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私は君の夢を見た。手を取り合って、笑いあって、顔を見合わせた。私は笑顔。君も笑顔。
不意に君の顔が涙目になった。
「どうしたの?」
私は君の頬に触れ――ることは出来なかった。そこにあるはずの君の身体が淡い光に溶けるように消えてゆく。
待って、行かないで。……私を置いていかないで。
ハッと目を覚まして視界に映ったのは、天井に向かって伸びている自分の手。その手を見て、またあの夢を見てしまったのだという事に気が付く。涙で濡れた頬をパジャマの袖で拭いた。まだ重い体を起こして制服に着替えると私はリビングに行った。
少し開いているドアの隙間から、フレンチトーストの香りが廊下に漂っている。ドアを開けると、机には朝食が並んでいた。
丁寧に並べられた食器、食欲をそそるフレンチトーストのシロップの香り。朝から、お父さんが作ってくれたのかな。ありがとう、と心の中で言った。私は椅子に座る前に小さな棚の前に向かった。
「お母さん、おはよう。」
私は、お母さんが映る写真に向かって呟いた。そして、写真立ての横にある小さな花瓶の水を変えた。
「花、買いなおさないと。」
そう、独り言を言って、花瓶を棚の上に置いた。椅子に座り、「いただきます」と言い、フレンチトーストを口に入れた。
チラッと時計を見るとまだ時間に余裕があったのでテレビの電源をつけた。
『先月起きた、高校生とトラックの衝突事故により死亡した高校三年生の男子生徒が……』
その言葉を聞いた時、私は反射的にテレビの電源を切った。何でこのニュースが……。
「高校生とトラックの衝突事故」また、あの夢を思い出してしまった。
「死亡した高校三年生の男子生徒」そう、私、瀬里沢夢(せりざわゆめ)の彼氏野島海斗(のじまかいと)は交通事故で死んだ。
「好きだよ、夢」彼の笑顔が頭をよぎった。その瞬間、目頭が熱くなった。
泣いたら駄目だ。一度泣き出してしまったら、涙は簡単には引っ込まない。だから私は笑った。海斗が「可愛い」と言ってくれた私の笑顔。
食べ終わった食器を台所に戻し、カバンをもって玄関へ向かった。靴を履いて、玄関のドアを開ける前に私は言った。
「今日も頑張ろ。」
パチッと両手で頬を軽くたたくと、私は家を出た。
その時、私は、カバンに入っているスマホが鳴っていることに気が付かなかった。
〈野島海斗〉一軒のメッセージ
つづく
「君の声が聞こえる朝に」を読んでくださりありがとうございます!!今回は試し読みという形で書かせていただきました!!高評価が増えれば、また投稿しようと思っているので、ぜひこれからもよろしくお願いします。
初回なので、文章がおかしくなっていたりしているかもしれません。
何かアドバイスなど、間違っているところがあればコメント欄で教えて下さると嬉しいです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
では、次回でまたお会いしましょう!!!