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赤桃 集

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赤桃 集

1 - オレ の 白雪姫 … ♡

♥

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2024年07月07日

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赤桃




ぼんやりとしていた意識がはっきりとしてくるような感覚。血生臭い匂いが鼻腔をくすぐる。重い瞼を開ければ、辺りは血だらけ、酒の空き缶だらけ。

(またあいつ荒れたのかよ…)

ソファーから体を起こそうと力を入れると肋骨の部分がずきりっと痛んだ。

「い゛ … ッ」

肋骨を抑えた反動でソファーから落ちる。

ガタンッと大きい音を立て、俺は床に転げ落ちた。

2階からドタバタと足音が聞こえたかと思うとすぐに扉が開かれ、焦った顔をした莉犬が入ってくる。

「さとちゃんっ!!」

「り、ぃ゛ぬ」

転げ落ちた俺を見るなり泣きそうな顔で俺の周りをうろつき始める。これはこれで忠犬みたいで可愛い。

「俺、ど、すればっ、あっ、救急車?でもっ、」

心配してくれるのは有難いがそろそろうるさい。

「莉犬、救急車要らない、あとうるさい」

「あ、ごめっ、俺のせいなのにッ」

まるで親に叱られた子供みたいな顔になる莉犬を横目に俺は2階にあがる。

肋骨以外にも顔や頭が痛い。多分殴られたんだろう。それに腰も痛いし、服もいつもの部屋着と違う。まぁ、どうせこの怪我も腰の痛さも全部莉犬のせいなんだろけど。

機嫌が悪い日の莉犬は帰ってくるなり俺を殴るし、無理矢理犯す。それこそ恋人に対する扱いじゃないくらい雑に扱われる。

やっとの思いで着いた寝室のベットに倒れ込む。

腕もよく見てみれば切られた跡に火傷の跡もある、腕の傷跡は残るし、見えるからやめろってあれほど言ってんのに、あいつ。

もう今日は怒る気も話す気力もない。ただ眠たい、もう今日のことは明日話せばいい。明日なら莉犬も落ち着いて話せるだろ。

また睡魔が俺を夢へと誘い込む。睡魔の誘惑に負け俺はまた目を閉じた。




来なくてもいいと思ってもしっかりと明日と朝は来るもんだな。と感心しつつ、手早く着替え、1階に降りる。キッチンに行こうとリビングの扉を開けるはず、だったがいつもはしない味噌汁の香りに足が止まる。

「…誰か来たのか?」

莉犬は今日はいないはずだし、俺だってさっきまで寝ていた。夢遊病患者でもない限りこんな香りするはずがない。

怪しみつつ、入るのも躊躇していると、俺が開けるより先に扉がガチャっと音を立てて開いた。

「あ、さとちゃん、起きたの?」

今日はいないはずの莉犬がそこには立っていた。

「なん、なんでっ?」

「? 俺今日休みだよ?」


違う、そんなはずない。

“前のは”こんなの無かった。

「お前誰だよ、莉犬じゃないだろ」

「何言ってんのさとちゃん?w」

「ほら、朝ごはんできてるよ?冷めないうちに食べよ?」

違う、莉犬はそんな事言わない、”俺の莉犬”はそんなこというはずない

「莉犬を返せよ!」

「さとちゃん?落ち着いてよ」

「うるせぇよ!偽物のくせにちゃん呼びすんな!」

あついの姿で声。でもこいつじゃない、偽物だ。偽物があいつにしか許してない呼び方で俺を呼ぶなッ。

「お前誰だよっ。俺の莉犬を返せよ!」

「さとちゃん、落ちつ」

「俺のこと呼ぶなつってんだろ!きもちわりぃんだよ」

莉犬の姿、形をした偽物を俺は睨みつける。

「さとちゃん、どうしたの?」

子犬のような顔をして俺の顔を覗き込む。仕草も癖も真似してんじゃねぇよ。俺の莉犬なのに

キッチンに入り、俺は包丁を1本手に持った。

「さっ、さとちゃ」

「俺の莉犬に何したの?答えろよ」

包丁を突き立て、偽物を脅す。偽物はいかにも莉犬がしそうに目を潤ませ、俺を見つめる。

「さとちゃ、なんでっ」

弱々しい声に潤んだ瞳。みんなが想像する莉犬の顔。でも俺の知ってる莉犬はそんな顔しない。

「うるせぇよ、死ねよ偽物がっ!」

「偽物じゃない!さとちゃんどうしたの?」

必死な顔で説得する偽物の腹に俺は包丁を突き刺した。丁度内臓が位置する場所だ。出血量も多く長くは生きれない。

「なぁ、お前何がしたいの?」

死んでいく偽物に俺は聞いた。

「… ッ、俺はさとちゃんを救いたいんだよ」

あー、やっぱりこいつは

「お前、莉犬じゃないよ。そんなことあいつら言わない」




「なーんでバレちゃうかなー?w」

「さとみくんだからでしょ」

「えー、オレが愛されすぎてるのが悪いの?」

「そんなこと言ってないけど」

今の相方兼友達のころちゃんが冷たく俺を突き放してくる。もー、ツンデレだなーころちゃんは。

「ねぇ、莉犬くん、どうすんの?」

「何がー?」

「さとみくんのことだよ」

「あーね?」

ずっと眠り続けているさとちゃん。

いや、まぁオレのせいなんだけどね?笑

「別にこのままでよくない?」

「うわ、最低」

元々は恋人でずーっと愛し合っていたさとちゃん。でもさとちゃんが悪いんだよ?オレの仕事が忙しくて構ってあげられないからってころちゃんと浮気するんだから。

「だってこっちの方が愛感じれるし、」

元々DV気質で依存体質だったオレはよくさとちゃんのこと殴ってたし、監禁紛いなこともしちゃってたからな。

でもこれなら痛くないでしょ?だってさとちゃんは意識ないんだし。

「だからって眠ったままのさとみくん犯したり、殴ったりするのは可哀想でしょ、僕は別に関係ないけど」

うわ、こいつ。自分の彼女に昔同じことしてたくせにド正論言ってきやがった。

「めぇめぇうるさい。協力してくれたくせに」

「それは脅してきたからじゃん」

まぁそうだよな。ころちゃんどうでもいい人には手出さないし。今回の協力してって言ったのもオレだし。

「いいじゃん、もう今更起きたってさとちゃんには生きる術はないんだし」

もう死人扱いにされ、帰る場所もないさとちゃん。

それなら俺とずーっと死ぬまでここで暮らすの方が幸せでしょ?

「俺とここ出会いを育もうね、さとちゃん♡」


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コメント

9

ユーザー

ちょー好きだわ

ユーザー

確かグリム童話の方って結構残酷な結末が多いねんけどこれはまた違った不穏さで良き

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