テラーノベル
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※※※血、グロ注意。苦手な人はUターン推奨
この間、ツレのツレにある男に接触する機会がほしいと頼まれた。
どうやらこのツレ、その男にご執心らしい。
いろんなツテと親の金を使ってその男のことを調べるとオレのダチを殺した奴らの仲間だって分かった。
写真で見たが、顔は隠されていてよく分からない。
ただ、この男の情報が裏に流れていなかったのは多分、あいつらが隠し匿っていたからなのだろうと思った。
ちょうど、新しいオモチャを探していたところだった。
見たところ、丈夫そうな体格をしているがオレとツレたちで余裕で押さえ込めそうではある。
「そっちの趣味はねーけど…案外、ハマるらしいしな。なにより、あいつらの弱味みてぇな奴を壊せるなら願ったり叶ったりだ」
あいつらの絶望した顔が見えないのは残念だけど、大事にしてきたものを壊されるということが愉しい。
「見張っとけばそのうち1人になんだろ」
そうして1人になったところを4人でボコして、縛り上げた。
頼んできたツレのツレはいの一番にその男に襲いかかっていた。
被っていた帽子は外れ、素顔が晒された時に変に人を引く顔をしていた。
印象的な緑の瞳と平凡な黒髪。
そのバランスに目を引いた。
嫌だやめろと抵抗するそいつをツレは殴って、叩いて、自分の欲望をぶつけていた。
オレらも初めは痛ぶって愉しんでいたけど、妙にその男の表情に唆られるものがあり、途中からはハマってしまい愉しませてもらったのだけど。
それが昨日のこと。
興奮冷めやまぬ、というのはこういうことなんだと思う。
「もう一回、集めてあの男、…えっと、トラゾーっていったか?そいつを…」
「そいつを、なに?」
驚いて振り向くと、あいつらの仲間の1人が立っていた。
明るい髪色に片目を隠している。
「……は?なに、オレらに復讐しに来たワケ?」
「復讐?」
「あんたらが大切に大切に隠して守ってきたトラゾーくん……いや、あいつ犯されて処女喪失してるからトラゾーちゃん?にひどーいことしたからその仕返ししに来たんだろ?」
オレよりも体格の小さいそいつ。
隙を見て逃げるしかない。
まともにして痛い目に合うのは分かっている。
オレはそこまでバカじゃないからだ。
そして親の金で遠くまで逃げればいい。
じりっと後退ろうとしたらそいつが後ろ手にしていた手を前に出した。
「ほらよ」
オレの足元に何が投げられる。
べしゃりと水気の含んだ袋。
「開けてみろよ」
「あ?」
「開けろよ」
ドスのきいた声。
抗うと一瞬で殺されそうな気がして、冷や汗を垂らしながら袋を開けた。
「?、…!!、ぎゃぁぁあ⁈」
「それ、なんだと思う?」
「な、っ、こ、…はっ⁈」
「テメェの尻拭いしてたパパとママだよ」
肉片の詰まった袋。
鉄の匂いが充満し、その肉片が自分の親だと信じたくなかった。
あまりにも信じられない光景に昼食ったものを吐いた。
それを静かに冷めた目で見下ろすそいつ。
吐くものも無くなって地面に膝をついてそいつを見上げる。
「う、そだ… っ」
「信じらんねーなら動画見る?」
そいつは了解も待たずに端末を操作して動画を流し始めた。
『息子がしてきた悪行、お前ら揉み消してきたな』
薄暗い部屋にベッドのようなものに固定されている両親。
『む、息子のしたことなんぞ大したことないだろ!』
『そ、そうよ!可愛い息子のことを守って何が悪いのよ!』
そう叫ぶ両親。
暗がりから出てきた男はフードを被り、黒い布のようなもので顔を隠している。
けど、声が目の前にいる人物と同じだ。
こいつらがこうやって人を消してるのはやっぱりホントだったのだ。
『悪いことを悪いことだと躾できねぇテメェらも終わってんな』
奴の手に光るのは釘と金槌。
『悪いのは我々じゃない!痛めつけられる方が悪いんだ!』
『そうよ!弱いのが悪いの…、ぁぎゃっ』
オレの母親の口の中に釘を打ちつけた。
『うるせぇな。キーキー甲高ぇ声で喋んじゃねーよ』
白目を剥く母親。
