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「流生なんか大っ嫌い!!」
「俺だって、流花のこと嫌い!!」
…やっちゃった。
喧嘩した。
嫌いって言っちゃった。
この先どうしよう。
終わった…。
「あの、流せ…」
「ふんっ」
あの反応は怒ったのか拗ねたのか…。
…よし、こんな時は。
「雷志ちゃーん私の愚痴を聞く耳はお持ちでー?」
『君いっつも顔見て話してる?』
「持ってますねじゃあ私の愚痴聞けるねー?」
『拒否権ない系か、これ…』
か く か く し か じ か の ら ね こ わ ん
『わお、それは大変だねぇ。流花は本気で嫌いじゃないんでしょ?』
「もちろん。大好きだよ。だから後悔してる…」
『それ私もよくある。喧嘩するとつい嫌いって言葉出ちゃう』
そうなんだ…雷志ちゃんも一緒なんだ。
そう思うと、なんだか心が軽くなった。
『でも、素直に謝ったら、すぐ仲直りできたよ!』
「ありがと!私、流生にごめんなさいって伝えてみる!」
『うん、ばいばい!』
「ばいばーい!」
…よし。
「流生…っ」
「何?俺に話しかけないでよ」
正直言って、怖かった。
話しかけないでって言われて、話すのが怖くなった。
でも、雷志ちゃんの言葉を思い出しながら、がんばって話した。
「あの…さっきは…ごめんっ」
「…!」
「喧嘩して、つい嫌いって単語が喉から出てきちゃったの…っ私、流生のこと大好きなのに、嫌いなんか言っちゃって…流生っ、本当に、ごめんなさい!!」
許してもらえるか心配だった。
これから、無言で殺伐とした空気の中生活するのかなって思った。
でもそんな想像とは違った。
「…流花が謝ってくれんの待ってた」
…えっ?
「俺、昔から喧嘩するとすぐ嫌いって言うんだ。兄妹で似たのかもな。でも俺は自分から謝れなくて、謝るのが怖くて…だから、流花が先に俺に謝ってくれんの待ってた。あの…ごめん」
…!!
流生も、なんだ。
そう思うとなぜか涙が出てきた。
「ありゃ、泣いちゃったかw」
「笑わないでっ」
指摘されるのは嫌〜。
「て言いながらお前も笑ってんぞ」
「ふぇ?」
自覚はなかった。
泣いてるってことはわかってたけど。
流生と仲直りできて、すっごく嬉しかった。