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「俺達別れよう」
俺は希にそう告げた。
「え・・・」
「だから別れよう」
「本気?」
彼女は俺に確認した。
「うん・・・」
「何で・・・?」
「本当は面倒臭くなったからじゃない・・・
希と俺は違うんだって気付きたからだ・・・」
「私とは違う?」
「そう
俺はお前が心臓が飛び出るんじゃないかと思うぐらい大好き・・・
ありのままの自分でいれる・・・
でもお前と過ごせば過ごす程、自分の愚かさに嫌気がさす・・・
お金持ちの家に産まれたお前とごく普通の家に産まれた俺
考えない様にしようと思っても考えてしまう・・・
お前との格差を・・・
自分の境遇を変えようと頑張ったお前に対して俺は毎日をのんびり生きてるだけ・・・
お前が悪い訳じゃないけど、今気が重いんだ・・・
人のせいにするのは間違ってるって分かったんだけど・・・」
「そんな・・・
勝手に決めないでよ・・・
私の気持ちも考えて・・・」
「ばいばい・・・」
俺は希の言葉を無視して言った。
「ちょっと!
人の話聞いてるの?」
俺はそのまま彼女に背を向けて歩き出した。
「爽!」
振り返りたい。
でも!
自分勝手な俺は、希を置き去りにして家へ帰った。
彼女が崩れ落ちる音がした。
ごめんな・・・
希・・・
じゃあな・・・
皆・・・
俺は明日から今まで一緒にあいつらと一切の関わりを禁ずる事に決めた。
この時の俺はまだ自分の弱さに気付いていなかった。
次の日。
俺は強い意志をもって教室へ入った。
「おはよう」
普通の関係に戻れる訳ないと分かっていながら
希にただのクラスメイトとして挨拶した。
挨拶だけはしようと決めたのだ。
「・・・おはよう」
彼女は控えめに俺から目を逸らして返してくれた。
そりゃ気マズいよな。
隣の席へ座る。
1時間目終わりの休み時間。
「のんのん!」
音羽が希の机にやって来た。
希の元気がない事を察したのか、音羽はテンションを上げて言った。
「音羽、爽に正式にフラれた・・・」
希は打ち明けた。
「サイテー!
面倒臭いからって!」
音羽は俺に見向きもせず叫んだ。
「ち、違うの・・・
本当は彼も私の事大好き・・・」
希は訂正した。
「意味分かんない」
「爽、私との格差に気付いて耐えれなくなったから・・・
後、自分だけのんびり生きてて皆に申し訳ないって」
「皆って私達?」
「うん」
「それは・・・」
音羽は言葉に詰まった。
俺は2人の会話を黙って聞いていた。
「黙ってないで何とか言ったらどうなの?」
音羽が俺に言った。
「えっ
そうさ
俺は自分勝手な奴だ
皆とも距離を置いて、今の自分の居場所を自分から壊した
相手の気持ちも考えないで突き放した」
避けられてもいじめられてもないのに、わざわざ自分からその場を去るバカが何処にいる?
そう。
此処にいる。
「もう知らない!」
その噂を皆聞いたのか、俺が避けてても話しか続けてくれていた夢香達も話しかけて来なくなった。
自分で避け続けた癖にいざ誰も俺の元へ来なくなると、どうしようもなく寂しく心細くなった。
初めて思い知らされた。
いかに自分が弱かったかを。
今更、やっぱり友達に戻って欲しい・彼女に戻って欲しい何て言える訳ない。