッッ、)
最前は尽くした。止血もした、想いも伝えた。どうか、神様。まだ、オレの味方をしてください。祈ることしか出来ない自分をどうか許してください。
拳を強く握った。
「…貴方が……司くん??」
聞きなれない、だがどこか似ている誰かに声をかけられた。声がする方に目を向けると女の人が立っていた。
🌟「どうして、名前を?」
「あぁ、私類の母です。」
🌟「え、あっ!?」
「類がいつもお世話になってます」
🌟「いえいえ、とんでもない、」
たしかに言われてみれば雰囲気が似てるし、髪色も全く一緒だ。先輩、地毛だったんだ…。
「少し、お話しませんか」
🌟「え、オレでいいんですか?」
「貴方にしか頼めませんし、服。そのままでは汚いでしょう。類ので良かったら着替えて来た方が良いと思うわ」
🌟「い、いいんですか、」
「お古になるけど、」
🌟「全然構わないですッッ!!」
服を受け取り、一礼して男子トイレへと急いだ。走っていると服から神代先輩の匂いがして、気分が上がった気がした。