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「あたしは人間のようでそうではありませんわね。亜人……そう呼んで頂いても差し支えありませんわ」
◇◇
アックが光に包まれ、深い眠りについていた頃。脅威の去った旧居住区には続々と異種族たちが集まっていた。ルティシアとシーニャ、フィーサを除き、異種族と話すことが出来るのはミルシェただ一人だからだ。
エルフ筆頭のサンフィアを代表とした彼らは、ミルシェに対し今後について相談を持ちかける。
「我らは長らくここの森林を守り、生き続けてきた! だが、真の主であるイスティが国を立て直そうとしているようだ」
「ええ、そうですわ」
「我らはイスティに従い、イスティが望む国を作りたいと願っている。女! キサマの意見を問いたい!」
アックがいない状態で話を進めることについて、ミルシェは戸惑いを隠せない。しかし彼が目覚めたあかつきには、歩調を合わせてもらうことを条件に彼らの意見を承諾することを決める。
「ところで、あたしは女……ではなく、ミルシェ。そう呼んで頂けないかしら?」
「ミルシェ……キサマは人間か? 気配からするに我ら側に近いのだが」
「亜人……そう呼んで頂いても構いませんわ。元々は水棲の生きる魔物でしたもの」
「ほぅ……? 人間のイスティが魔物を従えているとはな」
口の利き方に癖があるエルフと感じていたミルシェだったが、味方となる者を上手く扱う為にも黙ることにした。
「……それで、あなたの周りにいるエルフと獣人たちには名前はありませんの?」
「無論、あるに決まっている。だが、イスティが目覚めた時に知らせたいと思っている!」
「何か理由でも?」
「イスティならば名を聞いた時点で役割を与えてくれるはずだからだ」
「役割……?」
「ミルシェとやら。全てはイスティの為の我らにあることだ! それまで待つことだな!」
根本的に合いそうにないと感じたミルシェは、アックが目覚めるのをひたすら待つしかなかった。
「ミルシェさ~ん!! アック様が~!」
「ウニャ! 早く来るのだ!」
アックが目を覚ましたことを知らせにきたルティシアとシーニャの声で、ミルシェは興奮を隠せない。
「今すぐ行きますわ!!」