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バスタオル一枚で皇帝の前に躍り出てしまった「伝説の国儀」から一夜明け。ルカ(健二)は離宮の自室で、毛布を頭まですっぽりと被り、絶望のどん底にいました。
(……終わった。俺の人生、完全に終わった。もう「全裸の聖者」なんて呼ばれて外を歩けるわけないだろ。このまま一生、毛布の中で腐ってやる……)
ルカが「(一生、誰とも会いたくない)」と心の中で固く誓っていたその時、部屋の扉が轟音と共に吹き飛びました。
「ルカ様! 失礼いたしますにゃん!」
現れたのは、昨日の「猫耳ご主人様ごっこ」と「混浴の儀式」が脳内で化学反応を起こし、さらに進化を遂げた三人の乙女たちでした。
究極の勘違い:自立の否定
ナツメ、アヤ、ミナの三人は、ルカの前に跪き、神聖な面持ちで彼を見つめました。
「ルカ様。我々は気づきました。あの日、貴方様がバスタオル一枚で現れたのは、『私はもはや、己の手で服を纏うことすら惜しいほど、全知全能の瞑想に時間を割いているのだ』というメッセージだったのですね!?(アヤ)」
「ええ。あまりに高貴なお方は、ご自身で動くことすら世界の理(ことわり)に反する……。つまり、ルカ様は『赤子のような純粋な存在』に戻られたのだわ!(ミナ)」
「ルカ様! ご安心ください。これからは我ら三人が、貴方様の『手足』となります! 貴方様はただ、そこに座って呼吸をしていれば良いのです!(ナツメ)」
ルカは「(……えっ、どういうこと?)」と毛布から顔を出しましたが、それが運の尽きでした。
「さあ、お着替えの時間ですわ。ルカ様、指一本動かしてはなりません。筋肉の収縮すら我々の計算で行います!(アヤ)」
着せ替え人形と化した英雄
アヤが魔法の手(マナ・ハンド)を駆使してルカを空中に浮かせ、ミナが「あらあら、いい子ですね」と赤子をあやすように頭を撫で、ナツメが「この袖に、腕を通させていただきます!」と、凄まじい真剣勝負のような形相でルカの腕を服に通していきます。
ルカは完全に**「巨大な生きたぬいぐるみ」**状態。
「ちょ、待って! 恥ずかしい! 自分で着れるから! やめてえええ!」
ルカがジタバタと暴れると、彼女たちはそれを「喜びの舞」だと解釈しました。
「見てください、ルカ様が手足をバタつかせて喜んでいらっしゃいます! もっと……もっと完璧なお世話が必要ですわ!(アヤ)」
「ええ、食事も、入浴も、歯磨きも。……ルカ様の口腔内環境を整えるのは、このミナの聖なる指先にお任せくださいね?(ミナ)」
「(……ミナさん、指が口に入ってる! 怖い! 食べられる! 誰か助けてえええ!)」
そして「神の沈黙」へ
数時間後、完璧に着飾られた(しかし魂の抜けた)ルカが、豪華な神輿(みこし)に乗せられて王宮の広場へと運ばれました。
一歩も歩かず、表情を失い、虚空を見つめるルカの姿。それを見た民衆は、驚愕と感動の叫びを上げました。
「見ろ……! ルカ様は、ついに『歩くこと』さえ超越されたのだ!」
「あのお姿……神の化身そのものではないか! 自ら動かずとも、世界を動かしている……。なんと神々しい『究極の怠惰(聖なる静寂)』なんだ!」
ルカは神輿の上で、「(……もうどうにでもしてくれ。俺は、考えるのをやめた)」と悟りを開いた表情でスマホの画面(電池切れ)を見つめました。
その「電池切れで真っ暗な画面を、熱心に覗き込む姿」は、民衆には**「宇宙の深淵を観測し、世界の未来を選別している」**ように見え、帝国の全宗教団体がルカを「現人神」として正式に認定。
こうしてルカは、ただ「恥ずかしくて暴れていただけ」で、指一本動かさずに世界を支配する、史上最強の「全自動英雄」へと昇り詰めてしまったのである。