テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第1話
しおたろうですが途中にそのじん要素あり
柔太郎side
気づいたら好きになっていた。
一緒にいて楽しい、そんなありふれた理由。
でもその相手はありふれたものじゃない、よりにもよって同じアイドルグループのメンバーで同性。
「柔ちゃん!くすぐったいってぇ〜」
「え〜?じゃあ、こう?」
「あはは!もお〜!」
「太智お前撮影進まないだろ」
「ちゃうの、柔太郎が〜!」
撮影の途中、くっつくように指示されたからちょっと調子にのっちゃった。
少しくすぐるようにしただけだけど、これってセクハラとかになるのかな。卑怯?
そんな事を思うけどケラケラと笑うだいちゃんの顔を見ると笑みが漏れてしまう。本当にかわいい。
一緒にいるだけで愛おしさを感じて幸せな気持ちになると同時に切なさもわいてくる。
これ以上は踏み込んだらいけないと分かっているから。
「これにて撮影終わりです!ありがとうございました!」
スタッフさんの拍手やマネージャーのお疲れ様の声にみんなでお礼を言う。楽屋に戻ろうとした時、はやちゃんに肩を掴まれた。
「…あのさ、ちょっと、いい?」
楽屋から離れた隅っこの会議室のような場所に来た。その間はやちゃんは何も話さない。何だか予想がついた。
「……あのさ、全然勘違いだったらごめんなんだけどさ。変なこと聞いていい?」
気まずそうにはやちゃんがもじもじと言う。
「何?」
「柔太郎さあ……太智のこと、どう、思ってる…?」
「はは、何それ。もっと直球に聞けばいいのに。好きだよ、だいちゃんのこと」
真剣な顔でそう言うとはやちゃんはよろっとして机に手をついた。
「……その言い方ってそういう事だよな…」
「うん。はやちゃんもグループ内恋愛OKって言ったじゃん」
「マジで言ってる?」
「大マジ」
「……ええ〜…マジか……」
笑って答えるとはやちゃんが頭を抱える。まあそういう反応になるよね、なんて申し訳なくなる。
「大丈夫、仕事に支障出ないようにするし。てかはやちゃんよく気づいたね」
「いや、お前の目見てれば本気って分かるって。太智にしかしないじゃんああいう顔」
「……そうなんだ」
自分はそんな顔をしていたのか、少し恥ずかしくなると同時にそれぐらい好きなのだとじんわりと心が暖かくなる。いけない事なのにね。
「大丈夫だよ、別に伝えようと思ってないし」
「え」
「俺嫌われたくないもん。見てるだけでいいし…あ、でも触ってるか」
「………」
はやちゃんが複雑そうな顔で見つめてくる。はやちゃんは本当に真面目で仲間思いだ、そんな中で暴走する気はない。それにだいちゃんは俺の事なんてどうも思ってないだろう。
俺たちの歌ってる歌みたいにテレパシーが伝わったらいいのに、いや、ダメか。
拒否されるのが、一番怖い。
「…お前がそうしたいなら、否定はしないけどさ…それでいいわけ?」
「何それ、はやちゃんはその方がいいっしょ」
「いや別に…何かトラブルになったらダメってだけでさ。俺にそれを止める権利もないし。柔太郎が辛い思いして欲しいんじゃなくて」
「伝えた方が辛い思いするって分かってるよ」
さらっとそう答えるとはやちゃんが何かを言いかけるけど心の中に抑え込んだのか下を向いてしまう。
「心配かけてごめん。でもこれからは気をつけるからさ」
「柔太郎、待っ……」
はやちゃんが何か言いかけるのを振り返らずに会議室を出る。
大丈夫、俺なら全部隠せる。自分の気持ちも偽れる。
だいちゃんの笑顔をそばで見られるだけで、十分幸せだ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!