『お前の方はこの男と結婚した、ただの腰巾着なだけだろうが。何、私偉い!みたいな顔してんだよ、あぁ?』
喋れない母親の口から血が溢れる。
顔も固定されてるせいで、横に向くことができない母は声にならない声で叫んでいた。
口の中で血がブクブクと泡立っている。
『俺のこと罵倒してんだろうな。はっ、マジで救いのねー女。そのまま窒息して死んどけよ』
そう言って父親の方に向き直った。
『!!、頼む!金ならいくらでも出す!息子のこともお前に差し出そう!だから!頼むから私だけは助けてくれ!』
その言葉に目を見開いた。
『…へぇ?妻も息子も見捨てんだな』
『愚息の悪行には辟易していたところだったんだ!それに金さえ積めば女なんぞいくらでも寄ってくる!だから…ぐぎゃっ』
そいつは父のこめかみ辺りを金槌で殴った。
『あんたらの息子もこうやって人を痛ぶってたんだぜ?なのに、それを揉み消して。自分らがその立場になったら助けてくれ?んなの助かるわけねぇだろ』
『ぁ゛、がっ…』
『あんたらに時間かけてる暇ねーんだわ』
近くにあった台の上から、鉈を持ってきたそいつ。
『じゃ、あんな息子を育てたバカな自分らを後悔しながら死んどけよ』
振りかぶったと同時に動画は止められた。
「ソレ、お前のこと売ろうとしたモン」
「ぁ、…あ…」
尻餅をついて、自分が失禁してることに気付くがそれどころではなかった。
「お前らは俺らの大切な奴を傷付けたんだよ。最初、復讐かって聞いてきたよな。そんな生温いもんじゃねぇんだよ。まぁ、復讐代行でもあるけど。いうならば私情の方が強ぇかな」
涙や鼻水が地面に落ちていく。
「俺ら、あいつのことすげー好きなんだよ。もう愛してるっていうレベルで」
一歩近付かれる。
「そんなあいつのことてめぇらの鬱憤ばらしで傷付けて、……愉しんだ、」
オレの視線に合わせるようにしてしゃがんだそいつは笑った。
「俺の言うこと聞けるよな?」
壊れた人形のように頷く。
「じゃあ、まずその袋持って着いて来い。血一滴も落とすなよ」
「は、ひ」
裏道を歩くそいつの後ろを素直に着いていく。
なぜ、この時逃げなかったのか。
なんて思っていても、本能が着いて行かなければ本当にこの場で殺されると感じていたから。
連れてこられた地下室のようなところ。
どう通ってきたかは記憶にない。
「袋貸せ」
「はぃ…っ」
薄暗いその部屋は両親が殺されたところに似ていた。
「そこの椅子に座ってくれねぇ」
「は…」
「あ?」
「分か、りました…」
見た目普通の椅子。
段々と落ち着いてきたオレは目の前のそいつに反抗しかけて、諦めた。
椅子に座った途端、首筋に痛みがはしる。
「⁈」
「テメェに打った薬は俺らの仲間が調合したやつで。遅効性のもんだからじわじわ効いてくると思うぜ」
「な、にが…」
「それは自分の体に聞いてみろよ。効果は何かまで聞いてねぇからな。…さて、動きはもう取れねーだろ」
確かにただ座ってるだけなのに動けない。
「器用だろ。動き取れなくすることに関しては即効性あっから」
椅子に手足が固定される。
きつく血が止まるくらいに。
「俺ら決め事してんだよ。テメェらのことは簡単には殺さねーて」
「な、!」
「なんの後ろ盾もねぇテメェはただの世間知らずのクズ野郎だ。そんな奴がこの世から消えても悲しむ人間はいない。寧ろ喜ばれるだけだ」
復讐代行と言っていた。
そいつらのことを指しているのだろうか。
「助かる、って一瞬でも思ったな。さっき」
どきりと心臓が跳ねた。
本心を見破られたせいか、薬の影響か。
すると後ろを向いて何かを手に取ったそいつはオレの方を振り向いた。
「⁈、それ、は」
「あ?…あぁ、」
血やナニカが付いている鉈。
「ソレを片付けたやつ。血ぃ洗うの面倒なんだぜ」
きつく縛られた手の指先に刃先があてられる。
「感覚あんの?あいつ性格悪ぃから、感覚遅らせたり、何倍にもしたりすっからな」
皮膚に鉄製のものがあたる感触はある。
「あんだな。ならよかったわ」
「ま、…」
鉈を振りかぶる姿が、動画のものと重なる。
「─────────!!?」
