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45 - 第45話 【北条家黙記録】

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2023年10月21日

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【北条家黙記録】

※オリジナルキャラクターである北条父の視点で描かれた物語です

※主の考察(?)や願望のようなものが含まれています

※原作にはない設定と裏展開が出てきます

※苦手な方はスクロールの方をしてください、通報はしないでください


これから話す内容は、わたしが北条家の当主となるまでの出来事だ…


−俺は北条家という名家の子に生まれた、俺が彼女と出会ったのは…もう何年も前の話だ


当時、父が俺に結婚を強制し何人もの女を屋敷に上げ見合い話をした


俺は誰にも靡くことはなかった、見合いにくる女は皆俺の持つ権力と財産が目当ての者ばかり


俺という“存在”を愛そうとする者は誰一人ともいなかった


次の日俺は見合いから抜けた、うんざりだったんだ…愛のない婚約などしたくなかったからだ


「所詮は顔だけの女共だ…地位と金、それだけが目当てなのだろ…」


俺は一人で屋敷から離れたとある小さな村へと足を運んだ


とても静かで穏やかな村だったのを覚えている、俺は近くの川のせせらぎに耳を覚まし、風に当たり一人黄昏ていた


何故か、気分が晴れる様な気がした 落ち着いたところで帰ろうと振り返り


歩き出した、その時だった


俺は、そこで 彼女と出会った____________


「________!….」


彼女は空色をした丈の長い服を着て、


長く伸びた、星のない夜空のように美しい髪を靡かせながら


凛とした表情で歩いていた、その目が合ったとき感じたあの衝撃は


まさに運命というやつなのかも知れない


その、深く沈むような静けさを感じさせるほどに冷たく、それでも優しい瞳は 俺を見つめた時に一瞬輝いて見えた


「…可憐だ」


と、気づけば口ずさんでしまっていた


彼女は驚いた表情をしたあと、照れた様にくすりと笑い にっこりと微笑んで見せた


だが、本当にそう思ったのだ 今までこんな感情を持ったことはなかった


他者を見て美しいと感じたのはこれが初めてのことで、自分でも驚いていたのだから


その日から俺は度々あの村を訪れることが多くなっていった


偶に彼女が仕事で会えない時もあったが、出会った日はよく二人で町の方にも足を運んだ


そうしているうちに、互いにだんだんと距離も近くなり、気づけば愛人にまで発展していた


彼女との時間は、とにかく幸せで…


心が暖まるような、満たされる様な気がした…


彼女は俺の、埋まらなかった心の中のビンを埋めてくれる何かを持っていたのかも知れない



彼女とは[駆け落ち]という形で結ばれた


名家生まれである俺が、彼女と結ばれるにはこれしかなかった


俺がどれだけ見合いを否定しようと、父親は勝手に話をすすめ 婚約者を決めた


そんな俺達の仲を引き裂くような奴らの居る場所など、俺は帰る気なんてない


それに、この頃から既に彼女のなかには俺との子が居たんだから


腹の子のためにも、彼女のためにも俺は側に居てやりたいと思ったんだ


せめて、この子が産まれるまで…できるものなら[家族]としてこの先も生きたいと願った




____それから月日は経ち、子どもは無事生まれた 第一子は男だった


小さな手で俺の指を力強く握り、すうすうと寝息を立てる我が子が愛おしくてたまらなかった


「名前はもう、考えたのかい?…」


そう尋ねると、彼女は嬉しそうに微笑み答えた


「えぇ この子の名前は“ 圭一 ” …貴方の名前にもある“ 圭 ”をもらったの」


圭一…俺達の息子、この名前の由来、意味には


彼女は「貴方の様に優しくて、強い心を持つ…

一つ一つを積み重ね、磨き上げていける芯の強い子になってほしい」という願いを込めたらしい…


俺は嬉しくてその場で泣いた、このまま三人幸せに生きれるのだと思っていた…


だがそんな日々は長くは続かないものだと現実が見せつけてくる____



圭一が丁度二、三歳の辺り、何度も家に手紙が届いていた


差出人は【北条家】からで、俺の親父からだった、妻には心配をかけるわけにはいかないため


俺は時々本家に顔を出し、長期間泊まるということも合った


幼い息子と妻を、そしてまだ妻のお腹にいる我が娘の存在を思うと胸が苦しくなっていた…


「(早く…帰らなくてはいけないのに…)」


わたしはひたすら” 家族 “を思った、身重の彼女に育児も仕事も任せきり…


心臓がギリギリと痛む、そうして日々を過ごしたある日の出来事だ…


『我が息子よ…お前ももう28だ、早く北条家を継ぎ当主となれ』


突然父親から告げられた言葉に、俺は耳を疑った…


「何をいっているのです親父、俺にはもう女房も子どももいるっ!いきなりそんな事をいわれても困るんだ‼︎」


俺は何とかこの話を切ろうと努力した、何度も何度も口論になり、時には手を挙げられることもあった


だがその抵抗も意味を出すことはできず、強制的に嫁を迎えることとなった


その女は俺に惚れ込んでいた、俺のいうことは絶対などと軽口を抜かすほど俺を溺愛していた


親父はこういう 『もしこの娘との子が生まれなかったなら、“あの家”の子どもを跡取りとしてもいいんだぞ』と


それだけは避けたかった、歳いかぬ子どもに俺の片棒を担がせることなどできない


それに、圭一は他とは少し違う……こんな運命を背負わせることはできない


娘だってそうだ、まだ名も知れていない俺の愛おしい娘を苦しめるわけにはいかない


せめて苦しむのは、“俺達”だけでいい____



数ヶ月が経った頃…


久しく町にある家へ戻ってみた、だがそこは誰もいない空き部屋だった


どうやら彼女は、圭一と生まれたばかりの娘を連れてあの村へ越して行ったらしい


そうだろうとは思った…こんな無責任な夫など、一緒に居ても苦しいだけだ


ただ、これだけは伝えたかった ただ一言「すまなかった」と____


*・゜゚・*:.。..。.:*・”END”・*:.。. .。.:*・゜゚・*

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コメント

5

ユーザー

(;_;)ウルウル… 感動の涙とまらない…! ちゃんと繋がってるのも嬉しい…!

ユーザー

寂しいストーリー...

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