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この小説は、主のOCがいろいろするものになっています。
苦手な方は読むのをご遠慮ください。
それから、聞き飽きたプロローグは終わり。初めての方は第1話から。
1章 体編変成
10話 「私の知らない」
「ん…」
「あ、起きた」
寝始めてから1週間、ようやく眠りから覚めた少年兼少女・五月雨優。
彼…彼女の久しぶりの朝は、旧き親友の家から始まった。
「…碧さん…」
「…名前覚えててくれたんだね。」
1週間経過しているとはいえ、五月雨の中ではまだ会ったばかりのような感覚。そんな状況でも名前を覚えているとは…やはり何かが関係しているのだろうか?
…碧は疑問に思うのであった。
「はい…あの…すみません」
「え?」
「この前…こないでなんて言っちゃって…」
「なあに、気にすんな。」
確かにあの時、五月雨は私に『こないで』と言った。
そう。あの時。
「…いで」
「…こないで」
その時、五月雨の顔は恐怖と絶望に満ちていた。
「…視えるんですよ」
「え?」
次の瞬間上げられた五月雨の顔は、あの時と同じ絶望色だった。
「…視えてしまうんですよ…私を連れて行こうとする黒
いカゲが…なんでこんなの視えちゃうんだろうって…
ずっと悩んでたんです。そしたら碧さん…あなたが現
れた。
…不思議ですよね。あなたが近くにいると自然と安心
して…カゲもいなくなってて…なんだろ、私の知らな
い旧い記憶があなたを知っているんだと思います。
ほら、私って記憶喪失でしょ?だから昔の私があなた
を求めているんじゃないかって。
…すみません。こんな長々と話しちゃって。」
「…いや、ありがとう。絶対取り戻すよ。大切な記憶」
「…ありがとうございます。」
ついさっきまで絶望色に染まっていた顔は、そんなことなかったと思えるくらいの爽やかな笑顔に変わっていた。
その顔は、在りし日の五月雨優が映っているのではとも思えた。
「…じゃあまた寝ます。おやすみ」
「おやすみ」
眠りにつく五月雨。
「…うう…五月雨…五月雨…さみだれぇ…」
気付くと私は、五月雨の横で涙を流していた。
寝てしまったのが寂しいわけではない。
「…怖いんだ…このまま死んでしまって…もう2度と会
えなくなるのが…怖いんだ…。
うう…五月雨…」
『泣いてんじゃねえよ』
「…先輩?」
『もっと強い気を持て碧。2度と会えなくなるのが嫌でも…せめてそれまでは一緒にいてやれ。』
「…わかりました…ありがとうございます…
…はっ」
なにか…幻覚でも見てたようだ…。
やばい…意識が…
「はう…クー」
「…すー」
「…ん?碧…さん?」
「くーくー」
「…そうだ…えいっ」
「にゃぅ…うp主ぃぃ!!お前何回目だ!!…って…五
月雨…?…まさか…お前が?」
「ぎくっ」
…仕返しに少し遊んでやる。
「ひどい…グスッ」
「え…ごめん…」
「うぅ…ひどいよぉ…」
「う…ごめ…うぅ…」
…このくらいにしておかないと鬼魔にシメられるな。
「…ごめん…嘘泣きだよ…」
「…え?…ひどい…そういう意地悪な猫はこうですよ…
えい」
「みゃぁっ///」
「…女の子を怒らせると怖いんですよ」
「…ひゃい…っ」
「このくらいにしておきますけど…次はないですよ?」
「ひゃいぃ…」
こわい…さみだれさんこわい…
…そうだ。手繋いだら効果なかったっけ。
「…っ//」
「…どう?」
「…はずかしいって…いってるでしょ…っ」
やっぱり効果あった。恥ずかしがり屋だなぁ五月雨は。
さて。今日はもう寝ますか。
「…寝るから…おや…すみ…スー」
「う…尊い…」
終