テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コンコン。
部屋の扉が叩かれる。
「はい。」
扉を開けると、りいが立っていた。
「ゆき。」
「りいさん。」
「来て。」
「どこにですか。」
「歓迎会。」
「歓迎会?」
「うん。」
「聞いてないです。」
「今言ったから。」
「急ですね。」
「急だよ。」
「断ったら?」
「臨時が泣くかな。」
「行きます。」
即答だった。
「即答。」
「面倒なことになりそうなので。」
「了解。」
◇◇◇
会場の扉を開けた瞬間だった。
「ゆきー!!」
「うるさ。」
臨時が勢いよく飛んでくる。
「来たな!」
「来たけど。」
「歓迎会だぞ!」
「見れば分かる。」
「冷たっ!」
「通常運転だな。」
一樹が言った。
「お前も大概だろ。」
「俺は普通。」
「どこが。」
◇◇◇
「あっ、キミが新しく入った子?」
優しそうな女性が手を振る。
「私、愛原こころ。よろしくね。」
「よ、よろしくお願いします!」
「フフッ。」
こころが笑う。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。」
「え?」
「ほら、笑って笑って。」
「は、はい……。」
「顔固いなー。」
「姉さん。」
臨時が横から割り込む。
「姉さんは結び屋の医療担当でな!」
「へぇー。」
「どんな傷でもポポイのポイって治しちまうんだ!」
「説明雑じゃない?」
こころが苦笑する。
「でもまぁ、間違ってはないかな。」
「ホント、うちの組織において必要不可欠な存在だもんな。」
一樹が言う。
「照れるじゃん。」
◇◇◇
「臨時、一樹。」
声がした。
振り向く。
黒羽力也だった。
「ボス。」
「お前らもう新人の子と仲良くなったのか。」
「あー。」
臨時が頷く。
「俺ら幼馴染なんすよ。」
「幼馴染?」
「そうそう。」
「仲良くなったも何も、元から仲良いんで。」
「へぇ。」
力也は少し驚いた顔をした。
「なら納得だな。」
「でしょ?」
臨時が得意そうに笑う。
◇◇◇
「んで。」
今度は翼が現れる。
「俺がコイツの兄なんで。」
「え?」
こころが目を丸くする。
力也も驚いた。
「兄妹だったの?」
「そうっす。」
翼はそう言いながら。
自然な動作でゆきの頭に顎を乗せた。
「んー。」
「重い。」
「そうか?」
「そうだよ!」
ゆきが翼を押す。
「だから私の頭を頭置きにしないでよ!」
「昔からやってるだろ。」
「だから昔からやめろって言ってるの!」
「仲良いな。」
力也が笑う。
「微笑ましいねぇ。」
こころも笑った。
「全然微笑ましくない!」
「そうか?」
「そうだよ!」
◇◇◇
「ゆきちゃん。」
嫌な予感がした。
振り向く。
百軸だった。
「俺の隣空いてるよ。」
「座りません。」
「まだ座れって言ってない。」
「言おうとしてましたよね。」
「ばれた。」
「ばれてます。」
「連絡先交換する?」
「しません。」
「インスタは?」
「しません。」
「じゃあ――」
「しません。」
「まだ聞いてない。」
「どうせろくなことじゃないので。」
「ひど。」
「ひゃっきー。」
りいが呼ぶ。
「何。」
「新人ナンパしない。」
「してない。」
「してる。」
「してない。」
「してる。」
「交流だって。」
「ナンパ。」
「交流。」
「ナンパ。」
百軸が黙った。
「負けてるじゃん。」
臨時が笑う。
「毎回負けてるな。」
一樹も頷く。
「味方いねぇ。」
◇◇◇
歓迎会は思っていたより騒がしかった。
臨時が騒いで。
百軸が怒られて。
こころが笑って。
力也が見守って。
一樹が呆れて。
りいはジュースを飲みながらその様子を眺めている。
気付けば。
ゆきも少し笑っていた。
「ん。」
りいがこちらを見る。
「どうかした?」
「いや。」
「?」
「笑うんだなって。」
「りいさんって普通の感情あるんだなって。」
「失礼すぎ。」
「失礼っすね。」
臨時が気付く。
「ゆき笑った。」
「ホントだ。」
こころも笑う。
「いいじゃん。」
少しだけ恥ずかしくなって視線を逸らす。
でも。
悪い気はしなかった。
結び屋は変な人ばかりだ。
コメント
3件
再投稿すみません💦
おつかれさま〜!!第6話「新人歓迎会」読了したよ🌸 ゆきの「断ったら臨時が泣く」からの即答「行きます」に笑ったww りいさんが「笑うんだな」って言ったシーンがめっちゃエモくて好き…😭 結び屋の人たち、変な人ばかりだけど確実にゆきのこと受け入れてる空気が伝わってきてじんわり温かくなったよ✨ 百軸さんまたナンパ(交流)してるし臨時と一樹の漫才も絶好調で第6話からこのチームワーク好きすぎる⋆♡ 続きも楽しみにしてるね!!