ぶつり、と肉が断ち切られる感覚。
それなのに痛みが、ない。
「あ゛…ぇ゛、なん、で…」
そこでさっき打たれた薬が痛覚をなくすものだと気付いた。
それに気が付いたそいつは鼻で笑っていた。
「ま、テメェが痛がる権利なんてねーよな」
鉈を置いたそいつは切り落としたオレの指を手袋をした手で拾った。
「なぁ、ここなんの部屋だと思う」
「ぇ…ぁ?」
「テメェの両親、どこにあると思う?」
「、な、に゛…?」
壁際に歩いて行ったそいつは取っ手のようなものを引いた。
「⁈、ゔわぁぁあ゛!!」
開けられたそこには、炭の大きな塊が2つ。
「…ちっ、やっぱ2人同時は無理か」
「ま、まさ、…が…」
「ここ、元々は火葬場だったんだよ。んで、俺らみたいなのが今も使わせてもらってんだよ」
その大きな塊が寝そべる台を再びその中に入れた。
「火力上げて改造してるから、跡形も残んねぇけど。…まだ、改造の余地ありか」
スイッチを押す。
機械の稼働する音が重く響いていた。
「こいつらは生きたままし損なったけど」
椅子の背もたれを後ろに引かれて倒れる。
「便利な椅子だよな」
ベッドのようになったそれ。
「安心しろよ。お前の大好きなパパとママの隣で寝かせてやるから」
近付く壁。
「い、いやだ!やめ、っ、やめ゛ろ!!やめてくれ゛!!」
「あいつも、そうやって叫んでたはずだ。…それをテメェらはやめるどころか……」
開く扉。
「ごめ、ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「今更謝ったところで。…謝っても許すわけねぇだろ、あいつに関わった時点で。しかも、謝る相手が違うんだわ。許さねぇけど」
中はひんやりとしていた。
そして、閉じる扉。
向こう側の声は聞こえない。
固定もされていて暴れることもできない。
残された方の指で必死にもがく。
爪が割れても剥がれても、無我夢中で引っ掻く。
痛みがないから、死に物狂いでした。
「嫌だ!いやだいやだ!!死にたくねぇ!!死にたくない!!」
ひんやりしていた中が熱を持ち始めたのか熱くなる。
感覚だけが残され、本気で焦り始める。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ…」
熱のせいで喉から声が出なくなった。
あの話にのらなければ。
あの男に手を出さなければ。
いや、オレたちはいずれかあいつらに消されていただろう。
皮肉にも今の鉄の箱に閉じ込められるように、オレは逃れることができないと焼けていく思考の中思ったのだった。
────────────────
「ひとり終わりましたよ。クロノアさん」
『お疲れ様。あとはいつものように掃除屋に頼んどくね』
「今回、多いっすよ。みっつといっこ」
『ひとつもふたつもみっつも変わんないよ』
「それもそうですね。…トラゾーは大丈夫そうですか」
『うん。ともさんに聞いたら、女性陣と仲良く話してるみたいだよ』
「よかった…」
『落ち着いてるようだし。ともさんはなんとなく察してくれてて事情はトラゾーの名誉の為に言わなくてもいいって言われてるから』
「…ともさんかっけー」
『じゃあ、ぺいんとも落ち着いたらトラゾーのとこ行ってあげて。俺も終わって落ち着いたら行くから』
「了解です」
『トラゾーの顔見て癒されてから、最後の仕上げをしよう』
「俺も早く癒されに行きてぇ…。女性陣と話すトラゾーとか可愛いに決まってんだろ」
『そうだね。押されて困った顔が思い浮かぶよ』
「はは、分かるわー。…仕上げのことも了解しました」
『ふふ、それじゃ、また。しにがみくんと集まって話をしよう』
「はい」
コメント
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いやぁ〜piさんでこれとは… 今後楽しみですね!☆ 途中に出てくる痛みをなくす薬…多分snさんが作ったのかなと思うけど…めちゃくちゃ妄想話に過ぎないけど、ジブンノイモウト(くらげ)ガツクッタクスリダッタライイナーなんて…思っちゃいましたね! (´>∀<`)ゝ